2012-05-22

世界を操る支配者達(2)〜20世紀を支配したロックフェラー家

第一回〜ロスチャイルド家 
 
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ロックフェラー
おそらく誰もが一度は聞いたことのある名前だと思います。
NYのロックフェラー・センターの所有者、石油産業の帝王、大財閥、世界の影の支配者など、言われは様々です。
 
そしてロックフェラー家と言えば、現在当主で96歳のデイヴィッド・ロックフェラーが、最も知られている人物です。
 
一方、デイヴィッドが当主であることに異を唱え、自分がロックフェラー家の正統な後取りだと主張し、このデイヴィッドと対立しているのが、ジョン・ダヴィッドソン・ロックフェラー4世−通称ジェイ・ロックフェラー74歳です。
 
またロックフェラー家は、世界を舞台に欧州ロスチャイルド家との勢力争いの渦中にあると言われており、とにかくスケールの大きい一族として知られています。
 
こちらはロックフェラー傘下の一部ですが、ロスチャイルド家と同じく有名な世界企業がたくさんあります。

  
第2回の今回は、このロックフェラー家にスポットを当て、一族の出自に始まり、どのようにして石油や金融において今日の地位を築いてきたのか、そしてその背景にどのような出来事があったのかを見ていきたいと思います。
 
  
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まず、ロックフェラー家の家系図と関連する歴史をまとめてみました。
これを参照されながら以下を読んでいただくと分かりやすいと思います。

 
  
●一攫千金を狙ってアメリカへ〜ロックフェラー一族の出自とは
 
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16世紀、ヨーロッパで起こった宗教改革により、キリスト教はカトリックとプロテスタントに分裂。その影響を受け、やがてイギリスでも清教徒革命が起こります。当時のヨーロッパは政教一致の時代で、教会や王政が絶大な力を持っており、人々は身分も固定され得られる私権も限られていた時代です。
 
14世紀以来ヨーロッパ各地で起こったルネサンスのムーブメントは、こうした宗教的な改革へと発展し「信仰の自由」の名のもと、教会への反発が強まっていきます。それは市民達の私権拡大の要求でした。そして既得権化しているヨーロッパを見限って、私権獲得の可能性を新天地アメリカに求める者が清教徒の中から出てきます。
 
その最初の清教徒(ピルグリムファーザーズ)がアメリカに渡ったおよそ100年後の1723年、デイヴィッドの祖先にあたるヨハン・ペーター・ロックフェラーがアメリカのニュージャージー州にやってきます。彼もまたプロテスタントでした。
当時から一族はプロテスタント(バプテスト派)ですが、その出自はスファラディ(スペイン・ポルトガル)系ユダヤ人とも言われています。しかし宗教的民族的な出自は諸説あり、正確なところは不明です。少なくとも事実として言えるのは、出自がユダヤであったとしても、今日一族はプロテスタントであるということです。
そのヨハンから二世代程下った19世紀、ジョン・D・ロックフェラー1世ウィリアム・ロックフェラーの兄弟が登場します。
 
ところで、彼らの父親はニセ薬の行商で生計を立てていました。幼いジョンは七面鳥の世話をして母親から小遣いを貰っては貯めていたと言われ、5歳の頃からすでにこの父親に自分の貯めた小遣いを利子つきで貸していたそうです。そして6歳の頃には小さな会社に帳簿係として奉公するという経歴ももっています。 
 
こうした経験からジョンは会計士として生計を立てていく道を歩みます。石油王として知られるジョン1世ですが、後の石油ビジネスを成功へ導いたのは、こうした幼少からの金融への精通が大きく手伝っていたことは、容易に想像できます。
 
ニセ薬を売っていた父親、そして金融や普及前夜の石油へ着目するジョン。ロックフェラー一族の草創期は、一攫千金を狙う成り上がりの姿を見ることが出来ます。これは、彼らに限らず、当時アメリカに渡った多くのヨーロッパ人の姿でした。
 
 
 
●石油とエネルギー革命〜ジョン・D・ロックフェラー1世の時代
 
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1859年ジョンが20歳のとき、ペンシルバニア州タイタスビルという町で、初めて石油の採掘が事業として起こります。
 
ジョンはこの石油に目をつけ、当時林立していた採掘業者を買収するなどし、石油事業に乗り出します。そして1863年スタンダード石油を設立し、1880年代にはアメリカ産のランプ、ストーブ燃料(灯油)の90%のシェアを誇るまで事業を拡大することに成功します。
 
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ジョンのスタンダード石油がここまでシェアを拡大出来たのは、鉄道王ハリマン財閥の暗躍があったためと言われています。ハリマンが石油の輸送に使う鉄道の輸送費を、スタンダード石油だけ他社よりも安くしたことで、ジョンの石油は他のどこよりも安く売ることができ、それがシェア拡大へとつながったのです。
 
ハリマン財閥は欧州ロスチャイルド傘下の銀行家です。ジョンの石油シェア拡大の背後にはロスチャイルド家のバックアップがあったようです。
 
ところで、当時の石油は灯油を取り出した後は廃棄物として扱われていたのですが、実はそれをガソリンとして普及し始めるのが、この頃でした。1870年ヨーロッパではユダヤ系オーストリア人のジークフリート・マルクスによって世界初のガソリン自動車が発明され、それ以降、自動車の燃料は石炭からガソリンへと急速に移行していきます。
 
この19世紀末から20世紀初頭にかけての石油産業は、ジョンのスタンダード石油と時期をほぼ同じくしてオランダでロイヤルダッチ石油そしてイギリスではシェル石油が相次いで設立されています(この2つはロスチャイルド系の企業で後に合併しロイヤル・ダッチ・シェルになる)。
 
そして1928年には、ロックフェラー系企業(BP、ニュージャージー・スタンダード、エッソ、モービル、ガルフ、テキサコ、カリフォルニア・スタンダード)とロスチャイルド系企業(ロイヤル・ダッチ・シェル、アングロペルシャ)によるカルテルが結ばれ、石油の販売権を彼らが独占すること成功します。 
  

  
エネルギーが石炭からガソリンへ急転換していくこの時代は、まさにエネルギー革命でした。今日においても石油はエネルギーとして欠かせない資源ですが、その契機となったのが、この頃なのです。そしてロックフェラーは石油にまつわる精製、輸送、流通など一連のビジネスによって莫大な財を得ていきます。
  
 
 
●アメリカ金融界に君臨〜ジョン・D・ロックフェラー2世の時代
 
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ジョン1世の息子であるジョン2世と、1世の弟であるウィリアムの息子ウィリアム・グッドセルの時代になると、一族は石油ビジネスで得た莫大な財を駆使して、アメリカの金融界にも勢力を拡大していきます。
  
ジョン2世は、かの有名なロックフェラーセンターを建設した人物としても知られています。そのジョン2世はチュース・ナショナル銀行(チュース・マンハッタン銀行の前身)会長だったウォンスロップ・オルドリッチの姉アビー・オルドリッチと結婚することで金融企業を一族に取り込みます。そしてウォール街へ影響力を次第に大きくしていきます。
 
実はジョン2世の結婚の前に、ウィリアム・グッドセルもNCBN(ナショナル・シティ・バンク)頭取の娘であるサラ・スティルマンと結婚していました。ロックフェラー家と婚姻関係を結んだオルドリッチ家スティルマン家は、この頃からすでにアメリカ金融界において大きな影響力を持っており、このチュース・マンハッタンとNCBNという金融の2本柱を軸に、ロックフェラー家はウォール街における支配力を拡大していきます。
 
 
しかもジョン2世の妻アビーの父親であるネルソン・オルドリッチは上院議員で、FRB設立の基礎となる連邦準備制度法案(オルドリッチ法案)を提起した人物です。 
 
このオルドリッチ法案は民主党の猛烈な反対に遭い廃案となりますが、ウィール街の銀行家達は、今度は共和党を使って、この法案を通過させようとします。
 
1910年11月22日、J・P・モルガンが所有するジョージア州沿岸のジキル島で会議が開かれ、FRB設立について計画が討議されていました。J.P.モルガンやポール・ウォーバーグ、そしてジョン・ロックフェラーを後ろ盾として、1913年にウッドロウ・ウィルソンが大統領に就任し、このウィルソン大統領が、かつて廃案となったオルドリッチ法案(この時はオーウェン・グラス法と呼ばれていた)に署名し、同年多くの上院議員がクリスマス休暇で不在となった隙を突いて12月23日に法案が議会を通過。こうして連邦準備制度が成立しました。
 
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この時はロックフェラーはもちろんJ・P・モルガンの背後にいるロスチャイルドもこの法案を通過させるためにその力を発揮していました。いわばウォール街の銀行家達が協働しあって大統領や議会を強引に動かして成立させたのがこのFRB制度です。ロックフェラーやロスチャイルドといった巨大な一族達がこの頃からすでにアメリカ国家の中枢である議会そしてホワイトハウスをも掌握していたことが伺えます。
 
 
 
●より強大な一族へ〜デイヴィッド・ロックフェラーの時代 
 
ジョン2世とアビーとの間には5人の子供が生まれました。その末っ子が現在の帝王デイヴィッド・ロックフェラーです。
 
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この5兄弟はいずれも政治家や実業家として知られており、中でも次男のネルソン・ロックフェラーはフォード政権時代に副大統領まで務めている人物です。また、1971年にロックフェラー家の財力によって世界貿易センタービルが建設されますが、このツインタワーには当初「ネルソン」「デイヴィッド」という名前がつけられる予定だったそうです。
 
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デイヴィッドは末弟ですが兄達の急逝の後に一族の当主となります。ここからロックフェラー家はロスチャイルド家を凌ぐ勢いで、勢力を拡大していきます。
 
金融界ではロスチャイルド系のJ・P・モルガンをナショナル・シティ・バンクが1955年に吸収し、シティ・バンクを発足させ、ロスチャイルド家を取り込みます。また同年にオルドリッチ家のチュース・ナショナル銀行とバンク・オブ・マンハッタンとが合併しチュース・マンハッタン銀行にもなります。こうしてアメリカ金融界はロックフェラー家に染め上げられていきます。(なお2000年にはこの二行が合併しJPモルガンチュース銀行となります)
 
そしてロスチャイルド家が世界情勢を調査し誘導するために設立した民間シンクタンク機関「外交問題評議会(CFR)」の理事長に就任してその主導権を奪い、またロックフェラー家が独自で日本、アメリカ、欧州の情勢を背後で誘導していく機関「日米欧三極委員会」も設立していきます。
 
また、ロスチャイルド家をはじめ欧州貴族らも出席しあらゆる国際事項を決定していく陰のサミット「ビルダーバーグ」への影響力も大きくなっていきます。
 
こうしたロックフェラーの勢力拡大を快く思っていない勢力もあります。ロスチャイルド家がその先鋒ですが、ロックフェラー家の中にもこのような人物がいます。
 
ジョン2世の長男ジョン3世の息子で、デイヴィッドの甥にあたるジョン・D・ロックフェラー4世【通称ジェイ】74歳です。
 
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ジェイは自分が正統な当主であると主張しジェイコブ・ロスチャイルドと手を組んで、デイヴィッドと対立しています。例えば2008年のリーマンショック、2009年のオバマ政権の発足などは、デイヴィッド勢力に対抗するためのジェイとジェイコブ・ロスチャイルドの反撃だと言われています。
  
そして現在もこの勢力争いは世界を舞台に繰り広げられています。
  
 
次回は、再びヨーロッパに移ります。今もなお強大な権力・財力を有するイギリス王室の秘密に迫ります。

List    投稿者 heineken | 2012-05-22 | Posted in 未分類 | No Comments » 

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