2013-02-04

【続新春企画】新政権で日本の外交どうなる?(1)安倍政権就任後の動き

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2013年1月4日当ブログ:新春企画「新政権で2013年の日本どうなる?〜外交政策〜」では、

・政権に復帰した自民党の安倍総理は日米同盟強化を外交の基本方針としており、憲法を改正して自衛隊を正規軍として位置づけ直すなど、右傾化の動きを強めると予想される。
・経済的には、金融緩和、TPP推進など、米国の圧力に沿った新自由主義的な政策をより一層推進していくと予想され、インフレ→円安→日本国債暴落の危険性も高まっていく恐れがある。

と予測しました。
では、この間の安倍政権の動きはどうだったのでしょうか?中間まとめです。
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■お土産なしの米国訪問はお断り
就任早々、まずは「米国に挨拶に行こう!」と意気込んでいた安倍首相ですが、米国からは「来るな!」と言われてしまいました。どうも理由は「お土産がない」ことが原因だったようです。
以下「日米首脳会談が延期された理由はTPPや普天間など4分野の成果要求された為」より。

安倍総理の訪米が2月に延期に成った原因は、米側の外交日程などの都合ではなく、日本が4分野で「具体的な成果」を示すようにと、米国との首脳会談までに決める様に言われた為とわかりました。
米、普天間など4分野の成果要求 首脳会談の事前調整(北海道新聞1月18日)
米政府が、2月開催で調整中の日米首脳会談に向けた外交当局間の事前折衝で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設や環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題など計4分野で「具体的な成果」を示すよう日本側に求めていることが17日分かった。複数の日米外交筋が明らかにした。
同筋によると、米高官は今月、日本側関係者に「両首脳が会談時に記念撮影をするだけでは意味がない」と述べ、日本側の決断を促した。他の2分野は、国際結婚が破綻した子どもの扱いを定めたハーグ条約の早期加盟と米国産牛肉の輸入規制緩和問題。
(中略)
米側は停滞する普天間移設問題解決に向けた具体的な取り組みを求め、TPPでは、首相がオバマ大統領に交渉参加を明示することへの強い期待感を日本側に伝達している。米側の求めを受け、首相はハ−グ条約加盟に向けた関連法案の国会への再提出など国内手続きを急ぐ方針。
普天間では、首脳会談前の来月にも沖縄県知事に対する県内移転先の埋め立て申請を検討しているものの、地元の反発は必至で、最終決断に至っていない。

その後、バーグ条約加盟は決定、米国牛肉輸入規制もこの間緩和されています。残るは、TPP・普天間はまだまだ難しいと言う状況・・・
それでもクリント国務長官と岸田外相の会談で2月弟3週に安倍首相のワシントン招待が決定した(リンク)と言うことは、TPPと普天間問題についても何らかの答えを提示したのでしょうか???
普天間問題・TPPについて、この間の動きを整理します。
●普天間基地の辺野古移転問題
2月2日に安倍首相は沖縄で仲井真県知事と会談し、アメリカ軍・普天間基地の移設問題について改めて名護市辺野古沖への移設に那覇空港第2滑走路の前倒し等のお土産を持って理解を求めました。また、辺野古沿岸部の埋め立て申請について、今月下旬で調整しているアメリカ訪問前には行わないとも発言しています。
このような動きについて、ブログ上では「安倍晋三首相が沖縄県を訪問、米軍普天間飛行場の辺野古への移設問題は、一件落着、めでたし、めでたし」との見方もあります。
では、米国・政府が沖縄にこだわる理由は?何?→県外移設の可能性はあるのか?
以下、平成24年防衛白書より。

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沖縄は、米本土やハワイ、グアムなどに比べて東アジアの各地域と近い位置にある。このため、この地域において部隊を緊急に展開する必要がある場合には、沖縄に駐留する米軍は迅速に対応することができる。また、わが国の周辺諸国との間に一定の距離があるという地理上の利点を有している。さらに、南西諸島のほぼ中央にあることや、わが国のシーレーンにも近いなど、安全保障上きわめて重要な位置にある。こうした地理的特徴を有する沖縄に、高い機動力と即応性を有し、様々な緊急事態への対処を担当する米海兵隊をはじめとする米軍が駐留していることは、わが国の安全のみならずアジア太平洋地域の平和と安定に大きく寄与している。

オバマ大統領は2期目に入りASEANを最初に訪問する等、アジア重視を明確に打ち出してきました。また中国が尖閣諸島問題や南西アジア圏への影響力を強めている中で、この地域での存在感を示し中国の台頭を抑止する必要もあります。
表面上は経済面を中心に中国とは仲良くし、一方で大統領命令のみで動かせる「海兵隊」を普天間から辺野古に移転させ、更に基地を強化させる可能性が高いと思われます。
また、米国の財政難→軍事費削減に伴い、海兵隊の人員削減・グアム・豪州への移転、その他米軍基地の見直し(嘉手納基地以南の米軍基地5施設・区域の返還も普天間移設と切り離して先行実施)等による米軍の力の減を補うため、日本に「国防軍」を作らせ米軍の下請けとして機能させるつもりではないでしょうか。
更に日本は、米国軍産複合体の下請け工場にもなろうとしている。

日本がF−35戦闘機の開発・製造・修理の拠点になろうとしているという驚くべき事実をすっぱ抜いたのだ。そうであれば欠陥戦闘機を導入する理由が頷ける。これから完成させるのだ。その裏には日本の軍需産業を米国の武器開発・製造・修理に参加させるという産軍複合体の実態が見て取れる。(天木直人

いずれにしても、米国にとっても防衛省にとっても、普天間基地機能を県外に移す気などない!ということでしょう。
参照:普天間飛行場の機能と役割
  「普天間飛行場・固定化」を危惧 急浮上の「グアム先行移転」計画

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●TPPはどうなっている?
まず、衆院選で大勝した自民党の政権公約はTPPに「賛成」でなく「反対」と明記されています。
公約:「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します。」
これに対して経団連は?

経団連の米倉弘昌会長は新年のメッセージで、TPP参加をはじめ諸外国との高いレベルの経済連携の実現は「待ったなし」だと督促。

一方で農協は?

他方、全国農業協同組合中央会(JA全中)の萬(ばん)歳(ざい)章(あきら)会長は年頭あいさつで、「国内には依然としてTPP交渉参加に向けた動きがあります」と指摘し、「交渉参加断固阻止に向け、関係団体等との連携を強化し、一層の国民運動を展開してまいります」と表明しました。
日本農業新聞が行った同紙農政モニター対象の意識調査で、TPP交渉参加反対が全体で75・9%を占め、自民党支持層では80・0%にのぼりました。同紙は「内閣の対応次第では、自民支持層の離反をも招く可能性がある」と指摘しています。(同紙4日付)

(以上、リンク
この状況の中で安倍政権は?

「米国が求めているTPPに日本が参加するのかどうか、見通しが立っていないこともあり日程調整が難航。TPPという土産なしの訪米では米国側にメリットが少ない」と外務省関係者は語る。
自民党内にはTPPへの参加反対論が根強く、TPP反対議連には200人近くの自民党議員が集まった。安倍氏が党内の反対を押し切ってTPP参加を表明した場合、党内が大混乱に陥るのは必至。しかも今夏には参院選も控えている。
先の外務省関係者は、「国会運営の円滑化のためには参院選勝利による衆参ネジレ解消が必須。ところが、TPPが参院選の争点になったら農業票が逃げ、自民党は地方で苦戦を強いられる。安倍氏としてもスンナリTPP参加を表明しにくい状況にある」と話す。
リンク

現在の状況は?

政府は2月下旬に開催を予定する日米首脳会談までに、TPP主要国の米国に「聖域なき関税撤廃」を撤回するよう要請する方針を固めたのである。
つまり、TPPを10年後100%関税撤廃しない協定に変更を求めるのである。
以上、(リンク

安倍総理は、TPPのお土産無しに訪米せざるを得ない状況です。米国はどう出てくるのか?
■政府と日銀の共同声明発表(金融緩和、デフレ脱却・2%物価上昇)

共同声明には、日銀による2%の物価上昇率目標と金融緩和の推進による目標の「できるだけ早い実現」が明記された。安倍首相が、かねて訴えてきた日銀による2%目標の明確化が実現し、共同声明を受けて首相は「大胆な金融政策に向けて大きな道筋ができた。金融政策の大胆な見直しという意味においても画期的な文書」と満足気に語った。

自民党が政権を取る前から円安が進み、株価はどんどん上がっています。
実際に自民党の具体的な政策も無い段階からこの動きが始まっており、裏で外資が円売り・株の買い占めに動いており、その影響は国債金利にも出始めています。
実体経済は何も良くならず、金融市場だけが活況な状況です。
では、この金融政策の先はどうなるのでしょうか?
以下、「アベノミクスに群がる外資(金融市場が異常な活況・欧米に続く国債バブル)」より。

●国家破綻の危機も 国債も中央銀行が買い取り 近づく「限界」
日本もこの国債バブルを真似して通貨を膨張させ、デフレ脱却というより将来的にはハイパーインフレすら起きかねないコースをたどろうとしている。自民党が「日銀法改正」を掲げているのも、大きくは金融統制に向かっていることをあらわしており、日銀をFRBやECBのような機関にするという狙いも含まれている。
さしあたり、安倍晋三が主張する「デフレ脱却」や「経済成長」を実現するためには、TPP参加や企業の海外移転・グローバル展開、さらに構造改革や規制緩和を徹底的に実行せよという論調がエコノミストや経済界、外資の共通した要求となっている。
(中略)
ただ、「打ち出の小槌」のように取り沙汰されている国債発行も、度外れれば度外れるほど国家破綻につながっていくことは、欧州危機が示している。日本の国家債務は1100兆円にもなり、もはや大盤振舞する余裕などない。35兆円の国家債務でデフォルトしたギリシャの比ではない。ところが、世界有数の借金大国でありながら、お金がないなら刷ればいいというのがアベノミクスの特徴で、日銀の国債買い取りが取り沙汰されてきた。
(中略)
国債の中央銀行買いとりがこの時期に出てきたことは、国内で消化できないこと、国民の金融資産をみな食いつぶして「限界」が近づいていることを示している。最近では外資も100兆円近く日本国債を購入しており、国債暴落局面を作り出して売り浴びせていくことすら懸念されている。
(中略)
現実に、無制限の金融緩和を打ち出した安倍政府発足と歩調を合わせるかのように、日本国債の長期金利は上昇し始め、年末段階で30年物国債金利は1・98%にまで上昇し、2%台突破も視野に入れる動きを見せている。

国内での日本国債消化は限界に来ている。
1月の30年物国債の動きを見ると、11日に2%を突破。その後1月末で1.975%、更なる買いが進んでいます(財務省)。この動きも、外資によるものか??遂に日本国債も金融派生商品となったのか?
■中間まとめ
・安倍総裁の訪米は、お土産無しでは米国はお断り。
・こまった安倍政権は、まず、バーグ条約加盟、牛肉輸入規制は緩和。
・普天間→辺野古移転は、米国も防衛省も譲るつもりは無い。ほぼ移転は決定か?
・残るTPPは、参議選敗北と党内の分裂回避のため、公約通り動く。
・国内経済は、活況は金融市場のみ。それを作っているのは外資。
 その先には、外資による国債暴落→国家破綻が控えている。

次回は、米大統領選挙後のアメリカの動きについて見ていきます。
お楽しみに・・・・
画像はこちらからお借りしました。リンク リンク

List    投稿者 yooten | 2013-02-04 | Posted in 未分類 | No Comments » 

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