2009-09-21

世界経済を中国が牽引できるのか?〜②〜

9月6日の記事「世界経済を中国が牽引できるのか?」リンクに続き、三橋貴明氏の『中国経済 隠された危機』を再度扱いたいと思う。
今回は、「なぜ中国バブルが起こったのか?」を 原因→現状〜どうなる? の流れで見て行きたいと思う。

画像:オフショアな海外投資日記からお借りしました
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以下、三橋貴明氏の「中国経済に隠された危機」引用
1.中国バブルの原因

○バブルを求める世界マネー
ITバブル崩壊後のFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げにより、世界中にマネーが溢れ返るという、これまでにない現象が発生した。しかも、日本やスイスなどに極端に金利が低い国も存在し、グローバルにマネーを調達できる金融機関は、資金調達を極めて容易な環境下にあったのだ。(中略)とくに、リーマンショック以降、マネーは世界的に拡大した金融混乱のなか、安全な投資先を探すのにさえ苦労するような状況に陥ってしまった。(中略)サブプライムローンを含む証券化商品という投資先を失い、リーマン・ショックでダメージを受けた欧米禁輸期間は、新たな投資先、いや新たな「バブル」を創り出す必要性に迫られたのである。
○相次ぐ「ポジショントーク」
中国の場合、金融市場が全面的に開放されていなかったことも幸いし、サブプライムローン禍の影響はそれほどでもない。主力の輸出製造業は悲惨な状況に陥っているが、政府の公共投資でGDPを下支えする余地も、他の国よりは広い。しかも共産独裁国であるから、株式市場や不動産ビジネスに「人為的」な力が働く余地が大きい企業のファンダメンタルや住宅需要と無関係に、価格の高騰が起きる「確率」が高いのである。人為的にバブルを起こすのに、これほど打ってつけの国はないのだろう。
地方の共産党官僚にしても、成績(GDP)を嵩上げするには、不動産バブルを再燃させ、住宅投資を拡大するのが最も手軽だ。
さまざまなステイク・ホルダー(利害関係者)にとって、中国でバブルを引き起こすことは、非常に利に適った「ビジネス」になっていたのである。
○余剰の国内マネーもバブルの一因
そもそも中国当局の金融緩和は、同国の中小企業への融資拡大を意図していたのだが、その目標自体はまったく達成できていないようである。中国の銀行が不良債権の拡大を恐れ、中小企業ではなく大企業を中心に融資を拡大しているためだ。(中略)
要は、中国の銀行が政府から命じられた目標達成を優先し、とりあえず「安全な投資先」に貸し出しを増やすことで、融資実績をつくろうとしているだけなのだ。(中略)結果的に、銀行から「政府命令」による融資を受けた一部大企業たちは、子会社の金融企業経由で資金を株式市場に投じている。(中略)中国の今回の株式バブルには、海外マネーのみならず、「政府命令」により生み出された国内マネーも使われているわけだ。
○二〇〇九年に「バブル創出」が起こるわけ
さらにもう一つ、二〇〇九年上半期に中国で「バブル創出」が行なわれ「なければならなかった」理由が存在している。じつは、中国の株式市場では、株式の売却が必ずしも自由に行なえるわけではないのだ。
中国では、二〇〇五年に非流通株式の改革が行なわれた。この改革により、中国の証券市場における発行済み株式数の七割を占める「非流通株(国有株など)」について、一定のロックアップ(売却禁止)期間を経たのちに、自由に売却することが認められることになった。(中略)そして、二〇〇九年こそが、ロックアップ期間が終了する中国株式が最も多い年なのである。〇九年にロックアップ期間が終了し、売却が可能になる中国株式の総数は六六一〇億株と、〇五年以降に流通株に転換された株式総数(一.一四兆株)の五八%を占めている。
すなわち二〇〇九年こそが、外資系金融機関が中国株式を「最も売り超す可能性が高い一年」になるわけだ。
○不動産バブル再来を狙う不動産業者
中国の株式バブルのほうは、ここ数ヶ月は目立たなくなってしまったとはいえ、前回(二〇〇五年以降)とほぼ同じペースで進行している。ところで、バブルの二本目の柱である、不動産のほうはどうなっているのだろうか。
中国人民銀行の融資目標設定により、たしかに同国の銀行は貸し出しを拡大した。だが、先にも触れたように、それらのお金は肝心の中小企業には向かっていない。大企業を経由し、一部は株式に、そして残りはやはり不動産関連企業に向かっているようである。

中国がバブル化したのには、世界的に金が溢れてしまい更にはリーマンショック以降の世界経済の低迷でより安全な投資先を作ろうと、作為的に選ばれたのが中国という背景がありそうだ。
では、バブル化した中国がどのようになって、又、これからどうなっていこうとしているのか?三橋氏の見解を下記に記す。
2.バブルの現状〜どうなる?

