2019-07-05

国際情勢の大変動を見抜く!-19~中央銀行が政府から独立している本当の理由~

ジョセフ・スティグリッツ

今回は4人目のグローバル化を推し進める金貸しの手先:ジョセフ・スティグリッツについて。

彼はノーベル経済学賞を受賞したことで、日本でも有名ですね。

当ブログ読者の皆様であれば、自然科学系以外のノーベル賞受賞ということだけで、金貸しの意向を汲んでいるということはお分かりでしょう。

 

珍しくFRB批判をしているので騙される人も多いはず。但しFRBは民間企業であることは口が裂けても言えない。故に超格差社会の一因はFRBにあると言いながら、堂々巡りの議論に終始し、「市場の修正」などとお茶を濁しているとのこと。

なぜ彼がFRB批判をしたのか?それはFRBを解体し、世界中央銀行への布石だと思われる。

 

最後に筆者は、「グローバリズムとは、国際銀行家たちが支配する世界市場を創造しようとする地球規模の運動である」と断じている。

 

これで4人のグローバリズム推進派を歴史の流れに沿って見てきましたが、金貸しの意向は大きくは世界政府樹立の方向に動いてきているということが言えると思います。

これに対抗するのがロシアを筆頭とした民族派ですが、今後はこの民族派の動きも見ていきます。

『世界を操る支配者の正体』(馬渕睦夫 著)からの紹介です。

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■スティグリッツは庶民の味方ではない

最後に、同じく洗脳に注意すべき例として、グローバリズムの論客の一人で日本人にもよく知られているジョセフ・スティグリッツを取り上げます。元世界銀行のチーフエコノミスト兼上級副総裁であり、2001年にノーベル経済学賞を受賞した大物経済学者です。クリントン大統領時代には大統領経済諮問委員会委員長を務めました。

 

スティグリッツは著書『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』の中で、世界銀行やIMFの発展途上国に対する融資政策を批判して脚光を浴びました。しかし彼は、世銀やIMFのグローバル化のための構造調整融資そのものを否定したわけではありません。善意で行ったがやり方が賢明でなかった、グローバル化は望ましいことなので問題はどのようにグローバル化を進めるかにあると主張したのです。要するにスティグリッツはグローバル化推進論者なのです。

 

彼のこの主張は、2012年に出版された「世界の99%を貧困にする経済」で一層明確になっています。グローバル化が超格差社会をもたらし労働者の生活水準を低下させていているので、反グローバル化運動が拡大している。したがって、グローバル化をもっと均衡のとれた状態に戻さなければならないと論じているのです。リーマンショックの後で書かれた本でも、相変わらずグローバル化を推進する必要があるという主張を維持しているのです。

 

私はジャック・アタリやアイン・ランドに比べれば、スティグリッツに誠実さを感じます。庶民の窮状に対してある程度の同情を示してもいます。しかし、彼の改善策は結局のところ実現不可能な項目を解説している段階に留まっているのが残念です。現在のアメリカの格差社会を改善するには、市場中心主義そのものを変革しなければならず、市場中心主義の元凶は中央銀行たるFRBの私益中心の行動であるにもかかわらず、以下に述べるように、スティグリッツは市場中心主義が生き延びるように、市場の修正を唱えているにすぎません。

 

スティグリッツは、「上位1%による上位1%のためのマクロ経済と中央銀行」の章を設けて、アメリカの中央銀行FRBについて論じています。しかし、残念ながら隔靴掻痒です。通貨政策とマクロ経済政策とFRBの行動が不平等の拡大に寄与している点があるというのは正直な指摘だと思いますが、FRBがなぜ富の配分に関心がないのかの理由を明らかにしていないのです。その答えは簡単ですが、本質的です。FRBは民間銀行だからです。スティグリッツはこの事実だけはどうしても書けないのです。この事実に触れずにFRBの政策を批判しているため、どうしても堂々巡りのような議論になってしまうのです。

 

スティグリッツの論点を一つ一つコメントする紙幅の余裕がありませんので、中央銀行の独立性に触れた部分のみ取り上げます。これだけでも、スティグリッツが、FRBが民間銀行である点に触れるのを巧妙に回避していることがよくわかるからです。「もし、中央銀行が政治権力の言いなりであったら、政治家たちはコストを遠い未来に押し付けて、目先の利益を得るために金融政策を操作するだろう」との指摘を取り上げてみましょう。

 

この文章を読むと、つい私たちは頷いてしまうのではないでしょうか。ここに、巧妙な洗脳があります。なぜ中央銀行、つまり通貨発給権を持つ銀行が政府の影響下にあってはならないのでしょうか。

 

彼は政治家が選挙用に悪用するからだと述べていますが、だとすれば、通貨以外の政策分野は政府(政治家)が選挙用に悪用しても問題ないというのでしょうか。現に、選挙前であろうがなかろうが、通貨政策を除き政府(政治家)が政策を執行しています。スティグリッツのこの論理を厳密に貫けば、政府(政治家)はいかなる政策も選挙目当てになるから実践してはならないことになり、政府は不要という結論になってしまいます。通貨問題のみ政府から独立していなければならないというスティグリッツの議論は、完全に破綻してしまいます。

 

■中央銀行が政府から独立している本当の理由

政府から独立した中央銀行は、どうして民間銀行でなければならないのでしょうか。民間銀行なら当然自分たち銀行家の利益に有利な通貨政策をとるはずです。FRBの歴史を見れば、実際彼ら自身の利益にかなう通貨供給や金利政策をとってきているのです。この点に触れずに、中央銀行の独立性を議論するなどまったくナンセンスです。私たちは洗脳されないように注意を怠ってはならないでしょう。

 

スティグリッツは別の項で、「いかなる民主主義国家でも、公的機関は―――どういう体裁をとろうと、中央銀行は公的機関だ―――ある程度の説明責任を負わねばならない」と強調していますが、FRBの体裁の実態については明らかにしていません。彼が言うように中央銀行は公的機関でなければならないのです。民間資本家が株主のFRBが公的機関であるはずがありません。中央銀行は民間銀行であってはならず、公的機関でなければならないのです。

 

かと言って中央銀行は財務省の一部の部局である必要はありません。財務省から独立しているが、政府の機関でなければなりません。要するに、政府や議会の適切なコントロールが及ぼせる公的機関でなければならないのです。

 

さらに、彼は「民主主義的な政治プロセスから独立した中央銀行を持つことが望ましいとしても、理事会は少なくとも金融部門のメンバーに占められるのではなく、各界の代表で構成されるべきだろう」と述べていますが、ここでもさりげなく政府から独立した中央銀行、すなわち民間の中央銀行が望ましいことを確認しています。中央銀行は民主政治と相容れないと堂々と主張しています。つまり、中央銀行は独裁的でなければならないと断じているのです。スティグリッツのこの主張を聞くと、グローバリズムがなぜ超格差社会をもたらすのか、その理由が明らかになってきました。

 

マネーの支配者は国民の監視から超越していなければならない、したがってマネーの支配層は一握りの寡頭勢力でなければならないことが論理の必然になるのです。この論理は金融寡頭勢力のみに通用する一方的な主張であることは明白です。要するに、スティグリッツたちは以下のことを十分承知しているはずです。つまり、グローバル化した市場はマネーの価値のみで動くから、マネーを支配するものが市場を支配する、したがって国家を支配し、世界を支配するという構図が成立していることを。そこで、マネーを支配するものは誰なのか、これさえ明らかにすれば、世界を支配するものが分かるのです。

 

マネーを支配するものとはマネーの発給権を握っている中央銀行であり、中央銀行の株主です。FRBの株主はいまだに公開されていませんが、さまざまな研究の結果ロスチャイルドやゴールドマンサックス、JPモルガンなど国際銀行家であることが明らかになっています。そうしますと、グローバリズムとは、国際銀行家たちが支配する世界市場を創造しようとする地球規模の運動であるということができるのです。

現代貨幣理論(MMT)はベーシックインカムの財源になるか

無題前回の投稿、「ベーシックインカム、今、何故、注目を浴びているのか-2」で、ベーシックインカムの財源として現代貨幣理論MMTが取り上げられていましたので、日本の代表的な研究者として上げられていた、中野剛志氏、朴勝俊氏のMMTに関する説明を調べてみました。従来の経済理論を地動説とすれば天動説と言っていいような発想の転換と説明されていましたが、一読の価値ありです。

(さらに…)

  投稿者 dairinin | 2019-07-04 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

アメリカは、イランを叩き欧州から信頼を失っている。

アメリカがイランを強烈に批難して、経済制裁を課しています。
安倍首相が、仲介役としてイランに行きましたが、状況は改善していません。

そもそも、何が問題なのか? 何故にアメリカは怒っているのか?
世界の国々は、アメリカとイランのどちらの味方なのか?

日本のニュースは、アメリカのニュースのコピペなので、アメリカが正しい(≒イランが悪い)のニアンスで発信されているので、アメリカがまずい内容は出来るだけ発信しないので、内実が把握しにくいのです。

まずは、「イランの核合意」について、ダイジェスト版(下記)を押さえておきましょう。

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■イラン核合意(朝日新聞より)
2002年にイランでウラン濃縮施設が見つかったことを契機に、同国が核兵器を持てないよう米英仏独中ロの6カ国、欧州連合(EU)が15年にイランと締結した。

イランが15年間、核兵器に転用できる高濃縮ウランや兵器級プルトニウムを製造せず貯蔵濃縮ウランや遠心分離機を削減する見返りとして、対イラン制裁を緩和する。

トランプ米大統領は2018年5月に核合意離脱を表明、同年11月までにイラン産原油禁輸など合意に基づいて解除されていた制裁をすべて再発動している。
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6ヵ国合意なのにあまりかが一人で脱退!!
イランは約束を守っていないと云い出して、経済制裁を始めたのです。
英仏独のヨーロッパ3国も、この件でアメリカ批判をしています。

アメリカとヨウロッパの関係が大変化しています!!
中国・ロシアは当然にイランの味方です。

つまり、全員に反対されているのに、アメリカは一人で暴れているのです。

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■ヨーロッパ3カ国首脳、核合意遵守の支持を強調
(2018年05月18日http://parstoday.com/ja/news/world-i43990 )

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イギリスのメイ首相(中)、フランスのマクロン大統領(右)とドイツのメルケル首相(左)
イギリス、ドイツ、フランスのヨーロッパ3カ国の首脳が、ブルガリアの首都ソフィアで3者会談を行った後、どのような状況においても核合意を維持することを求めました。
レバノンのアルマヤーディーンチャンネルによりますと、イギリスのメイ首相、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル首相は17日木曜、ソフィアで核合意に関する会談を開催しました。

この3カ国の首脳は、共同声明の中で、「核合意のすべての参加国は、この合意を完全に守るべきだ」と強調しました。
フランス、イギリス、ドイツは、核合意に関する取り決めを守るようイランに要求するとともに、核合意の維持を保障することを強調しました。
この声明はまた、核合意の維持を強調するとともに、イランのミサイル計画と地域活動に対抗するとしました。

アメリカが今月8日に核合意から離脱したことを受けて、ヨーロッパは核合意を維持しようと努力しています。
トランプ大統領は核合意からの離脱を宣言した際、イランに対する制裁の復活に署名し、イランとの貿易に関してヨーロッパ諸国に警告を発しました。
イランは、核合意の利益が保障された際にのみ、核合意にとどまると宣言しています。
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イギリスはこれまでは最大のアメリカの味方だったはずなのに、大阪G20でイギリスの名首相が、「トランプさん、いいかげにしなさいよ」と語っています。

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■イギリス首相が、核合意の署名国との協力を強調(2019年06月30日http://parstoday.com/ja/news/world-i54065)

イギリスのメイ首相が、日本・大阪でのG20サミットの傍ら、イギリスは核合意の残留国との協力を継続すると強調しました。
タスニーム通信によりますと、メイ首相は、核合意の重要性を強調し、「この合意は、国際的に重要なものであり、イギリスはこの合意を遵守している」との見解を表明しました。
また、「イギリスは、核合意の他の署名国との協力を継続し、この合意の維持に向け全力を尽くすだろう」と語りました。
メイ首相はさらに、ペルシャ湾の最新情勢の変化について、緊張の拡大は誰の利益にもならないとし、この問題の政治的な解決策の模索を強調しました。

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トランプの本心は分かりませんが、来年の大統領選までは、イスラエル(米国の経済界を握るユダヤ有力人が多い)の人気取りで、イランを叩いている可能性も考えられます。

敢えて欧州と険悪関係を作り、欧州にロシアにアプローチすればと促しているかのようにも見えます。

どちらにしろ、日本のマスコミでは、アメリカの不都合なニュースは、最低限しか流されない、情報コントロールされている事を肝に銘じましょう。

by猪飼野

  投稿者 dairinin | 2019-07-02 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments »