2007-11-01

米国へのマネーフローは不動か?

ブログ名称が、金貸しは、国家を相手に金を貸すになりました。

現代経済は、益々、実態経済から遊離した『マネーゲーム』の世界が、株式市場、外国為替市場、政府債務証券取引市場(国債市場)、商品市場(石油、金、穀物など)として肥大化しています。

その意味で、金貸しの歴史と論理(マネーの論理)を徹底的に追求することが必須といえます。

そこで、改めて、米国へ流入するマネーを扱ってみます。

古典的な国際経済学では、大幅な経常収支の赤字国は、海外から赤字分の借金を必要とし、利子は高くなります。つまり、赤字国の政府は、金利(政策金利)を引き上げて、金貸しに借金を申し込みます。

ですから、世界最大の経常収支赤字国、年間8000億ドル(約90兆円)の経常収支赤字を出している米国は、本来なら世界一高金利の国、金利二桁の国になってもオカシクありません。

しかし、実際には、経常収支黒字国であるカナダとほぼ同じ、4.5%前後の金利水準です。

昨日(10月31日)、FRB(米連邦準備理事会)が、政策金利(FFレイト)を0.25%引き下げ、4.5%としました。苦境に追い込まれた住宅部門と金融市場を支えするために、9月に続く連続利下げです。

古典的経済学では、金利を引き下げれば、資金はより高い金利を求めて、流出します。

9月、10月の米国の金利引下げで、資金は米国から流出しているのだろうか。
そのような動きは顕著には現れていません。

ここで、米国の莫大な経常収支赤字を補填している、世界中からのマネー流入の図を上げておきます。出典は『通商白書2007年版』です。
moneyflow.png

数字は、2005年ですが、米国の7000億ドルの経常収支赤字に対して、中国・日本を中心とするアジアと中東産油国の資金(経常収支黒字分)が、直接米国投資の経路と、欧州の金融機関を迂回した経路で、米国に流入しています。

この、不動の構造が出来上がっているために、米国の政策金利は、4.5%という水準が可能です。

この不動の構造を支えている要因は何だろうか?

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  投稿者 leonrosa | 2007-11-01 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments »