2016-12-30

2017年、世界経済の見通しはトランプノミクス頼み

TAKUMI-CG-この画像はこちらかお借りしました

 

2017年の世界経済の見通しのいくつかに目を通してみましたが、あまり明るい展望は無さそうです。大きなトレンドとしては、先進国の長期停滞に加え、中国を中心とした発展途上国の成長も限界を迎えています。

 

特に注目されているのが、アメリカのトランプ政権、ヨーロッパのポピュリズムの動向、中国経済の動向と言ったあたりですが、ヨーロッパ、中国は明るい材料はありません。唯一、期待されているのがトランプノミクスですが、これも効果は短期的なものにとどまり、保護主義の影響で、長期的には世界経済の縮小均衡、アメリカの成長基盤の衰弱に向かう可能性が高いと予想されています。

 

この打開策として上げられているのは、各国が財政支出=国の借金で景気刺激を行うべきだという、これまでと何ら変わり映えしない方法論のみ。これで、本当に世界経済は成長するという力強さを感じることはできず、もはや打つ手はないということを暗に認めているようにも感じられます。

 

トランプ氏がアメリカ大統領に就任する2017年は、グローバリズム=市場主義経済の拡大が限界を迎え、縮小に向かった転換点として、歴史に残る年になるのかもしれません。比較的、分かりやすかったサイトを抜粋して紹介します。

 

■2017年の世界経済はトランプ政策が翻弄、日本はリスクに備えよ

市場の期待を集めるトランプノミクスは5つの分野から成り、短期的に景気を支えると考えられる部分はある。それ以上に、中長期的な弊害やマイナス面に注意が必要だ。

・財政出動を用いたインフラ投資は、効果は一時的なものに留まるだろう。

・規制緩和は短期的には金融業界を活性化させるだろうが、ゆくゆくは過剰なリスクテイクや金融危機の温床になりやすい。

・減税に関しては法人減税が重要だ。イノベーション”につながる設備投資が増えるなら、米国の潜在成長率は高まるだろう。

・保護主義の影響、世界経済は縮小均衡に向かう恐れがある。

・反移民政策は、成長基盤の弱体化につながる。

 

2017年の世界経済はこの「4大課題」に左右される

2017年の世界経済は見通しが難しい。それはトランプノミクスの実現(米国)、EU離脱の行方(英国)、黄信号の経済(中国)、限界の金融政策(日本)といった4つの経済的課題が予断を許さないからである。

・米国:トランプノミクスの実現。景気刺激型の経済政策(財政政策)を実施すると、副作用として財政は悪化する。米国債の大量発行となり、米国の長期金利(10年物国債利回り)は上昇する。

・英国:EU離脱の行方。英国の裁判所(高等法務院)がEU離脱には議会承認という判決を出した。議会ではEU残留派が多数を占めており、この問題は今後、急展開もあり得る。

・中国:黄信号の経済。昨年対比1割減の輸出、粗鋼などの過剰生産、土地バブル、地方政府と民間企業の債務過剰があり、その結果として、中国人民元が下落している。

・日本:限界の金融政策。アベノミクスの量的金融緩和政策も限界に近くになっている。トランプノミクスによる長期金利の上昇(米国債価格の下落)につられて、日本の長期金利も上昇(日本国債価格の下落)日銀は大量に国債を保有しているだけに、日銀のバランスシートを棄損する可能性がある。国債の格付けがあと一つでも下がると、その影響で日本企業ではいわゆるAAAの企業はなくなってしまう。

 

2017年の経済展望――世界経済を見る上での4つのポイント

「長期停滞」の可能性を示唆する2016年の先進国経済:2016年の世界実質GDP成長率は2015年の3.1%から伸びが鈍化して2.9%である。低成長には、米国の予想外の失速、日本、欧州各国の低成長の持続といった日米欧の動きと、資源輸出国の低迷、そして中国に代表される新興国の成長率の鈍化といった要素が作用している。2017年の先進国経済の先行きは「誇張された財政深刻化仮説」というべき通念を乗り越えて大胆な財政支出を行い、総需要不足を解消して成長につなげる試みが広がるかどうかが鍵となる。

・トランプ新大統領は先進国経済停滞の起爆剤となるか?:トランプ新大統領の経済政策はこれまでふれた様々な問題点・留意点を内包するものの、経済政策が実行される最初の年である来年は、問題点よりも米国景気の拡大といった好影響が前面に出る公算が高い。

・中国経済の何をどう懸念すべきか:中国の2015年実質GDP成長率は6.9%となり、今後もGDP成長率の鈍化が続くだろう。

・アベノミクスを貫徹させることが日本経済再生の最短距離:10兆円程度の財政支出の余地を活かして総需要を拡大させデフレからの完全脱却を果たすことで、短期的な景気刺激と長期的な財政健全化の両立を実現することが求められる。

  投稿者 dairinin | 2016-12-30 | Posted in 09.反金融支配の潮流No Comments » 

世界を動かす11の原理-2~「エネルギー利権」を巡る争いに巻き込まれたロシア~

 

BURISMA オレンジ革命

メソッド第1から第4の原理は割愛して、『第5の原理:「エネルギー」は「平和」より重要である」からその具体事例を紹介します。

 

2014年のいわゆる「ウクライナ革命」:通称オレンジ革命は、「欧米が画策した」とプーチンが公言しています。世界を揺るがす革命や戦争は、そのほとんどが「闇の支配者」が首謀者であることは、これまでこのブログでも紹介してきました。

今回もほぼ間違いないことだと思います。その目的が「エネルギー利権」獲得であることも。

 

その手口も既にお馴染みで、当該目的を達成することができる中枢機関に、「闇の支配者」の要人が入り込みコントロールするというスキームです。オレンジ革命の場合は、首相の対抗候補を擁立し、広報戦略で大衆を洗脳するというやり方。またその後、エネルギー界を支配している巨大企業の中枢に要人を送り込んだ。

 

このやり方に、プーチンは激怒。

「国家の主権に対して武力を使い、同盟を組むのが常套手段だ。我々に賛同しないものは、我々の敵だとみなす。攻撃を合法だと装い、国際機関の必要な決議を破り、様々な理由で都合が悪くなれば、国連、安保理をすべて無視する。」と主張。その通りだ。

 

最近噂されている「米国大統領選挙でのトランプ擁立への不正選挙疑惑」は、もしかしたら、これまで自国周辺でやられてきたことに対する仕返しではないか?とも思える。

 

以下、「クレムリン・メソッド」~世界を動かす11の原理~(北野幸伯著)

からの紹介です。

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 ■2014年2月の「ウクライナ革命」は欧米の仕業か?

