2013-07-30

【4】『素人にも分かる経済の真相』シリーズ〜金利って、何?〜

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素人にも分かる経済の真相』シリーズ
【1】経済学が役に立たないのは、なんで?
【2】金貸しって、何?
【3】お金を使う意味って何?
に続いて、今回は金利」について考えていきたいと思います:-)

みなさん、身内や友達関係でお金の貸し借りをする時って、金利をつけたりしますか そんなことしませんよね
「金利取るよ」なんて言われたら、なんかがめついな〜 と感じるし、人間関係ギクシャクしちゃいます
そう考えると社会で当たり前になっている「金利」のシステムって、何なのかな と疑問に思えてきました:roll:

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金利の意味は貸金・預金に対する利子。利息。元金に対する利子の比率。利率。」とあり、特徴としては、お金を預けていれば、一定割合で元のお金(元金)が増え続け、反対に借りている方は、借りた元本以外に返済しなくてはならないお金が増え続けるというシステムです
この「金利」について、みんなに感想を聞いてみました:o

■金利って、なに?
・金利が必要なのは、なんでだろう?いつ頃から出来たの?
・銀行は、安い金利でお金を預かり、高い金利で貸し付けているけど、なんかおかしくない?
・貸金庫業は手数料という形で取っているけど、金利との違いは?
・動くお金が大きいほどその金利の利ざやは莫大になる!労働の対価と比べて差がありすぎるのっておかしい気がする。
・消費者金融(=サラ金)は気軽に貸してくれるけど、その利息はかなり高め!!返済出来なかったり遅れたりすると、徹底した取り立てを行い相手を自殺にまで追いやってしまう・・・これってどうなの?
・働かずにお金が増えるのっておかしくない?etc…

いろいろ疑問が出てきました:roll:
金利って、よくよく考えると何のために存在しているのでしょう

■金利にまつわる事象

証券会社、生命保険、損害保険、銀行、ヘッジファンドなどのディーリング部門に勤務している金融ディーラーたちは、人の資金を使って、株・債券・為替などに投資を行いクリック一つで収益を上げています 年収はトップクラスになると2,000万円くらい稼ぐ人もいるそう 汗水流して働いてもらえる労働の対価に比べて、1クリックするだけで莫大な額をボロ儲けできるのってどうなのでしょう

1200兆円までになっている国の借金 その利息を合わせて毎年いくら支払っているか知っていますか
なんと 年間の歳出の4分の1の金額にまで上っているんです
私たちの税金が、社会の役に立つものに積極的に使われるのではなく、借金返済の利払いに多く使われているのって空しくないですか:cry:

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参考:国の一般会計歳出額内訳(平成24年度当初予算)

う〜ん・・・ いろいろありますね
では、この金利システムはいつ生まれたのでしょう
存在しなかった時代ってどんなだったのかな 出来てからの時代は
対比してみてみたいと思います:o

■金利の存在しなかった時代と出来た時代

<原始共同体の時代>
「お金」が誕生したこの時代には、金利というものが存在していたのでしょうか?
二つの事例を紹介します:o

●ヤップ島の大きな石のお金はどのように使われていたの?

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石貨は島(部族)の共認強化の為に使用されています。例えば、結婚のときの結納・いざこざのときの仲裁・トラブル時の謝罪の証・土地の売買などの時に受け渡されるのですが、その時に祖先がいかにして石貨を手にしたかという物語を一緒に語るのです。そうすることによって、個人間の繋がりというよりは、部族の歴史も含めた繋がりを再認識させることになるのです。それは伝えた相手へのエールも含まれていたでしょう。こうした祖先の逸話が部族の結束を強めることに役立ったと考えられます。
参考:ヤップ島の大きな石のお金

●パプアニューギニアでの貝のお金の役割は?

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パプアニューギニアでは国家通貨「キナ」と並んで現在でも「貝貨=シェルマネー」が使われています。シェルマネーは、「もの」を購入するときに使われているのではなく「ひと」への対価のときに用いられています。例えば、結婚式・成人式・お葬式などの人生の節目の儀礼の際に用いられます。また、もめごとが起こったときの調停としても使われることもあります。
参考:パプアニューギニアでの貝のお金

このように、ヤップ島の石貨、パプアニューギニアの貝貨が使われた時代には、お金は感謝の想いを伝えたり人と人を繋ぐものとして使われていて、「金利」という考え方は全く入り込む予知はなかったようです

●日本で「利息の起源」?と思われる事例がありました!

%E9%9B%AA%E7%AB%B9%EF%BC%A7%E3%80%80%E7%A8%B2.jpg すでに貨幣が登場する以前から、古代日本には出挙(すいこ)と呼ばれる貸借が、ありました。これは春の種まきの時に農民に稲を貸し付け、秋の収穫の時、一定の利息をつけて返済させるものです。

出挙は不作などで生活に困ってしまい、翌年の生産のための種籾まで食してしまった農民を救済していた貸借制度でした。
参考:日本における「利息」の起源

出挙が貨幣が登場する以前からあったこと、貸借の目的が生活に困った農民の救済であったこと、当時の農村が村落共同体であったことなどを考えると、日本においても「利息」の起源は、現代市場社会におけるような「金儲けの手段」というより、共同体社会での「相互の助け合い」の精神を基本とするものであったと考えられそうです:o
では、次に金利が生まれた時代について見てみましょう:roll:

<私権時代(市場時代)>
「金利は」、都市国家が出来た時代(文明社会)になってから生まれたようです

●金利の起源は、BC.2100年頃のシュメール人の時代!?

