2017-08-12
世界を動かす11の原理-7~「国益」のために、国家はあらゆる「ウソ」をつく~
今回から第7の原理を紹介します。
表題にあるように「国家のウソ」とそこから見える国家の「本音」と「建前」を見ていきます。
もう既にご存知の「ブッシュによるイラク攻撃」の本音(石油利権+基軸通貨防衛)と建前
(核兵器開発阻止)や、真珠湾奇襲は実はルーズベルトの「大ウソ」であったこと。
そして、ロシアプーチンの「クリミア併合」の「本音」と「建前」を見ていきます。
当ブログの「スパイの証言」シリーズでも扱ってきましたが、国家は間違いなくほぼ100%ウソをつくと見て世の中の出来事を見た方が良いと思います。
以下、「クレムリン・メソッド」~世界を動かす11の原理~(北野幸伯著)
からの紹介です。
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■■第7の原理:「国益」のために、国家はあらゆる「ウソ」をつく
■あらゆる組織も人間も、自己の「利益」のために「本音」と「建前」を使い分ける
(前略)
「国益」のために、国家はあらゆる「ウソ」をつく
これに関して、「リアリズム」の世界的大家ミアシャイマー・シカゴ大学教授はなんといっているか見てみましょう。
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歴史の記録から明らかなのは、あらゆるタイプのリーダー達が、「ウソをつく」という行為は恥ずべき行動だとして非難されるものだとわかっていながら、それでも「うそは国を動かすための有益なツールであり、しかも様々な状況で使えるし、使うべきだ」と考えている、ということだ。
リーダー達は他国だけでなく、自国民に対してもウソを使うのであり、彼らがそうするのは、それが最も自国の国益にかなうものであると考えるからだ。そして彼らのこの考えが、本当に正しい場合もあるのだ。もし戦略的に利益となるのなら、危険な敵国に対して――特に戦時に――は「うそを使ってはいけない」などと、いったい誰が言えようか。
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では、リーダーはどうやってウソをつくのか?
「本音」と「建前」を使い分ける。
「本音」というのは、「真の動機」「利益」。
それは第二章であげたような、「金儲け」「安全の確保」「エネルギー源の確保」「基軸通貨防衛」など。
「建前」とは、「真の動機」を隠すための、「もっともらしい理由」「キレイゴト」。
では、なぜ国指導者は、「本音」と「建前」を使い分けるのか?
本音を言ったら、国民が国を支持しなくなるから。
たとえば、ブッシュが正直に、「イラクには石油がたっぷりある。われわれは、それをゲットするためにフセインを排除しなければならない!!!」と言った。
アメリカ国民や国際世論は、そんな戦争を支持するでしょうか?
もちろんしないでしょう。
(中略)
「イラク戦争の開戦理由は全部大ウソ」であることを証明した、アメリカ上院報告書は、2006年9月に出されています。そして、2006年11月の世論調査がこれ。
イギリス、カナダ、イスラエル、メキシコ、つまり親米国家で、75%が「ブッシュは平和の驚異だ!」と認識していた。その他の国々は、もっとひどかったでしょう。
実際、ブッシュが、「ウソの理由」で、イラク戦争を始めたことで、アメリカの権威は失墜しました。いえ、「ウソがばれたことで」というべきですね。
ここまで出、何が言いたかったかというと、「世界の本当の姿」を知りたければ、
大国の指導者がアナウンスしている「建前」をそのまま信じてはいけない。