2013-02-09

【続新春企画】(2)米国大統領選挙後のアメリカの動きはどうなっているか?

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画像はリンクよりお借りしました。

オバマ政権2期目となり、1月21日に就任式に臨んだオバマ大統領が演説した内容は「経済政策運営の焦点は、この4年で悪化した財政問題だ」ということだった。与野党は財政改革で対立し、膨張した連邦債務をめぐるデフォルト(債務不履行)危機、回復ペースが鈍い景気や雇用問題等、財政再建への課題が盛りだくさんである。
今回は、大統領選挙後のアメリカの動き、状況を掘り下げてみたいと思います。

『続新春企画』シリーズ過去記事は以下をご覧ください。
【第1回】新政権で日本の外交どうなる?(1)安倍政権就任後の動き

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□債務不履行危機
■外債購入ファンド構想(詳しくはリンク参照)

「FRB議長を安倍首相が手助けか−外債購入ファンド構想で – 」というブルームバーグの2013年1月14日付けの報道である。ブルームバーグ以外の報道機関、時に日本の報道機関はその様な報道は一切行っていない。自民党や日銀の決定だとされるのに何故日本のマスコミが一切報道しないのだろうか?
この報道は日本が50兆円または100兆円規模の外債(つまり米国債)買い入れを行うという内容である。ただ、米国は大幅な経常赤字を継続しており国債の返済は不可能である。つまり、これは米国が日本に金を要求していることに他ならない。ブルームバーグの報道では日銀の岩田元副総裁が外債購入ファンド構想を提言しているとされる。日本国内では昨年10-11月に岩田元副総裁がそのような提言を行っているが、それは円高阻止が目的であった。現在は日銀の金融緩和政策の元で大幅な円安が起きており、過度の円安を危惧する発言すら日本政府首脳が行っている現状である。この状況で更なる円安をもたらす外債購入ファンドを日本が計画することは日本の国益の観点からは考えにくい。ブルームバーグの報道は米国債買い支えによるFRB支援という視点であり、FRB及びそれを支配してきた国際金融資本の利益のために日本が奉仕することを要求されていると読める。

中略

恐らく日本は日米首脳会談で外債ファンドもTPPでの対米国家主権譲渡も拒否するだろう。それにより、米国は国債の債務不履行を回避するために歳出、特に軍事費の強制カットを3月1日付けで開始する。米軍は規模縮小を迫られてユーラシアから撤退する。ゴルバチョフ時代にソ連が東欧から撤退したのと同じ事が起きる。米国は国際金融資本という寄生者を退治するために肉を切らせて骨を断つ戦法を採っているのだ。

□二期目オバマの戦略
■強まる対日圧力に警戒 (詳しくはリンク参照)

1期目の4年間に比べ、政治・経済・外交で独自色を強める公算が大きい。中東への武力介入を進めるなど強硬策を強めたブッシュ前政権を批判して2009年に就任したオバマ氏。「核なき世界」などの理念を掲げ就任1年足らずでノーベル平和賞を得た。しかし今、緊急課題として、経済立て直し、財政再建に直面している。さらに政策遂行を難しくしているのは、上下院で与野党の多数派が異なる「ねじれ」議会の対応だ。今後の政権運営はどうなるのか。

>間違いないのは「アジア太平洋大統領」を標榜した姿勢への一貫性だ。ギリシャ問題に端を発した欧州経済混迷の中で成長が続くアジア。この発展する地域を米国の経済に取り込むことに腐心する。アジアで台頭著しい中国は、軍事面での南下政策で東南アジアや周辺国と緊張関係を強めている。そこで米国は「同盟関係の錨」の役割を果たすため、日韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)と連携しながら、中国へのけん制を強めている。

>つまりは経済・軍事両面の複合的な同盟関係で対中包囲網を敷き、中国も共通ルールに基づいた枠内にとどめることが、米国の核心的な利害に直結するとの見方が強い。
>米国はアジアの一員ではない。しかし、オバマ氏自ら東アジアサミットへ初めて出席するなど、アジアへの関心の高さを示した。発展が見込まれるミャンマーにも国務長官が訪問し、経済援助を約束した。
今後は、急速に衰退している日本との同盟関係よりも、高成長が続く中国との協調を優先し、対日圧力の警戒が必要になっている。

■アメリカが主導するTPP

米国主導によるTPPはゼロ関税を大原則にするとともに、あらゆる規制緩和を同時進行する「壊国」協定に他ならない。だがTPP交渉参加国は経済規模の小さな国が多い。そこで米国は、経済規模で世界3位の巨大市場を持つ日本の参加を待つ
>対日圧力が強まる中での2月中下旬の安倍首相訪米だ。この間の日米両国の水面下の動きに警戒せねばならない。訪米時に、米国は何らかの具体的な回答を求めることもあり得る。TPP参加問題で首相はあくまで日本の国益を守るため、断固たる姿勢を示すべきだ。

■各国の地域から軍の撤廃・縮小(詳しくはリンク参照)

イラクでもアフガンでもパキスタンでも、アメリカは国内をめちゃくちゃにしてから引き上げようとしている。アフガニスタンは、アメリカ軍が完全撤退したら現政権は崩壊し、再びタリバンが全土を覆うことになる。
それを分かっていながら、アメリカは支援するどころか、わざと崩壊するように仕向けているように見える。

中略

そして、東アジアはどうか。アメリカは中国の台頭を許し、裏で支援し、中国が経済大国化・軍事大国化するようにして、逆に日本や韓国や台湾を見捨てて撤退しようとしている
その結果、東アジアもまたアラブ中東諸国と同じく、戦争の危機が日に日に高まっている。
東アジアの緊張は確かに中国が引き起こしているのだが、そもそもアメリカが中国を経済支援しない限り、このようにはならなかった。
そして、中国が台頭して軍拡するたびに、アメリカは一歩一歩と東アジアから引いている。アメリカは東アジアを中東のように火の海になる事態をわざと招いているように見える。

アメリカは、世界中で「火種を残し」「対立を煽り」「問題が起きるように仕向けながら」、撤退していこうとしている。その戦略の一部が中国の経済大国化・軍事大国化を推進し、中国協調路線とすることで各国間の混乱を招く仕掛けをしている

□まとめ
・国債の債務不履行を回避するために歳出、特に軍事費の強制カット
・対立路線から協調路線への対外政策
・各国の地域から軍の撤廃・縮小
・外交政策ではアジア拡大路線、中国強調路線

今後は軍事的にも経済的にも膨張著しい中国を牽制しつつ、習近平政権とどういう関係を築くのか。自由で開かれた平和なアジア太平洋地域の構築へ、日本など同盟国との関係強化はどうするのか。今後も留意していく必要がありそうです。

次回は、中国・習近平政権後の中国はどうなっているか?を調査してみたいと思います。お楽しみに・・・

List    投稿者 seya | 2013-02-09 | Posted in 未分類 | Comments Closed 

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