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この記事によると、BC.2100年頃のシュメール人の時代に金利の起源があるようです
都市国家が出来上がり、市場経済化が進んでいたと思われたこの時代に金利が生まれたと考えられます
その後、金貸しによる中央銀行制度の登場により「金利」が固定化されていきました。
金貸しは、金利というシステムがあることで、莫大なお金と権力を手にしたのです

金貸しは、各国に中央銀行を作り紙幣発行権を握る。

%E9%9B%AA%E7%AB%B9%EF%BC%A7%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E9%8A%80%E8%A1%8C.jpgそして、国家の財を収奪する、その最終形態がイングランド銀行に始まる中央銀行制度である。中央銀行とは国家機関ではなく民間企業である。とりわけ米の中央銀行FRBは100%金貸しが出資する完全な私企業である。一私企業である中央銀行が紙幣発行権(=無から有を生み出す特権)を独占し、紙幣を刷って国家に貸付けるだけで金貸しは濡れ手に粟の莫大な利息を手に入れてきた。これは国家の借金が増えるほど金貸しが儲かるという打ち出の小槌である。そして、金貸しにそそのかされて国家は借金を積み重ねてきた。
参考【2】『素人にも分かる経済の真相シリーズ』 金貸しって、何?

このように市場社会が広がっていきましたが、金利のない世界の可能性も探っていきたいと思います

■金利の存在しない世界はあり得る?

●イスラム圏では金利を禁止していた
元々の共同体の体制を引き継いだイスラム圏では、「金利」を禁じていました。

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イスラムでは、神という絶対者を人間活動の監督者として位置づけており、ただ人間の利害が衝突する競争原理ではなくて、責任分担を通じて調和ある共同作業が行われる社会を求めるとの原点があり、これが資本主義と異なるところであります

「何らの役務を伴わず、時間が経過するだけで資産を増殖させる=利息を得る」ことが寄生的行為と見なされたわけです。寄生的行為=不当利得ということで、強く禁止されました。
参考:イスラム金融のメカニズム〜金が金を生むことを禁じたイスラムより

ここから読み取れるのは、西欧に代表される資本主義的な考えは、“個人の利益”を重視しているのに対し、イスラムの教えは、「個」ではなく「全体」の調和や秩序を保つためのものと思われます
また、市場社会においてお金の価値についてユニークな提唱をした経済学者がいました

お金を持ち続けると減ってしまうというシステムを提唱したゲゼル

%E9%9B%AA%E7%AB%B9%EF%BC%A7%E3%80%80%E3%82%B2%E3%82%BC%E3%83%AB.jpgゲゼルはマルクスとは異なる立場を取り、労働における搾取は生産手段の私的所有にあるのではなく、貨幣制度の構造的欠陥にあると考えました。ゲゼルは、お金の中に矛盾する二つの役割、つまり市場に仕える”交換手段”としてのお金と、同時に市場を支配する”権力手段”としてのお金と、2つの特性を見ていました。そして、どのような方法によって、中立的な交換手段であるお金の特質を損なうことなく、増大する権力手段としてのお金の特性を無力化することができるかを考えました。

ゲゼルは、お金の権力を無力化する方法として、貯蔵性および流動性のメリットを相殺するコストをお金の中に組み入れることを考えました。現金としてのお金に手数料(運輸業における貨物車両の留置料に相当する)が課せられるのであれば、お金は市場に対する優位性を失い、交換手段としての奉仕的な機能だけを果たすことになる。循環が投機的な行為によって妨げられることがなくなれば、通貨の購買力が長期に渡って安定できるようになり、流通するお金の量を恒常的に物質量に適合させることが可能になるというのです。
参考:忘れられた経済学者シルビオ・ゲゼル①

ゲゼルは、市場経済の流れの中でお金が“権力化”することに危機を感じてこのような提唱をしたようです
後に国の中央銀行によって禁止通達を出されてしまいましたが、ゲゼルの提唱した理論を導入し、成功した自治体の事例があります
参考:忘れられた経済学者シルビオ・ゲゼル②

◆まとめ

金利について疑問や歴史を見てきましたが、国の借金問題や中央銀行制度による金貸しの冨や権力の収奪という問題を見てみると、金利というシステムはやはりおかしなシステムだというのは明白ですね
イスラム圏では「利息(=金利)」は、寄生的行為=不当利益として強く禁止されていますが、寄生して相手から不当に利益を得るという行為は、原始共同体時代の感謝感とは真逆の考えです
みんなのために働いた対価として得られるものがお金で、それをまたみんなの役に立てるように使うというのが人間の本来の在り方なのだと思います

イスラム圏の教えや、ゲゼルが提唱したシステムが金利のない世界の可能性を感じさせてもらえますし、日本でも沖縄県や鹿児島圏奄美群島の複数のグループを組織して一定額の金銭を払い込み、定期的に1人ずつ順番に金銭の給付を受け取る「模合(もあい)」という相互扶助システムが古くからありますし、各地でも同じような助け合いの精神が続いています
金利の意味を捉えなおして、人間本来のお金の使い方に転換していけたら可能性が見えてきそうですね

List    投稿者 kazue.m | 2013-07-30 | Posted in 未分類 | No Comments » 

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