2006-12-30
巨大な米国の経常収支赤字について
国民経済の状態を表すものに、国際収支がある。
この国際収支とは、1国の経済状態を他の国との取引状況として表したものである。
国際収支には、財・サービスの取引状態を表す「経常収支」と資本・資金の動きを表す「資本収支」と「外貨準備増減」がある。
「経常収支」は、財の輸出入である貿易収支と運賃・保険・技術輸出入であるサービス収支、それに所得収支、経常移転収支を加えたもの。簡単に言えば、実取引の収支(黒字/赤字)である。
「資本収支」は、出資等の直接投資、株式等の証券投資などの投資収支と、土地・建物等の固定資産に対する投資などのその他資本収支の合計である。
「外貨準備増減」とは、政府当局の外国債権の取得や為替市場介入による外貨の増減を表す。
詳しくは、ウイキペディアの「国際収支」の項を参照してください。
国際収支統計
米国の国際収支の特徴は、巨額な経常収支のマイナスとそれを補填する資本収支のプラスである。
米国の経常収支の推移を2000年からみてみよう。
(経常収支の大幅黒字国である日本と中国を同時に載せてある。)
米国と日本、中国の経常収支の推移<単位億ドル>
年 次 | 米 国 | 日 本 | 中 国 |
2000 | −4152 | 1196 | 201 |
2001 | −3890 | 878 | 174 |
2002 | −4724 | 1126 | 354 |
2003 | −5275 | 1362 | 459 |
2004 | −6653 | 1721 | 687 |
2005 | −7915 | 1657 | 1608 |
2006 | −8691 | 1673 | 1842 |
2007 | −9591 | 1629 | 2065 |
米国の経常収支のマイナスは、2006年で8700億ドル(約100兆円)という巨大なものになっている。
経常収支が、恒常的に巨額な赤字となるのが、開発途上国の場合なら、他の国から(或いは他国の金融機関から)資金を借りることができなくなり、即、IMF(国際通貨基金)の管理下に置かれる。しかし、米国だけは、10年以上に渡って、巨額な経常収支の赤字を出しながら、そのような事態にはならない。不思議な構造である。
経常収支の赤字に見合う「資金還流」は、何処からやって来るのか?
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