 

2014年2月に起こった、ウクライナの革命。これは「欧米が画策した」という説があります。少なくとも、プーチンやロシア政府高官たちは、そう公言しています。

「動機」については、少しあとで。

 

何はともあれ、このウクライナ革命について、その経緯を振り返ってみましょう。

ウクライナは旧ソ連国。ソ連が崩壊した1991年に独立した国です。しかし、その当時から現在まで、政治も経済も安定していません。

理由は、ウクライナの「位置」にあります。ウクライナの東には、大国ロシアがいる。そして、西はポーランドに接する。つまりEUがある。ソ連が崩壊したあと、「アメリカと西欧諸国は、「ロシアが二度と反抗できないようにしてやろう!」と決意した」とロシアは見ています。

 

どうやって?

二つの道具、すなわち、反ロシア軍事ブロックNATOとEUを東に拡大することで、ロシアの勢力圏を徐々に奪っていった。そして、NATOとEUはついに旧ソ連諸国のバルト三国を加盟させ、ロシアの西隣に接するウクライナまで迫ってきました。

 

欧米は、その勢力圏をさらに東に延ばしたい。一方ロシアは、ウクライナでNATOとEUの拡大を阻止したい。

そのため、ウクライナは、欧米の影響力の強い西部と、ロシアが強い東部に分かれて争いが続いてきたのです。

 

2004年11月、ウクライナの大統領選挙で親ロシア派のヤヌコビッチ(当地首相)が勝利しました。しかし、「不正選挙」を非難する大規模デモが起こったため、ヤヌコビッチは再選挙に同意。結果、親欧米派のユシチェンコ(当時元首相)が逆転勝利しました。これを「オレンジ革命」と呼びます。

 

その後、ウクライナの政治動向について、日本ではあまり知られていません。

実を言うと、2010年の大統領選挙では、親ロシア派のヤヌコビッチが「前回の借り」を返して勝利。念願の大統領に就任したのです。もちろん、プーチンは大喜びでした。

 

しかしその後、大統領になったヤヌコビッチは、ロシアと欧米の間を「行ったり来たり」し始めます。そしてヤヌコビッチは、とうとうEUとの関係を強化する貿易・政治協定(いわゆる欧州連合協定)に調印することを宣言しました。

ところが2013年11月、「事件」が起こります。ヤヌコビッチはその協定の調印を「ドタキャン」し、EUを驚かせたのです。

直後、プーチンはウクライナに150億ドルの支援と天然ガス価格の値下げを約束しました。

 

要するに、ヤヌコビッチは、プーチンに口説かれて(脅されて)変心したのでしょう。これに、親EU派のウクライナ国民(主に西部の国民)が激怒。首都キエフで大規模なデモが起こった。

 

2014年2月22日、身の危険を感じたヤヌコビッチは、キエフを脱出し、ロシアに逃亡。「革命」によって、親欧米派の新政権が誕生しました。

 

これに怒ったのが、プーチンです。

(さらに…)

  投稿者 tasog | 2016-12-29 | Posted in 09.反金融支配の潮流No Comments » 

高齢ドライバー事故報道の裏側

高齢ドライバー事故最近、高齢ドライバーの事故報道がやたら増えており、この裏にはいったい何があるのかと思っていたましたが、先週のNHKの朝のニュースで、高齢ドライバーの事故報道から、いきなり自動運転技術の報道につながり、自動ブレーキ装置などの紹介になっていました。報道の目的はこれだったのかと納得。

この間の高齢ドライバーの事故報道で気になっていたのが、統計的にどのぐらい増えているのかの報道が殆どされていなかった事。報道件数の増加だけを意識すると、なんだか爆発的に増えているような気がしますが実はそうでもありません

ちょうど同じころに、朝日新聞で「高齢ドライバーの事故 統計と報道イメージに差 神里達博」という記事が出ていました。

無料登録で内容を見れますので、詳しくは登録して記事を見ていただければと思いますが、ポイントは、「高齢者人口が増えているので事故件数は増えているが、原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たり事故件数を見ると高齢者の事故は減少傾向にある」ということです。(※「第1当事者」とは、当該事故において最も過失が重い者)

神里さんは、「マスコミには議題(アジェンダ)設定機能というものがあり、アジェンダが「高齢ドライバー」に設定され、それに適合する報道が増えたと推測」されておられます。マスコミにはこのような傾向もあると思いますが、それより自動車の自動運転技術を次世代産業の中心に据えたい政府や産業界の意向が反映された結果と考えた方がすっきりします。

ちなみに、警察庁発表の「平成27年における交通事故の発生状況」の原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たり事故件数は、65歳以上の全年代で(80歳以上も)過去10年間減少し続けています。つまり、65歳以上の高齢者に主要に責任のある事故は、10万人当たりでみるとどの年代も減っているのです。

10万人当たり年齢別事故件数

10万人当たり事故件数は実数ではありませんが、事故の実数を見ても、高齢者人口が増えているにもかかわらず、65歳以上全体の第1当事者事故も減少を続けています。細かく見ると、65歳以上で26年度から27年度で事故が増えているのは、65歳から69歳が38,589人から38,851人で262人の、80歳から85歳が10,609人から10,654人で45人、85歳以上が4,092人から4,241人で149人の増加で、増加の幅は少なく、これ以外の高齢者世代は減少し、65歳以上トータルは減少しているのです。

年齢別事故件数

自動運転の技術も進歩しているのでしょうが、まだまだ不安を感じる人が多いのではないでしょうか。実用化にはこのような世論の壁があり、これを突破し自動運転技術を早く商品化するために、高齢者の事故を実態以上にクローズアップしているのではと考えるのは、考えすぎでしょうか。

  投稿者 dairinin | 2016-12-20 | Posted in 10.経済NEWS・その他No Comments » 

反グローバリズムの世界潮流はポピュリズムなのか

populismこの画像はこちらからお借りしました。

 

前回はロシアのプーチン大統領がEUの切り崩し戦略として、ヨーロッパの極右派を支援しており、トランプ大統領の当選も、その流れであることを紹介しました。

 

ヨーロッパでも、イギリスのEU離脱を皮切りに、イタリア、フランス、ドイツと言ったEUを構成する中核国でも反EUの動きは加速しています。マスコミはこれをポピュリズム=大衆迎合政策と評して、あたかも間違った行動であるかのように報道しています。

 

このマスコミの姿勢には非常に大きな違和感を感じざるを得ません。まず、大衆には世界の将来を理性的に考える能力がないと断定するマスコミの傲慢を強く感じます。

 

さらに、このような行動が発生している根本には、グローバリズムの推進による、経済格差の拡大をはじめ、グローバリズムを推進する中で多くの大衆が世の中が悪くなる一方であると感じているという事実があります。

 

つまり、マスコミはグローバリズムの誤りを認めて社会を改善しようとせずに、グローバリズムを堅持するために、大衆はおろかで間違っていると報道しているのです。

 

グローバリズムの正体とは、世界をまたにかけた弱肉強食の戦いであり、資本主義の世の中では、力の強いもの=多くの資本を動かすことができる金貸しが有利になることが、最初から明らかな戦いなのです。

 

反グローバリズムが社会的に高まってきているのは、このような社会矛盾がどんどんひどくなってきているからであり、本来、そこを問題にするべきです。それを、おかしな極右政権が馬鹿な大衆に迎合してとんでもないことを言っている、と言うように報道するマスコミは、金貸しの手先であると断定されても止むを得ないのではないでしょうか。

 

 

反EUのポピュリズムが理性に勝った日

英国はEU脱退によって、単一市場の利点(関税廃止、人と物の自由な移動、自由な資本取引)を失う。英国では輸入品の価格が上昇する。対EU貿易での価格競争力も弱くなる。

 

なぜ英国の有権者はEU離脱の道を選んだのかと不思議に思われるだろう。この背景には、難民危機を追い風として、英国だけでなく欧州全体で右派ポピュリストに対する支持が高まっている事実がある。英国ではポーランドなど東欧諸国からの移民が急増し、ロンドン以外の地方都市を中心として、移民制限を求める声が強まった。

 

「トランプとプーチンとポピュリストの枢軸」が来年、EUを殺す

欧州各国で右派や左派のポピュリスト政党が台頭したのは、財政危機と難民危機をきっかけだった。その躍進を支えたのは大衆の不満だ。リベラルなエリート層がグローバル化によって利益を享受する反面、自分たちは異質の文化の脅威にさらされ、置き去りにされていると感じていた。

 

トランプのアメリカと、プーチンのロシア、ヨーロッパのポピュリスト政党で構成される新たな枢軸は、リベラルなヨーロッパにとって毒のような組み合わせだ。リベラルな秩序を守るために立ち上がるなら、今しかない。

 

ポピュリズムの台頭、欧州統合を弱体化=ECB総裁

ドラギ総裁は、欧州連合(EU)市民の現在の主な懸念要因として「移民、テロ対策、防衛、国境警備」を挙げ、これらはすべて複数の国による共同の対応が必要な問題だと指摘。「欧州の統合が適切な対応策となるが、これがポピュリストの運動などによって弱体化してきている」と述べた。

 

グローバル化の反動?格差拡大への不満?今世界にひろがるポピュリズム。

英米の政治家はしばしばポピュリズムを政敵を小馬鹿にする言葉として使い、この様な使い方ではポピュリズムを単に民衆の為の立場の考えではなく人気取りの為の迎合的考えと見ている。

 

民主制は人民主権を前提とするが、間接民主制を含めた既存の制度や支配層が、十分に機能していない場合や、直面する危機に対応できない場合、腐敗や不正などで信用できないと大衆が考えた場合には、ポピュリズムへの直接支持が拡大しうる。

 

ポピュリズム、欧州を覆うか=仏独選挙に影響も-伊国民投票否決、分断の民意揺れる

イタリアで4日、憲法改正の是非を問う国民投票が否決され、欧州連合(EU)に懐疑的な立場を取る野党は勢いを増している。政権を選択する選挙を来年に控えるフランスやドイツでも、既存政治と対決する勢力が台頭。英国のEU離脱決定や米大統領選でのトランプ氏勝利で勢いを増すポピュリズムの波が、このまま欧州を覆うのか。各国で警戒が広がる。

 

オーストリア大統領選、極右候補が敗退 環境派勝利

大統領選に向けて世論調査では、接戦過ぎて結果は予想できないというのが大方の見方だった。出口調査を含む開票予想では、ファン・デア・ベレン氏の得票率は53%、極右派のホーファー氏が46%の見通し。

 

大衆主義の台頭によるEU否定の波を懸念していたEU首脳は、選挙結果を歓迎。ドナルド・トゥスクEU大統領は「心から祝福する」とコメントし、独メルケル内閣のジグマール・ガブリエル副首相は、選挙結果は「右翼大衆主義に理性が勝った、明らかな勝利だ」と称えた。

  投稿者 dairinin | 2016-12-16 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

プーチン大統領はトランプ政権をどう見ているか

putin-trump-split-storyこれまで3回にわたって、トランプ政権とロシア、中国の関係がどうなるのかを見てきました。

トランプ当選を受け、キッシンジャーが語った今後の米・露・中関係

トランプ政権後の米・露・中の関係

中国はトランプ政権をどう見ているのか

 

今回は、ロシア=プーチン大統領がトランプ政権をどう評価し、どのような関係を築こうとしているのかです。

 

プーチン大統領にとってはアメリカとの関係以上に重要なのがEUとの関係。旧東欧諸国がEUに加盟すれば、ロシアは孤立してしまいます。ロシアにとってEUを分断させることが最重要課題なのです。

 

そこで、ロシアはシリア難民問題を悪化させるような軍事行動をとりつつ、EUの極右政権=ポピュリストを支援してきました。その結果、イギリスのEU離脱を皮切りに、EU諸国で極右政権を中心にしたEU離脱の動きが高まってきています。

 

トランプ大統領の誕生は、このようなナショナリズム、ポピュリストの台頭がEUだけではなく、世界的な時代潮流であることを象徴する現象であることを示す最高の材料になっており、EUの解体を加速する強力な武器となるのです。

 

「トランプとプーチンとポピュリストの枢軸」が来年、EUを殺す

ヨーロッパでは、左派右派を問わずポピュリスト政党がリベラルな既存秩序に対抗し、巻き返しを図っている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の支援も得た欧州各国の反乱に、今やドナルド・トランプのアメリカが加わった。EUは早々にその「犠牲」になりかねない。

 

トランプ氏「賢い人」=ロシア大統領が評価

プーチン大統領は「トランプ氏は企業家だったが、世界の主要国の一つである米国の指導者になった」と指摘。トランプ氏を賢いと評した上で、「賢い人物なら、異なる水準の責任をすぐに自覚するだろう」と語った。

 

トランプはプーチンの操り人形?

米民主党全国党大会の直前に、民主党内の分裂を示すメールが流出してヒラリー・クリントンの足を引っ張ったときは、ロシア政府系のハッカーの関与が指摘された。トランプとロシアの親密さは尋常ではない、ひょっとするとロシアの操り人形なのではないかという指摘は、瞬く間にあらゆる主流メディアに広がった。トランプのようなポピュリスト政治家の躍進に乗じ、ロシア政府がヨーロッパで繰り広げてきた「挑発行為」をアメリカ本土に拡大させてきた可能性もある。

 

プーチン色に染まる世界〜「偏狭なナショナリズム」が次々台頭する理由。トランプ現象と共鳴する新たな国際潮流

トランプ現象とも共鳴する形でと言うべきか、世界を見渡すと、新たな国際潮流のうねりが起きているように思える。それは、端的に言うなら、ロシアのプーチン大統領が世界を「自分色」に塗り替え始めているということだ。プーチン大統領が欧州のポピュリスト政党を援護射撃する形になっているのも異常な事態だ。難民危機は、極右政党や暴力的な反移民組織を勢いづかせ、社会・政治を不安定化させている。プーチン大統領のEU分断策は一定の効果を上げていると見るべきだろう。フランスの極右政党「国民戦線」の党首で、来年の大統領選への出馬が予想されるマリーヌ・ルペン党首もプーチン氏を称賛しているという。

 

プーチンは高笑い トランプ勝利で世界勢力図はこう変わるhttp://www.nikkan-

プーチン大統領はこの1年で2つの勝利を収めた。英国のEU離脱決定と米国のトランプ大統領誕生である。プーチン大統領のシナリオ通りになったわけだが、何が狙いなのか。米国と欧州の分断、G7の崩壊です。14年のクリミア危機を理由にG8から追い出されたプーチン大統領は恨みを募らせている。トランプ氏を自分側に引き込み、G7から抜けさせようともくろんでいるのです。

  投稿者 dairinin | 2016-12-08 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

世界を動かす11の原理-1~プロローグ:「世界のほんとうの姿」を知るための大前提~

クレムリンメソッド 西沙諸島

著者の北野幸伯氏は、卒業生の半分は外交官に半分はKGBになるといわれる「ロシア外務省付属モスクワ国際関係大学」を卒業し、カルムイキヤ共和国(2014年現在、22あるロシアの自治共和国の一つ)の大統領顧問を務め、24年間に亘りモスクワに住んでいた経歴をもつ。

 

その間に、様々な支配者達との交流を通じ、ロシアだからこそ得られる情報を基に、世界を表から、裏から客観的に見てきた方。それをまとめたのがこれから紹介する『「クレムリン・メソッド」~世界を動かす11の原理~』です。

 

この書籍では、「どうやって世界情勢を分析し、未来を予測するのか?」その方法や原理を、11項目「クレムリン・メソッド」として紹介されています。

前回の『2016年世界情勢はこうなる!』シリーズで、ベンジャミン・フルフォード氏の書籍の内容を紹介しましたが、内容については、彼の見方とも共通する部分が多々あります。

 

今回『世界を動かす11の原理』シリーズでは、前回シリーズも踏まえての補足を加えながら、紹介していきます。

 

以下、「クレムリン・メソッド」~世界を動かす11の原理~(北野幸伯著)

からの紹介です。

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「クレムリン・メソッド」の11項目を挙げておきます。

①世界の対極を知るには、「主役」「ライバル」「準主役」の動きを見よ

②世界の歴史は「覇権争奪」に繰り返しである

③国家にはライフサイクルがある

④国益とは「金儲け」と「安全の確保」である

⑤「エネルギー」は「平和」より重要である

⑥「基軸通貨」を握るものが世界を制す

⑦「国益」のために、国家はあらゆる「ウソ」をつく

⑧世界のすべての情報は「操作」されている

⑨世界の「出来事」は、国の戦略によって「仕組まれる」

⑩戦争とは、「情報戦」「経済戦」「実戦」の三つである

⑪「イデオロギー」は、国家が大衆を支配する「道具」にすぎない

(さらに…)

  投稿者 tasog | 2016-12-07 | Posted in 09.反金融支配の潮流No Comments » 

中国はトランプ政権をどう見ているのか

中国軍事パレード前回前々回はトランプ政権が今後、ロシア、中国との関係をどうしようとしているのかを見てきました。トランプ政権はグローバリズムからナショナリズムへの方針転換を志向しており、ナショナリズムの先輩であるロシアとの関係を重視し、グローバリズムを志向している中国と距離を置こうとしています。

 

その中国ですが、中国のグローバリズム=覇権を追及する上で、トランプ政権下のアメリカがナショナリズムに転換し世界における存在感が低下することを期待しており、トランプ政権を歓迎しているようです。トランプ氏が中国に関税をかけると言っているのも、中国市場をアメリカが捨てられるわけがないと、高をくくっているようです。

 

一方で、中国も国内の格差が拡大し国民に不満がたまっているのはアメリカと同じで、グローバリズムの弊害は中国国内でも顕在化しています。その上で中国は、グローバリズムをさらに追及して、覇権を握ることで国を豊かにして、貧困層の不満を解消する路線を取ろうとしているようです。

 

