2023-07-17

【世界情勢】ユーラシアの安定化と中国の一帯一路

影響力を強める中国。2000年以降の中国の基盤作りと戦略について整理する。

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★現在の中国の国際社会での拡大基盤は、年代順で次の3本柱。
①.上海条約機構(SCO):2001年~ ロシア、中央アジアとの対英米軍事同盟。
・インド含め加盟国は拡大中。リンク
・1990年代、中国とロシアは長きにわたる国境紛争を捨て同盟を結び、まずお互い背後を固め、ユーラシアの安定を図った。
②.BRICS:2009年以降毎年サミットを開いている。明らかに対アメリカ同盟。またアメリカ崩壊後の青写真を協議。最近はサウジやイラン、アルゼンチンなども加盟。新通貨構想もここから。上海にBRICS開発銀行本部。
③.一帯一路構想:2013年~、同時にAIIB設立、2014年シルクロード基金。

※英米(金貸し)の覇権維持のための戦略は、基本的に「分断と対立⇒戦争」させることと、歴史的に反金貸しのロシア封じ込め。中東のイスラエルや、東アジアでの明治維新の日本、イラク、アフガン戦争や現在のウクライナもそのための駒。冷戦構造、また、チベットやウイグルの人権問題や、香港始め各地の民主化デモも、英米の分断の仕掛けの一つ。
それに対して、中露は上記のようにまずユーラシアの安定、仲間諸国を増やし、安定を図るところから始めている。
※ウクライナにおける米国/NATOのロシアに対する代理戦争は、同時に中国の「一帯一路構想(BRI)」の進展を妨害するための戦争でもある。元々地政学はユーラシアの中心部(ハートランド)を分断させる構想(英グレートゲーム)から始まっているが、上記により、地政学上の構造は急激に変わっている。

●一体一路構想について
一帯一路構想は今年で10周年を迎える。
・習近平2013年9月演説で「シルクロード経済ベルト」構築を提案。
・同時期にAIIB(アジアインフラ投資銀行)を提唱、2015年12月発足、2023年6月時点で92カ国・地域が加盟している。この投資銀行は明らかに、一帯一路構想と一体。中国の豊富な資金力を使って、国境の向こう側の諸国のインフラ整備まで中国の主導で投融資して進めようとするのが一帯一路の計画。
・インフラ整備にAIIBの出資により、中国企業が、鉄道・港湾開発などを請け負う。中国の新幹線網もその一環。陸6本、海1本の合計7本の交通路に沿って、高速道路、高速鉄道、パイプライン、港湾、工業団地、発電所などを建設する計画。

海路は、中国の沿海港から南シナ海を通り、さらに太平洋へ伸びていくルートも加えられている。さらに、それら5つのルートに基づいた「六廊六路多国多港」という枠組みが発表されている。
現在一帯一路構想に参加している国は150か国に上り、アフリカ、ラテンアメリカ、南太平洋地域に広がっている。中国は南太平洋諸国から南アフリカへ、盛んに進出している。

※「一帯」の6本の建設計画は、もともと90年代に中国国内の辺境地域の産業振興策、辺境貿易策として始まった。いわば辺境の安定策。新疆ウイグル自治区や雲南省などで、国境に向かう交通路や産業基盤を建設し、新疆と中央アジア諸国やパキスタン、雲南とラオスやミャンマーとの貿易をさかんにする計画だった。
それを、その先の諸国との関係に適用しようとしているのが中国らしい。

※このように見てくると中国と世界の動きが繋がってくる。
・海路のハブとしての南シナ海の重要性 →軍事拠点構築。
・中国にとって最重要なのは、まずはエネルギーの確保≒中東(ペルシャ湾)との連絡。→新疆ウイグル自治区からパキスタンのインド洋・ペルシャ湾近くのグワダル港までをつなぐ「中国パキスタン経済回廊」(CPEC、中パ回廊)。
・ロシアが推進する「北極海航路」も繋がっていると思われる。
すべての地政学的な転換、ウクライナや新幹線の契約含めて、一体一路、中露の戦略と関連している。

★追求ポイント
・現在の先進国・後進国の枠組みは、イギリス覇権(植民地に安い原材料を供給させ、工業で稼ぐ)型の産業構造から始まっている。日本はそれを踏襲した。トップに金貸しと中央銀行。
今後の産業構造は中国・多極間の作り出す仕組みになりそう。

【参考記事】
・「一帯一路」の最新状況 リンク
・No. 1832 BRI列車はいかにしてシャングリラへ向かったか?リンク
・中国の一帯一路と中東 リンク

List    投稿者 inoue-hi | 2023-07-17 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨, 07.新・世界秩序とは?No Comments » 

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