2007-08-11

フランスの医療事情と改革の試みを検証する

フランスの医療制度について
医療保険は社会保険方式であり、職域に応じて分立しており、各職域保険の管理機構として金庫が設置されている。民間の給与所得者を対象とする「一般制度」に最も加入者が多く、これに国民の80%が加入している。一般制度の財源は主として労使拠出の保険料であり、使用者負担が給与総額の12.8%、被用者負担が給与総額の0.75%である。
保険給付は償還払いが基本だが、入院時の場合には直接、医療機関に支払われる。償還率は医療行為により異なるが、原則、外来の場合は70%、通常の医薬品の場合は65%である。
但し、差額(自己負担分)は共済組合や相互補助組合等により支払われることが多く、これらによって支払われない部分が最終的な自己負担になる。
利用する患者の側から見た医療事情は、病気になった時、すぐに処置しなければならない時は救急外来に行けばすぐ見てもらえる。そうでないケースは全て予約がいる。通常かかりつけ医を持っているがイギリスのように必ずそこで見てもらわなければならない事はなく病院で最初から見てもらうことも出来る。医療水準は世界トップクラスとの評価あり。薬は全て医師の処方箋を薬局に行って買う。費用はいったん全て支払い、後に保険請求して還付を受ける。患者の負担額は概ね30〜50%で共済組合からの補填や高額医療費の還付もあって最終の負担割合はほぼ日本並と思われる。
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盲腸にかかった場合日本では入院7日で費用37万程度だが、フランスでは2日の入院で48万ほどの負担。ニューヨークの240万1日入院に比べれば安価だが、2日しか入院できず甘えさせてはくれなさそう。
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2002年値で、一人当たりの医療費は2,762ドルとなっている(ちなみに米5,287ドル、ドイツ2,916ドル、スウェーデン2,594ドル、英国2,231ドル、日本2,139ドル)
GDP比は9.7%(米国14.6%、ドイツ10.9%,スウェーデン9.2%英国7.7%、日本7.9%)
こうして見ると保険の加入率や患者負担額、患者から見た医療環境については米や英国に比べると全然マシでドイツと並んでかなり整備されているように思う。GDP比約10%と日本に比べ財政負担がさらに重く他国同様、医療費の削減がやはり大きな課題になっている。
続く
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  投稿者 shigeo | 2007-08-11 | Posted in 10.経済NEWS・その他3 Comments »