2014-05-17

アメリカ・デフォルトは起きるのか!?-10 ~イギリス王室を乗取ったヴェルフ家~

前回、ハプスブルグ家の陥落に成功した12世紀から17世紀にかけてのイタリア王家(サヴォイ家)の支配戦略を取り上げました。しかし、ヨーロッパ全体をこの当時サヴォイ家の支配下に至ったと考えるのはいささか安易でしょう。

特に、30年戦争でも大きな動きを取る事無く、18世紀に植民地大国となるイギリスの王室はこの当時一体どうなっていたのか?大航海時代を迎えた15世紀からヨーロッパの勢力関係を振り返りながら見ていきましょう。

 

 ■ 15世紀半ばのポルトガル・スペイン ~ベネチアの金融勢力が支配領域を開拓~

15世紀半ばに始まった大航海時代、当時ポルトガル・スペインの王族はレコンキスタの戦費負担により国の資金繰りは火の車状態だった。実質的に資金提供者はベネチア商人だったリンク)。

また、この時代に起こった「宗教改革」の画策もベネチアの金融勢力だった。「イエズス会」を組織し、現地の王族・武将たちに接近し、金貸しと共に武器を売りつけた。そして戦争によって作り出された貧困をテコに、教徒の拡大を図っていった(リンク)。

国家(王)が大航海に関して、直接的なプレイヤーではなかった。ゆえに王族自体に力はなく、30年戦争(1618~1648)を期に国家権力を弱めたポルトガル・スペインは捨てられた。ハプスブルグと敵対関係の「オランダ」と支配下に無い「イギリス」へシフトする。

実はシフトする経緯となった30年戦争であるが、この戦争で儲けたのは「サヴォイ家」だけではない。「ヘッセン家(源流がヴェルフ家)」も儲けた。ウェストファリア条約第50~62条に明記されている(リンク

第五十二条〔ヘッセン・カッセル〕             【ウェストファリア条約 第52条 一部引用】
これまでミンダウ司教領に与えられ,そう判断されてきた管区シャウンブルク,ビュッケブルク,ザクセンハーゲン,シュタットハーゲンにおける直接にして有効な支配権は,今後は現ヘッセン方伯である領主ヴィルヘルムおよびその継承者に完全な保有権のもとに永久に属するものとし,前記司教も他の何人も これを乱すことはできない.

そして、ヘッセン家の本家「ヴェルフ家」こそがイギリスを世界大国へ導く闇の支配者ではないかという仮説を立てて、今回は記事を進めていきたい。

(さらに…)

  投稿者 sashow | 2014-05-17 | Posted in 08.金融資本家の戦略No Comments »