2014-02-25
資力が武力を上回ったのはなんで?(4) 〜私権獲得が社会共認となった大航海時代前夜〜
このシリーズでは、「資力が武力を上回ったのはなんで?」を扱っています。これまでの記事はこちらです。
(0)プロローグ
(1)“公共事業”としての十字軍と周辺ビジネスで肥大化した「騎士団」
(2)負け組が築き上げた国:スイス
(3)武力が制覇力になりえなくなった時
これまで、資力と武力の関係について、十字軍、スイス国家成立を見てきました。
・十字軍(騎士団)…武力>資力
聖地奪還という宗教的な目的の元に武力が使われていて、その過程の中でサイドビジネスとして掠奪による資力蓄積が行われていると見られます。
建前とは言え、キリスト教という宗教的な統合無しには武力行使が行えていない為、資力によって武力が行使されたとは言えない状況と言えます。
・スイス国家成立…武力≒資力
十字軍の失敗による負け組騎士団と、ベネチア商人の負け組が手を結んだスイスという国家が成立しました。また、スイスは生産基盤が貧弱である土地柄であるが故に、従来の国家のように生産基盤を領土に依存出来ない(≒自給自足が不可能な)交易国家とも言えると思います。そして、私益追求として「武力行使=傭兵派遣」、「商取引=金融・武器輸出」という他国への干渉を行う国家が出来上がったと見ています。
私権獲得&私権保護のための私的な武力行使という傭兵産業によって、各国の武力均等化が進み、武力が他国を制覇する力になり得なくなってきたことは、資力と武力の関係が逆転する契機となったのではないかと考えています。
そして今回、大航海時代について見ていこうと思います。