2014-03-27

金貸しによる洗脳教育史⑤ ~16世紀の宗教改革の黒幕はベネツィアの金融勢力だった

 

『金貸しによる洗脳教育史』シリーズのこれまでの流れ、

金貸しによる洗脳教育史①~プロローグ
金貸しによる洗脳教育史②~皇帝と教皇の詭弁合戦から大学が生み出された
金貸しによる洗脳教育史③~特権化された大学が壮大な騙しの社会を創っていった
金貸しによる洗脳教育史④~数万人に1人の天才を発掘するエリート教育の起こり

権力を正当化する「詭弁能力」を磨くために大学が成立した事、そして、大学人とは初めから、最高権力者によって手厚く保護された特権階級だった事、そして15世紀の英国で創設され、オックスフォード、ケンブリッジを超えるエリート校となった「イートン・カレッジ」を中心とした洗脳教育史を見ていきました。

kaikakugo

今回は、16世紀に起こった宗教改革を見ていきます。宗教改革とは、中世のヨーロッパ全土を巻き込んだ金貸しによる洗脳教育だったことを明らかにしていきます。

にほんブログ村 経済ブログへ

 ■16世紀の宗教改革はヨーロッパのお金の流れを変えた   

 16世紀には、ローマ教皇を頂点とするローマ・カトリック教会は爛熟と腐敗を極めており、カトリックの聖職者の信仰や説教は、聖書に記述された教義や典礼から大きく逸脱していました。

一般的には、ルターに始まる宗教改革とは、このローマ・カトリックの教えとキリスト教本来の信仰との間にある溝を埋めようとする改革であり、キリスト教原理主義(キリスト教根本主義)への回帰だったと言われています。

 この宗教改革を主導したのが、マルティン・ルタージャン・カルヴァンという二人の人物です。彼らの起こした運動(宗教改革)と思想とは具体的にどういったものだったのか?まずは見ていこうと思います。

○マルティン・ルターの宗教改革(聖書主義と信仰義認説)=ドイツ

ルター

 私たち自身の功績や善行や正しさによるのではなく、ただキリストの功績と行いによって、神の恵みを受けるということです。私たち自身の懺悔や悔い改めやどんな行いによるのでもなく、ただキリストを信じるというその信仰によって、私たちは神に義と認められる、つまり罪が完全に赦され、神の御国にふさわしい者、正しい者とされるということです。これはルターの宗教改革の指導原理になりました。それはどんな教会の伝統や権威でもなく、聖書だけが教会の教えを決定するものであり、私たちが神のために行うどんな業でもなく、信仰のみ、神の恵みのみによって私たちは救われるのであるということです。

ルターは宗教改革で教会不要論を唱え、聖書主義を提唱しました。今回、注目すべきは、次のカルヴァンの思想です。

○ジャン・カルヴァンの宗教改革(聖書主義と予定説)=フランス

カルヴァン

カルバンは、人々は生まれた段階で、神によってその人生があらかじめ決められているという予定説を唱えました。つまり生きている中で救われる者と救われない者は、その本人の意思に関係なく決められているというものです。またカルバンは、これから逃れることはできないものの、神の掟を守って勤勉に働くことで、なんらかの救いを求めることができると説きました。

カルヴァンは神は偉大すぎて誰が救われるか我々にはわからない、としながらもこんなことを言う。

神に選ばれて救われる人が誰かを知る方法はない。ただ、神から選ばれた人は運がよい。だから、選ばれたものは現世で成功する確率も高いのではないか、と。職業というのは神からあたえられた使命だから、おのおのが自分の職業でがんばって成功するならば、その人は神から選ばれた者である可能性が高い。

では、成功はどうやってはかるのか。カルヴァンの答えは単純です。「お金が貯まること。」お金を貯めればためるほど成功の証拠になる。

カルヴァンは職業的成功が救済の証拠になると説いた。成功は蓄財によって証明されるので、カルヴァンは必然的に蓄財を肯定します。

この点がそれまでのキリスト教と違うところ。カトリックは蓄財を肯定しません。お金を貯めることは卑しいことなんです。もし必要以上にお金を貯めたならそれは教会に寄付すべきなのです。個人で使い切れないお金を持つのは不道徳。イエスは金持ちは天国に入りにくいと教えていたのですから。

ところがカルヴァンは「お金を貯めなさい。どんどん貯めなさい。」と言ってくれる。だからカルヴァンの教えが最も広がったのは新興の市民階級でした。商工業に従事している人たちです。蓄財に関する罪悪感をカルヴァンは見事に取り払ってくれたのです。

おもしろいのは、かれらはお金をどんどん貯めますが、貯めて贅沢をしようとは全然考えない。贅沢三昧したらお金が減ってしまいます。貯めること自体が目的なのですから。貯めて貯めて貯めまくって、自分の救済の確信を得たいのです。

カトリックやルター派は余分な財産を蓄えていることを禁止しています。しかし、カルヴァン派は蓄財(貯金)を勧めたのです。天職理論とも言われるカルヴァンの予定説によって、労働者としての職能意識は強化されました。そして、カルヴァンの思想は当時発明された印刷機によって刷られ、印刷物を媒体としてヨーロッパ全土に広がっていきました。

 ルターが教会不要論を唱え、カルヴァンが人々に蓄財意識を与えることによって、それまで教会に集まっていっていたお金が、大量に銀行に流れるように変わりました。この流れは、その後の銀行への集金システムの構築と繋がり、資本主義と市場拡大の基盤となっていったのです。

 つまり、16世紀の宗教改革とは、ヨーロッパのお金の流れを変えた改革だったのです。

 ■宗教改革を仕掛けたのは黒い貴族ベネツィアの金融勢力 

しかも、この改革は、純粋に宗教的理由で起こったのではなかったようです。

イグナティウス・ロヨラのイエズス会創設とマルティン・ルターによる宗教改革運動の両方とも、そのスポンサーはベネツィアだった。ゲルフとギベリンの抗争では味方同士だったローマ教会の強大化を牽制するためである。宗教改革は外から仕掛けられた揺さぶりであり、イエズス会は内奥深く打ちこまれた楔に喩えることができよう。

『悪の遺産ベネツィア 黒い貴族の系譜』 天童竺丸著より~世界権力の正体を明かす② より

宗教改革によって、教会に流れていたお金は銀行に流れるようになりました。カルヴァンを筆頭とした宗教改革の流れの背後には、実は黒幕がいたのです。その黒幕が“黒い貴族”ベネツィアなのです。黒い貴族ベネツィアとはなにものなのでしょうか?

銀行の創立は「許可制」であった。
許可していたのは、西ローマ帝国時代以来、生き残っていたイタリアの元老院である。

15世紀になると、ヨーロッパでは次々に銀行が創立される。大部分はイタリアのヴェネチア等に本拠地を置いていた。当時の「お金の借り手」は、ほとんどが王族である。信用があり、莫大な資金を「使う」人物等、当時は王族しか居ない。戦争資金を提供していたのはこの銀行であった。

人類における銀行の起源は、「戦争資金調達機関」である。

ローマ帝国の皇帝に反旗を翻した富裕貴族達は、帝国を分裂させ、「自分達の思い通りになる小国」を乱立させる。

古代ローマ帝国は、東西ローマ帝国に分裂し、西ローマ帝国は早々に内紛と戦争で分裂し、最終的にはドイツ、フランス、イタリア、スペイン等の小国分立の状態になり、現在に至っている。

こうした貴族勢力=反カトリック=反皇帝の牙城がヴェネチアであった。
このヴェネチアの金融業者が、後にスイスの金融界を形成する。

スイスの金融業界は、イタリアのヴェネチアからの移住者達が形成した。

『世界を支配するものたちの隠された歴史①~銀行の起源』より

 

1559年、ジャン・カルヴァンによって、スイスに神学校としてジュネーヴ大学が創設されました。

ジュネーブ大学

こうして見ていくと、宗教改革の流れと、ベネツィアの動きは符合する点が見えてきます。

宗教改革とは、実は黒い貴族ベネツィアがスポンサーとなって起こした運動だということが見えてきます。16世紀に起こった宗教改革はベネツィアの金融勢力が、金を集めるために仕組んだ中世のヨーロッパ全土を巻き込んだ洗脳教育だったのです。

 

 ★次回
次回の舞台はアメリカへ移ります。現代の金貸しの巣窟とも言えるイエール、ハーバードをはじめ、米国独立前後のアイビー・リーグ創立の過程を取り上げたいと思います。

List    投稿者 yidaki | 2014-03-27 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2014/03/2175.html/trackback


Comment



Comment