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【18】『世界経済の現状分析』ASEAN経済の現状(ファンダメンタルズ)

世界経済の現状分析を進めている本シリーズですが、今回から2回に渡りASEANについて調べていこうと思います。
当ブログでも以前(2012年1月)、『なぜ今、TPPなのか?』【6】世界に広がるブロック経済圏の現状③:アジア [1]にて、一度ASEANを取り上げていますが、今回は改めて、ASEANについての基礎情報を押えていこうと思います。

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<画像はこちら [2]からお借りしました>

『世界経済の現状分析』シリーズ過去記事は以下をご覧ください
『世界経済の現状分析』【1】プロローグ [3]
『世界経済の現状分析』【2】米国経済の現状(ファンダメンタルズ) [4]
『世界経済の現状分析』【3】米大統領選の分析その1(両候補の政策の違い) [5]
『世界経済の現状分析』【4】米大統領選の分析その2(両候補の支持層の違い) [6]
『世界経済の現状分析』【5】米大統領選の分析その3(米大統領選の行方?) [7]
『世界経済の現状分析』【6】中国経済の基礎知識 [8]
『世界経済の現状分析』【7】中国経済の現状(ファンダメンタルズ)
『世界経済の現状分析』【8】中国、新体制・習近平でどうなる?
『世界経済の現状分析』【9】中国経済のまとめ [9]
『世界経済の現状分析』【10】欧州経済の現状①(ファンダメンタルズ) [10]
『世界経済の現状分析』【11】欧州経済の現状②(独・仏 VS PIIGS 格差問題の分析) [11]
『世界経済の現状分析』【12】EU経済の現状③(EUの政治状況、右翼化?) [12]
『世界経済の現状分析』【13】ロシア経済の現状(ファンダメンタルズ) [13]
『世界経済の現状分析』【14】ロシア経済の現状〜プーチンの焦り [14]
『世界経済の現状分析』【15】コラム:新たな天然ガス資源「シェールガス」 [15]
『世界経済の現状分析』【16】ブラジルの経済の現状(ファンダメンタルズと金貸しの戦略) [16]
『世界経済の現状分析』【17】『世界経済の現状分析』インド経済 [17]
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■ASEANとは?
kotobank [18]より)

東南アジア諸国連合。1967年にバンコクで設立。域内における経済成長、社会・文化的発展の促進、域内諸問題の解決を目的とする。 当初加盟国はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの5カ国。その後、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオスが加盟し、99年にカンボジアが加わったことで、東南アジア全域の10各国がまとまることになった。

■ASEANのGDP
□主要地域GDP

[19]

<画像はこちら [20]からお借りしました>

2008年までのGDPを見ると、ASEAN全体で韓国と同程度です。毎年微増ではありますが、継続して増加していることがわかります。
□ASEAN6カ国のGDP成長率
リンク(日本貿易振興機構 海外調査部 アジア大洋州課) [21]より)
こちらの表を見てみると、各国継続して成長していることがわかります。
■ASEANと日本・中国・韓国
日経ビジネス:アジア戦略再構築のカギ [22]より)
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<画像はこちら [22]からお借りしました>

上の図は2012年におけるアジア主要国・地域の名目GDPの大きさを比べたもの。世界第2位の経済大国となった中国と比較すると、ASEAN諸国の大半は豆粒のように小さい。企業にとって相手国の経済規模は重要な指標となるため、中国と比べて“地味”に映るASEAN諸国への投資も伸び悩んだ。 (中略)
 だが、潮目は再び変わりつつある。2008年以降、日本からASEAN諸国への投資が再び上昇トレンドに入ったのだ。2010年と2011年は2年連続で対ASEAN直接投資額が対中国を上回り、特に2011年は1兆5491億円と過去最高額を更新した。(中略)
 改めてASEANに注目すると、その潜在的な魅力に驚かされる。着目すべきは労働力だ。中国の主要都市に比べるとASEAN各国の人件費はおおむね半分以下に抑えられる。しかも高齢化が始まった中国と異なり、若年層の人口構成比率が高い国が多い。(中略)
ASEAN諸国の平均所得はまだ高くはないが、今後は日本企業がメーンターゲットとする中間所得者層が増えてくる。10カ国で合計すればASEAN地域の人口は既に6億人を突破しており、日本の5倍という巨大市場だ。
ASEANには中国にはない特徴もある。その最たる例がASEANを核とした他国との経済連携と言えるだろう。 (中略)
 外部と連携することが自らの力になることを知るASEANは、他国とFTA(自由貿易協定)を締結することに積極的だ。既にインド、中国、韓国、日本とFTAを結び、それらすべてが発効済みとなっている。そしてASEANを中心としたFTAの輪を1つにまとめ上げようとする動きも始まった。東アジアRCEP(地域包括的経済連携)だ。

□ASEANと日本の貿易関係

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<画像はこちら [23]からお借りしました>

・ASEANの最大貿易相手国・地域は1位:中国、2位:日本、3位:EU
・ASEANへの投資国・地域は、1位:EU、2位:ASEAN、3位:日本・米国
・ASEANへのODA供与国としては、1位:日本、2位:フランス、3位:オーストラリア
■ASEANへの日本人移住者
東洋経済ONLINE:増える海外移住 「脱ニッポン」という選択 [24]より)

海外で暮らす日本人が増えている。(中略)
地域別に見ると、45万人いる北米が最も多いが、次がアジアの33万人。アジアは5年前に比べ19%も増えており、全体の伸び率11%を大きく上回る。アジアで暮らす日本人が増えているのだ。
□教育移住、介護移住… 海外生活の目的が多様化
11年3月の東日本大震災後、移住への関心が大きく高まった。以前は富裕層が中心だったが、今は広がりが出てきている」と語るのは、海外移住に詳しい安田修氏。安田氏の元には、小学校入学前の子を持つ母親からの問い合わせメールが増えている。「子どもの教育」のために真剣に移住を検討している親からの質問だ。マレーシアに昨秋開校した英国名門校の分校には、日本人の親子が数多く見学に訪れている。
「介護」を目的とした移住も増えている。認知症の母親の介護に、日本では月33万円かかったが、マレーシアでは10万円ほどで済んでいる。医療水準の高いタイでの介護も月10万円程度だ。
従来からある、「年金」を元手にした海外移住も活発だ。今、日本でもらえる年金は月額約23万円(会社勤めで平均的な給料を40年間もらった夫と専業主婦の妻が受け取れる合計額)。マレーシアなどのアジアに移住すれば、ゴルフざんまいの豊かな生活が、月20万円あれば実現できる。
「働く」目的でアジアに暮らす人も増えている。1人当たりGDP(国内総生産)が大きく伸びた東南アジア各国は、消費市場としての魅力も増している。イオンやモスフードサービスなど、日本の消費関連企業も東南アジア展開を加速している。

■日本企業のASEAN進出状況
□シンガポール
iza!:日本の中小企業のシンガポール進出急増 [25]より)

日本企業のシンガポールへの進出は近年、大手のみならず、中小企業へと急速に広がっている。「アジアのハブ」「世界のショーウインドー」を目指すシンガポールの施策が、世界中の企業を引き寄せ、人材と情報が集積する「シリコンバレー効果」を生んでいるためだ。経済が停滞する日本が、シンガポールから学べるものは多い。
 シンガポールの日本企業は、日本商工会議所の会員登録ベースで745社(3月末現在)。日本貿易振興機構(ジェトロ)シンガポール事務所への相談件数は近年、急速に増え、2009年度の211件から、11年度は3倍超の735件に達した。

□マレーシア
帝国データバンク:マレーシア進出の日本企業は1383 社 [26]より)

マレーシアでは、売上高上位3位までの企業に、「アサヒグループホールディングス㈱、㈱良品計画、㈱カネボウ化粧品」といった企業が名を連ねています。

その他のASEANの国々に対しても、数多くの日系企業が進出しています。(以下ご参照ください)
□タイ  (タイに進出しているのはいかなる企業か [27]より)
□ベトナム’  (帝国データバンク:ベトナム進出の日本企業は1542 社 [28]より)
□ラオス  (EconomicNews:日系企業の進出が活況、メコン経済圏で注目度が高いラオス [29]より)
□ミャンマー  (YAHOO!JAPANニュース:日本企業、ミャンマーへ続々進出 新たな観光地としての期待も [30]より)
□カンボジア  (日本経済新聞:三菱UFJ、カンボジアで大手銀と提携 日系企業の進出支援 [31]より)
□インドネシア  (帝国データバンク:インドネシア進出の日本企業は1266 社 [32]より)
■まとめ
・ASEAN全体のGDPは、まだ決して高いとは言えないが、年々着実に成長している。また、各加盟国についても、同様のことが言える。
日本からASEANへの投資が年々増えている。その額は、2010年以降、中国への投資額を上回っている。投資額増加の背景には、ASEANの魅力的な労働力(人件費・若年層の人口比率の高さなど)がある。また、ASEANには、今後日本企業がメインターゲットとする中間所得層が増えてくることが考えられ、巨大市場としての可能性も持ち合わせている。
・最近では、「子供の教育」のため、「介護を受ける」ため、「働く」ために、日本からASEANに移住する人が増えている。
・また、数多くの日本企業がASEAN各国に進出しており、その数は今後ますます増えていくと考えられる。
以上のように、日本とASEANの関係は今後ますます深化していくと考えられます。次回は、ASEAN日本・中国・米国との関係について、更に詳しく追求していこうと思います。お楽しみに!

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