アメリカの圧力が弱まれば、中国は国内の不満を解消するためにも覇権主義的な姿勢をさらに強めて行くことになりそうです。

 

中国、実は「トランプ大統領」を歓迎? その理由は・・・」

中国の指導層にとってトランプ氏の方がくみしやすいだろう。中国は、自尊心が強く、自己中心的で、お世辞や誘惑に弱いリーダーの扱いに非常に長けている。

 

中国が「トランプ新時代」に最も危惧していること

アメリカ大統領選の結果を、中国政府は百年に一度の絶好のチャンスと捉えている。アメリカ人の選択に万歳だ。在日アメリカ軍を撤退させるとか、経済的中国包囲網であるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を大統領に就任した日に破棄するとか、頼もしいことを言ってくれる。

「特朗普(トランプ)」は「商人総統」だ。中国と政治問題や軍事問題で対立する莫大なコストを考えれば、むしろ友好関係を結んだ方が、アメリカにとって利益になると考えるだろう。

最も危惧しているのが、日本の核武装化なのだ。日本は、在日アメリカ軍が撤退してしまうかもしれないと危惧しているようだが、それを同じくらい危惧しているのが中国だ。日本が核武装したら、アジアの安全保障秩序は、根本から変わってしまう。

 

トランプ政権で米国の力の低下をうかがう中国

選挙戦でトランプ氏は、アジアの同盟関係に対して民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官よりも距離を置く発言が目立った。中国の戦略地政学者たちは、米国の力を弱め、アジアの地図を書き換えるという自分たちの野心的計画に、トランプ政権が役立つのを期待するだろう。彼らの期待が本当になる可能性は十分ある。

 

トランプ当選で再浮上した「中国が覇権国家になる」という悪夢

アジア外交、貿易問題、安全保障などに関するトランプ氏の従来の主張がそのまま米国の政策となれば、中国の進める覇権主義戦略を利するようなことは多くあろう。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)がご破算になる可能性が非常に大きい。AIIB(アジアインフラ投資銀行)を立ち上げて中国中心の経済秩序をアジアで構築しようとする習近平政権にとって、それは願ってもない好機。万が一、沖縄から米軍基地が撤退するようなことが現実となれば、一番喜ぶのは習近平国家主席であろう。

 

習近平・トランプ電話会談――陰には膨大なチャイナ・ロビー

習近平はその会談で概ね以下のように述べているという。中米国交正常化37年以来、両国関係は絶えず発展し、両国人民に実際的な利益をもたらし、世界各地域の平和と安定および繁栄を促進してきた。私は中米関係を非常に強く重視しており、米国とともに努力して、両国関係を推進し、両国人民とその他の各国人民に幸せをもたらしたいと思っている。

 

これに対して、トランプ次期大統領は、以下のように回答したという。米中両国は「ウィン‐ウィン」の関係を実現できるものと考えている。私はあなたとともに米中両国の協力関係を強化していきたいと思っている。私は米中関係が必ずさらに良い発展を遂げるものと信じている。

 

トランプの先を行く、習近平ポピュリズムの正体

中国がトランプ現象をどうとらえたかを見ていきたいのだが、トランプという個性以上にトランプを押上げた米国民の怒り、なかでも経済発展から取り残された人々の怒りに注目していたと考えられる。

 

「格差により国民が分断される」とか「発展から取り残された国民の怒り」といった社会不安への警告は、中国ではアメリカ社会で広がるよりはるか前に持ち上がっていた。中国は、一定の経済発展を遂げた後のさらなる突破口として「民主化」という幻想を捨て、党がけん引する経済発展を模索し始めている。

  投稿者 dairinin | 2016-12-01 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

2016年世界情勢はこうなる!23~最終回:2016年世界の新たなステージが始まる~

胡錦涛 輸血経済プーチン・キッシンジャー

日本は「輸血経済」でアメリカへの献金を続けてきた。それに陰りが見えてきたときの方策がアベノミクス。

 

小泉政権がつくり上げてきた郵政民有化を、具体的に推し進めてきた。そして今年それを実行に移した。「ゆうちょ」「かんぽ」の上場である。これにより、またアメリカへの「献血」が活発化した。

 

しかし、ウラジミール・プーチンと胡錦涛の間で、「戦後世界」を定めるための会議がもたれた。これが、21世紀の「ヤルタ会談」とも言われるエカテリンブルク会議である。

この会議の場で、日本の「BRICs」参加が話し合われた模様。

それに応える形で民主党政権も動き出した。

 

それを阻止したのが、「3.11テロ」。

 

これにより、ナチス・アメリカが勢いを取り戻し、日本支配を強化した。ちょうど1998年の北方領土返還を邪魔したと同じように・・・

それと違うのが「ネット洗脳」という新たな世論形成戦略。「現実とは人々の意識である」よろしく、意識を操作し、ニセの現実を作り出している。

 

現在、ロシア、中国を中心に世界は動き出している。その力の基盤やプーチン、習近平の意識を捉え、世界がどの方向に進もうとしているのかを読み解かなければ、日本はアメリカと共倒れになってしまう。

正確が情報の提供は、個人の「まとめサイト」では難しいのは、これまでの記事でも明らかである。

「ネットで金儲け」という目的ではなく、「金貸し支配の世の中からの脱却」を旨として「高い志」を持った「まとめサイト」こそが、その資格を有しているといえよう。

その意味では、当ブログも積極的に活用する「るいネット」がその代表格であると断言できる。

 

「ネット情報」の重要性が高まったことは大きな可能性である。そして今後「事実情報」の必要性が高まることは想像に難くない。

ネット界もいよいよ新たなステージを迎えることになる。

 

以下、崩壊するアメリカ 巻き込まれる日本~2016年、新世界体制の樹立~(ベンジャミン・フルフォード著)

からの紹介です。

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■「新しい世界」の形

 

今後、世界はどう推移するか?

それは歴史が教えてくれる。

古代ローマ、さらに世界帝国となったモンゴル、これら大帝国の興亡は、通貨という面からも分析できる。

 

諸勢力が台頭している時代、商取引の制度や通貨が違うために、そのエリアの貿易はなかなか活性化しない。そこで商人達は、最も信用できそうな権力者に支援して、エリア全体を支配させ、その権力を持って商取引と通貨に共通のルールを定めてもらうわけだ。問題は、国際通貨である。古代ローマとモンゴルは「銀本位制」だった。帝国内の商取引が拡大していけばいくほど、肝心の決済通貨の銀が足りなくなる。皇帝は銀の含有率をどんどん下げ、通貨供給量を維持しようとする。だが、あまりにも銀の含有量が減ってしまうと通貨自体の信用がなくなる。簡単にニセ通貨が出来てしまうからだ。

 

その結果、帝国領内の地方勢力は、地元経済を守ろうと地方勢力自らが「通貨」を発行するようになる。国家とは通貨発行権を持つ組織のことだ。当然、その勢力は帝国から離脱、独立していくこととなる。国際通貨は、単一国家では、いずれ維持できなくなるものなのだ。

 

いま、アメリカで起こっているのは、まさに、古代ローマやモンゴル帝国で起こっていた歴史そのものと言っていい。

 

この大帝国の歴史が教えてくれるように、基本的には「スーパー・リージョナル」(地域大国)が複数、5から10集まってエリア毎に地域大国の通貨を貿易決済に使う。そうしてスーパー・リージョナルの通貨をバスケットした国際通貨を作るのが正解なのだ。

 

BRICs銀行は、近い将来、人民元、ルーブル、ルピー、レアルをバスケットした通貨「ブリックス」を発行するだろう。この「ブリックス」に円、ドル、ユーロ(或いはドイツマルク、ポンド、フラン)が加わり、共通の国際通貨「新ドル」を作るのが、最も良い方法の一つとなる。

 

その「新ドル」でAIIBのような国際投資案件、巨大プロジェクトを行い、世界経済全体を大きく発展させていく。

これが、間もなくやってくる「新しい世界」なのである。

 

■日本人よ、立ち上がり、ナチス・アメリカと決別せよ

 

この「新時代」に目を背けているのが、残念ながら現在の日本であろう。

とはいえ日本人も次第に目覚めつつある。そのきっかけは、間違いなく「アベノミクス」の失敗にあった。

 

アベノミクスを理解するのは「病気」にたとえると分かり易い。日本は病気になっていた。それは献血のやり過ぎが原因だ。どんどん、血(お金)を抜かれて、血の巡りが悪くなり、全身が弱っていたのだ。

 

日本が大量の献血をしてきたのは、親分であるアメリカが大量の生理食塩水で血液の代用をさせていたために血の原料となる血液製剤を作らないと、アメリカが死んでしまうからだった。しかも超のつく肥満のアメリカを、やせ衰えた日本の「血」で補ってきたわけで、日本がボロボロになるもの当然であろう。

 

そこに「名医」が登場する。ドクター・アベである。彼らは日本に対して「輸血して、精のつくものを食べれば良い」と診断した。血を抜かれて体力が衰えていたのだから輸血すれば体調はよくなる。一時的に日本の体調は良くなりかけた。ところが、ドクター・アベは、体力が戻るや「元気になったんだから、またアメリカへの献血の回数を増やしても大丈夫だろう」と、そう処置した。実はドクター・アベ、アメリカの主治医でもあったというオチだ。

 

血が足りなくなって苦しんでいるのに、輸血しながら献血を増す「アホ」な治療をする医師がいたら、どう思うか。ジム・ロジャースがアベノミクスをけちょんけちょんに貶すのも当然であろう。実際、アベノミクスで通貨供給を増やしたものの、その増えた分は、国内への投資ではなく、海外へ流出しまくった。アメリカの資産を買い支え、ドルの価値維持にもっていかれてしまったのだ。

それだけではない、安倍政権は、アメリカへの「献血」をさらに拡大しようとしている。2014年5月には180兆円の年金資金を株式投資に回すと発表、さらに300兆円の資産を誇る郵政マネーまでアメリカへ差し出そうとしている。

 

その証拠に同年12月、日本郵政グループは、持ち株会社の日本郵政と傘下の金融2社(ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)の株式を2016年9月をメドに同時上場すると、発表している。さっそく「上場で時価総額が上昇、日本の国富が増える」と、プロパガンダが始まっているが、とんでもない話だ。「ゆうちょ」は貯金残高177兆円を誇る日本最大の金融機関。「かんぽ」の総資産85兆8000億円も保険業界のトップ。政府は株式の3分の1を保有するが、放っておけば7割が外資に流れるのは明白だろう。

 

そんな状態で、安倍政権は中国脅威論を煽り、軍備強化にも乗り出している。せっかくの輸血は、さらなる献血増加となり、そこに過酷な労働を課そうとしているのだ。狂気の沙汰としか思えない。

 

私の得ている情報では、安倍晋三は、ナチス・アメリカという「メジャー・リーグ」に鳴り物入りで入団した日本人助っ人選手の扱いを受けてきたと思えばいい。安倍政権発足後、欧米メディアがこぞって絶賛したのは、そのためなのだ。

 

ところが前評判とは裏腹に、安倍選手は思ったより「戦力」として使えなかった。そこでナチス・アメリカは、安倍選手を日本からのスポンサー集めの客寄せパンダにしてきた。アメリカのメジャー球団やヨーロッパのサッカークラブでは、日本人選手を「戦力」ではなくスポンサー集めを目的に獲得することがあるという。安倍の場合、戦力として期待したが、使えないので「金集め城、いやならクビだ」という状況になっていると思えば一連の流れも頷けよう。

 

安倍晋三が「戦後レジームからの脱却」を政治ポリシーにしてきたのは間違いあるまい。彼は長州の血筋を受け継ぎ、それを誇りにしてきた。明治維新を主導し、苦労して日本を列強の仲間入りさせた祖先に対し、いつまでも敗戦国であることが許せないのだろう。

 

だから、もう一度、日本を戦勝国にしたいと思っている。そこで安倍は、「ナチス・アメリカ」に賭けることにした。劣勢のナチス・アメリカに協力すれば、好条件が引き出せる。アメリカに次ぐ世界でナンバー2の地位を手に入れる、と。日本の富全てを差し出してでもナチス・アメリカによる「ドル支配」を維持する。「ドル円」という新しい国際通貨で世界を支配できる、そう夢見ているのかもしれない。

 

