2022-12-08

見えない戦争 ~不整合な金融政策を読み解く2~

前回の投稿では、改めて世界情勢を学ぶ意義・求心構造を捉え直した。
シリーズ「見えない戦争」では、現在の世界経済の動きと、その背後にある政策・意思決定がどう行われているかを読み解いていくことをテーマに進める。

●さっそく今回扱うのは…

「金利(日本を除く)・株価・資源のいずれもが同時に高水準なのは何で?」

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日本は、オイルショック以来の不況かつ物価高に。
また、日本を除く諸外国では金利、株価、資源が全て高水準という経済学の常識ではありえない状況。
これが「どれだけ特異な状況か」という原理原則を押さえるところから始める。

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●金利・株価・資源の関係とその背景
・金利が高いとお金は、確実に利息付きで返ってくるリスクの低い有価証券(国債)へ流れる。そして、株に投資する量が減るので、株価は下がる。

・また、好景気の時は金利が高く設定される。しかし、ずっとその調子は続かないので、いずれは銀行からの借入は縮小する。同時に生産量も縮小されるので、物価の高騰が収まり資源も安くなる。

⇒このように、本来なら金利が高くなると株価と資源は安くなる。
★しかし、現在は実質経済の純景気によってではなく、世界的な異次元緩和の影響により、どんなものよりもお金の価値が低い状態となっている。すなわち、金利も株価も資源も高水準になっている。

このような転換のそもそもの始まりは、70年代に豊かさが実現されたことから。
先進国では物的欠乏が衰弱→お金が余る→投機市場へ移る→各地でバブルが起きた(東京、ITなど)。それを受けて日本をはじめ先進国企業は工場を自国外に移転した。
(しかし、現在日米の金利差は拡大。日本だけあらゆる通貨に対し低金利になっており特異な状況が続いている。)

アメリカの金利上昇に対して日本の金利変動はない。
結果、アメリカの国債が買われる→ドルが上がり1ドルで買えるものが増える→1ドルあたりの円の価値が安くなる→円安・物価高となっている。一部の日本企業は国内回帰を進めている。ただし、日本の大企業の多くは多国籍企業が多く、円安でも影響をうけにくいという側面も見逃せない。

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・・・このように、今までの経済の当たり前が当たり前ではなくなっている。
「現状を正確に読み解くこと」こそが、これから求められる経済分析力になるだろう。
つまり、従来の経済知識の有無ではなく、「関心」さえあれば誰もが追及できるということ。

さて、「金利・株価・資源のいずれもが同時に高水準なのは何で?」ですが、引き続き段階的にみなさんと追及を進めていきたいと思います。
次回は…、そもそも異次元緩和政策とは?!

 

List    投稿者 juri | 2022-12-08 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨1 Comment » 

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コメント1件

 山田 | 2022.12.09 16:02

それから今日のニュースで銀行が仮想通貨関係の会社に投資できないようにするために、米民主党がFRBにちょっかい出してましたよね~!
あそこのリンクが断ち切られると、2023年中に実現しそうだった投資対象としての暗号資産から交換手段としての仮想通貨への移行に待ったがかかって、となると………ってことになるかもしれませんね。

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