○金融緩和が呼び込むインフレ
急激な金融緩和の効果は如実に表れており、二〇〇九年上半期の人民元融資増加額は七兆三六六七億元(約一〇一兆円)を、早くも〇八年通過実績を一・五倍も上回ってしまった。
○国債の引き受け手がない
さらに、中国のインフレ懸念は、新たに別の問題まで引き起こしてしまった。
〈『ブルームバーグ』二〇〇九年七月十七日
「中国の国債入札:二週間で三度目の札割れ − 資金は株式・不動産へ」
中国財政省が十七日実施した百八十二日物(六ヶ月物)の国債入札は、応札者が少なくこの二週間で三度目の札割れをなった。〉
(中略)この中国政府の、二週間に国際札割れ三度という醜態の背景には、これまでに説明してきた中国人民銀行の金融緩和が隠れているわけだ。
○政府支出+融資拡大で再燃したバブル
(前略)中国の銀行が中央銀行から融資目的を押しつけられ、実際に融資を拡大したとしても、最もお金が入り用な中小企業には回らない。そして、銀行側が喜んで融資を増やしたい大企業のほうには資金需要が存在しない。結果、融資増加分の多くが、不動産や株式などのバブルに向かっているのが中国の実状なわけである。(中略)結果、株式・不動産バブルが再燃し、挙句の果てに、肝心の国債にマネーが回ってこなくなってしまったわけだ。
○「成長至上主義」では健全な成長は望めない
現在、中国は「政府支出という需要」という市場を中心に、国内の生産が回復しつつある。とはいえ、さすがに中国の産能過剰(生産能力の過剰)は凄まじく、公共投資レベルでは、とても吸収できる規模ではないようだ。(中略)外需が縮小し、個人消費が目論みどおりに拡大しない以上、中国は「投資」中心の成長を志向するしかなく、実際にそうしている。
○金融引き締めでバブルが崩壊する日は近い
ただでさえ国内暴動や少数民族との衝突が発生している状況で経済までもが失速してしまうを、上海万博の開催までもが疑問視される状況になりかねない、などなど。
本来であれば、二〇〇七年の痛い経験がある以上、中国人民銀行としては早めにバブルの芽は潰しておきたいところだろう。しかし、金融引き締めの影響範囲を思うと、なぜなのか思い切った行動には出にくいタイミングなのだ。(中略)中国人民銀行は、極めて近い将来に金融引き締めに転じざるを得ない。そして、人民銀行が政策を転換した場合、中国の現在のバブルは一〇〇%に近い確率で、一気に崩壊することになる
○日本の対外投資は「中国離れ、インド好み」へ
数値:日本の対中・印向け海外直接投資
     二〇〇五   二〇〇六   二〇〇七   二〇〇八(年度)
中国 : 7774   6706   7105   6793
インド:  452    636   1890   8090(億円)
二〇〇八年度の時点で、日本の企業の対インド投資純増額中国向けを上回ってしまたのである。(中略)対印投資が今後も拡大していくか否かは、同国の「インフラ整備」にかかっていると考えれれている。もっとも、実はインドのインフラ整備の遅れこそが、日本企業にとってのビジネスチャンスをいう考え方も可能だ。インフラが未整備なインドだからこそ最強のインフラ企業が目白押しの日本にとって、格好の投資先と言えないわけである。
○海外からの投資が激減
(前略)二〇〇九年一月から五月までの対中直接投資は、総額が三四〇億ドル(約三兆二六〇〇億円)と、対前年同期比で二割も縮小してしまった。総額もさることながら、同国への新規進出企業数が七八九〇社と三四%も減少してしまったことは、基礎技術について基本的に外資頼みの中国経済にとっては、実に不吉な事象である。

三橋氏は、中国のバブルは投資家達が経済不況の中で金余りの運用先として、安全で儲かる投資先(バブル)を作り上げようとし、金利の低い欧米諸国ではなく中国でバブルを創った(創らざらない状況だった)。
このバブルは、近い将来、金融規制で一〇〇%の確率で崩壊するといっている。
事実、日本もその危機を感じているのか海外投資先を中国からインドへと動きを見せている。
やはり、中国のバブル崩壊は近くに感じる。。。
又、投資先をインドにした理由も気になってくるがどんな理由があるのか?
今後、調べてみるとなにか面白いことが分かるかもしれない。

List    投稿者 yhonda | 2009-09-21 | Posted in 未分類 | 3 Comments » 

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コメント3件

 3rd Eye | 2010.04.08 19:48

普天間に限らず、沖縄の米軍基地を巡っての経緯がとてもわかりやすかったです。
佐藤元首相の密約文書もあらわになり、日米の関係は今大きな転換期を迎えていると感じます。
次回の日米の力学についての記事も楽しみにしています。

 s.tanaka | 2010.04.22 18:38

3rd Eyeさま、コメントありがとうございます。
もう3回目もアップされましたが、マスコミ報道とは裏腹に、ネット情報を見ていると、
県内・国内移転にこだわっているのはむしろ日本の一部では?という事実が見えてきます。
ではどうする?4回目でなんとか可能性を見出したいと思っています。お楽しみに!!

 hermes kassel | 2014.03.13 6:43

hermes bags catalogue retailers 金貸しは、国家を相手に金を貸す | 普天間基地問題、どうなる?その1

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