安倍晋三の願望、いや、妄想に、日本人が付き合う必要はない。

世界の趨勢は決まっているのだ。

ナチス・アメリカは滅ぶ。「闇の支配者」の発行してきたドルは基軸通貨でなくなる。世界は、BRICsを中心とする「スーパー・リージョナル」(地域大国)による集団指導体制となる。この流れは、もはや止められないのだ。

このまま放っておけば日本は、二度目の敗戦を迎えることになる。

その前に、一人でも多くの日本人が立ち上がり、ナチス・アメリカと決別、それに加担する日本の権力者を追い出すのだ。

時間は、わずかながら残されている。

まだ間に合うのだから―――。

 

■エピローグ―――2016年、世界の新たなステージが始まる

 

後世の歴史の教科書には、きっと、こう記されるだろう。

20世紀とは「文明の衝突という名目で世界が戦乱に陥った時代」であり、21世紀とは「超大国アメリカを支配してきた一部勢力による国際謀略が暴かれた時代」になり、その後、世界は東西両文明が融合し、新しい文明が繁栄することになった、そう記されていることだろう。

 

そのきっかけとなった2009年のエカテリンブルク会談は、21世紀の「ヤルタ会談」の役割を果たした重要な出来事として紹介されるはずだ。あと10年もすれば、エカテリンブルク会談でウラジミール・プーチンと胡錦涛の間で、「戦後世界」を定めるための激論、丁々発止のやり取りが行なわれたことが公開されることだろう。

 

この第1回首脳会議で話し合われたのは、「日本のBRICs参加」だった可能性は高い。BRICsの弱点は、最先端の技術と生産力にあった。日本が加入してくれば、その欠点を補うことが出来る。何より、日本は「ナチス・アメリカ」の命綱となってきた。そのライフラインを断ち切るのは、戦略の王道である。

 

日本をBRICs陣営に取り込んだ時点で、この戦争は終結する。そのキーマンが日本。しかも、当時の日本は過去最大の反米感情が渦巻いていた。プーチン大統領あたりは、「2011年開催予定の第2回会議では、いい報告ができそうだな」と、胡錦涛の後の国家主席が内定した習近平あたりに話していたかも知れない。

 

事実、このエカテリンブルク会談から3ヶ月後の同年9月16日、日本では鳩山由紀夫を首班とした民主党政権が成立した。民主党政権は、反米親中、正確には親BRICs政権だったといっていい。鳩山は長男をロシアに送っているほどだ。

 

政権樹立後から鳩山由紀夫は沖縄の「在日米軍」の撤退を申し入れ、小沢一郎もまた、「太平洋は第7艦隊があれば充分だろう」と、アメリカの軍縮を促してきた。このまま民主党政権がうまく機能していけば、日本はイギリスよりも早くBRICs参加を表明、もしかすれば「J・BRICs」と呼ばれていたかもしれない。

だが、そうはならなかった。

 

―――3.11である。

 

これですべの計画が狂っていく。第5章、第6章で紹介したように、3.11以降、本格的な「ネット洗脳」が始まった。この洗脳に嵌り、多くの日本人が騙され、真実から遠ざけられていくことになる。そして2012年12月、安倍政権が誕生。日本はBRICs陣営からナチス・アメリカ陣営へと引き込まれてしまった。

 

残念な結果となった理由は、ナチス・アメリカによる洗脳もさることながら、やはり、民主党政権のレベルの低さも大きかった。日本人の信頼に応えるだけの政権能力が欠落していたところを衝かれてしまったのだ。

 

とはいえ安倍伸三が近代日本の名門一族、長州罰の末裔として「戦後レジームからの脱却」を掲げるというのであれば、彼の祖先が不倶戴天の敵である薩摩藩と「薩長同盟」を決断して幕府を倒したように、彼自身、自民党の首班として民主党との大連合を決断し、ナチス・アメリカと対決するという方法もあったはずだ。そうすれば、彼の名前は、彼の祖先同様、歴史に刻まれたことだろう。

 

歴史に「IF」はないとはいえ、自民党と民主党の大連合を仲介して妥当ナチス・アメリカで糾合する「21世紀の坂本竜馬」がいなかったのは、返す返す残念でならない。

 

後世の歴史書では、第2次安倍政権は「ナチス・アメリカ」の延命を手助けしたとして厳しく批判を受ける可能性は高い。私自身、2009年の「エカテリンブルク会談」で「闇の支配者」との戦いは、間もなく決着すると楽観してきた。これほど長引くとは思っていなかった。2011年の第2回会談(北京会談)で、ほぼ戦後体制が確立、A級戦犯がリストアップされ、翌2012年12月21日、イタリア・フリーメイソン系イルミナティが信じてきた「週末の日」を選んで新時代の到来を宣言すると考えてきたし、実際、当時の自著ではそう述べてきた。

 

それを引き伸ばしたのは、何度でもいうが「3.11」なのだ。このナチス・アメリカによる「テロ」で事情は変わった。終わるべき戦いは不必要に引き延ばされ、世界大3位の経済大国「日本」の全面協力で、ナチス・アメリカに新たな謀略を企てる余裕を与えてしまった。それが中近東、アフリカに於ける大混乱であり、その混乱に乗じた「イスラム国」の対等という国際謀略となって、再び世界をゆがめるようになった。

ナチス・アメリカはITメジャーによるネット型「ウィルス兵器」を世界中にばらまき、必死で巻き返しを図っている。

 

しかし、戦いの趨勢は、既に決まったのだ。どんなにナチス・アメリカが足掻こうとも、情勢が覆ることはない。世界中の人々が、それを望まないからである。

 

繰り返す。戦いは、いま、最終局面を迎えている。

ここにいたってもなお、日本人は目覚めないのだろうか?

私は、日本人と、日本という国を信じている。今は、巧妙なネット洗脳で騙されて冷静な判断力を奪われているだけだ。

 

日本と日本人は、もうすぐ真実に気付き、自ら立ち上がり、ナチス・アメリカとの戦いに参加してくれると、期待している。

 

アメリカは、きっと、アメリカ人の国として再生することだろう。ワシントンD.C.という奇怪なシステムを外し、ごく当たり前の大国へと戻る。そのワシントンD.C.を牛耳ってきたナチス派のヒクソス勢力は一掃され、その罪に相応しい罰を受ける。

 

その戦いに、日本人もどんどん参加していこう。そうして、新しい時代を新しい友人である「アメリカ」と共に迎えようではないか。

本書が、その手助けになるならば幸いである。

  投稿者 tasog | 2016-11-25 | Posted in 08.金融資本家の戦略No Comments » 

トランプ政権後の米・露・中の関係

米露米中

前回は、キッシンジャー元米国務長官が、トランプ政権の外交戦略として、中国とは距離を置き、ロシアとの関係を重視する方向を示唆していることを紹介しました。

今回は、トランプ氏自身が、ロシア、中国との関係をどのように語っているかを調べてみました。トランプ氏の公約を紹介しているサイトから、ロシア・中国に関する部分を抜粋して紹介します。

 

トランプ米大統領誕生で世界はどう変わるのか 5つの形

・ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は強力な指導者だと称え、良好な関係を築きたいと発言。自分ならば、プーチン氏との緊張関係を緩和できるはずだと主張してきた。

・輸入関税を支持し、中国には45%、メキシコには35%を課す考えも示している。

 

【アメリカ大統領選】トランプ大統領誕生! これまでの公約33連発

・中国! アジアで調子乗ってるらしいやん

・とりま東シナ海と南シナ海の米軍増やすわ

・ロシアと一緒に ISシバく

・(税制改革の)ついでに中国の貿易税増やしとこか

 

ドナルド・トランプ氏の公約一覧がこちらwww

・中国・日本を始めとするすべての輸入品に対して20%の関税をかける。

・大統領選に勝利・就任初日に、中国を「為替操作国」に認定する。

・中国のハッカーや模造品に対して規制を強化。

・中国からの輸入品には45%の関税。

・中国の冒険主義を思いとどまらせるために、東シナ海と南シナ海での米軍の存在感を高める。

・米国・ロシア間の協力を増やす。

 

これまでの米・露・中の関係は、米・露はウクライナ問題での経済制裁をはじめ対立関係にあり、米・中は貿易を強化し今や、中国の最大の輸出先はアメリカになっています。ところがトランプ氏はロシア重視、中国敵対に転換しようとしているようです。この方向転換はどこから来ているのでしょうか。

 

これまで、米中関係が良好だったのはグローバリズムの考え方が中国にとっても都合が良かったからと思われます。中国は安価な生産力と世界最大の人口を武器に世界的な覇権を狙っており、グローバリズムの考え方は中国にとっても都合が良かった。一方のロシアは民族主義、東欧経済圏を堅持する姿勢で、グローバリズムとは対立する考え方でした。

 

トランプ氏はアメリカの経済を再生するために、グローバリズムから離脱を目指しており、経済政策についてはロシアのプーチン大統領と考え方が近く、中国とは対立することになります。

 

さらに、中国は経済的にも軍事的にも力をつけてきて、その覇権主義を表に出して国境紛争を起こし始めています。中国が予想外に力を蓄えてきたことに、危機感を感じ、中国をけん制するためにも、ロシアとの関係を強化する方向に転換しているようです。

  投稿者 dairinin | 2016-11-24 | Posted in 09.反金融支配の潮流No Comments » 

トランプ当選を受け、キッシンジャーが語った今後の米・露・中関係

yjimageトランプ氏の大統領当選を受けて、日経新聞に米元国務長官キッシンジャー氏へのインタビューが掲載されていましたので抜粋して紹介します。はっきりとは書かれていませんが、アメリカは「孤立主義」を選択することはあり得ず、第二次大戦後のようにアメリカが圧倒的な力を持った時代には戻らない。その中で、ロシアとの関係を重視した国際戦略をとるべきだと考えているようです。

 

以下抜粋

 

Q:トランプは新たな孤立主義に毒されている。

A:米国に「新孤立主義」という選択はあり得ない

 

Q:今回の大統領選で多くの国が不安を感じた。

A:過激な人たちが多くの支持を得た。多くの人たちが現状に不満を抱いていることの表れ。だからと言って、政治家が幻想を現実のものとして実行できるわけではない。

 

Q:21世紀も米国はリベラルな国際主義で世界を主導できるか。

A:リベラルな国際主義を確立してきた国々は今後もそれを追い求めるべき。

 

Q:トランプ氏は日本など同盟国に応分の負担を求めている。

A:多くの同盟関係はソ連が大きな脅威だった時代に生まれた。新しい時代に脅威の内容は変わっている。新しい現実に立ち向かうため、前向きな意味で再考すべき。

 

Q:米国は中国との関係をどう管理する。

A:米中両国の指導者は両国間の戦争は両国民のみならず、人類のためにならないという現実をしっかり認識するだろう。だが、米中両国には文化的に大きな違いがあるだけに、それをいかにして成し遂げるのかは最も難しい課題と言える。

 

Q:米国とロシアなど大国との関係は

A:第二次大戦後に現れた世界は終わろうとしており、多くの国々との関係を再定義する必要に迫られている。

 

Q:トランプは強いリーダーシップを発揮できるか。

A:我々はいまだに多大な影響力がある一方で、米国によって彼らの意思は決められない。それは米国にとって新しい経験と言える。

 

Q:米国は今後どのような国際戦略を志向すべきか。

A:合衆国がグランド・ステラジーの活用法を学ぶべき。多くの国を互いに結び付けるような長期に及ぶ戦略が必要。米国はまず米ロ、米中関係の今後について自問すべき。「彼らは何を成し遂げようとしているのか」「彼らは何を妨害しようとしていのか」「それを誰とするのか」「その目的達成のために誰が我々に懸念を与えるのか」

 

Q:新たな世界秩序の考え方として「ウェストフェリアの平和」を提唱している。

A: 「ウェストフェリアの平和」は手続きによって参加できる国際システムを作り、必ずしも誰かの意見にすべての国が同意しなくてもよくなった。こうした諸原則は有益だ。

 

Q:中国やロシアの存在感が増す21世紀でも。

A:その際、何がルールになるのかについて同意を作り上げなければならない。そのルールとは国境は変わりえるという考え方かもしれない。そして各国間の交渉でルールも修正されなければならない。

  投稿者 dairinin | 2016-11-17 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments »