2008-04-24

サブプライム問題、ドル覇権衰退への入門書

07年のキーワードは『サブプライム』、そして08年は『サブプライム発ドル崩壊』となりそうである。 
 
サブプライム問題、米国住宅バブルの崩壊、証券化ビジネスの終焉、ドル覇権の行方を平易に解説してくれているのが、『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉』(春山昇華著、宝島社新書2007年11月刊)であり、続編の『サブプライム後に何が起きているのか』です。 
 
サブプライム問題とは何か 
 
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目 次 
 
プロローグ 〜ステップ返済がサブプライムローンになる時!
第1章 住宅バブルを生んだ社会的な背景、時代的理由
第2章 サブプライムが略奪的貸付に変質した理由
第3章 サブプライム問題の露呈
第4章 サブプライム問題への対策と現実
第5章 サブプライム問題の今後
第6章 終わりのはじまり 〜アメリカ帝国の終焉 
 
この本では、金融工学と称される証券化ビジネス、レバレッジ・モデルが、平易な図式で的確に描かれている。例えば、図11:売却される住宅ローンの仕組み、図25:住宅ローンの証券化、図35:リスクの再構成の仕組み などである。また、歴史的なデータ図や新聞記事もたくさん盛りもまれており、お勧めの書籍です。 
 
まずは、週刊東洋経済の書評から。

著者は1987年から米国株式投資に携わってきた人物であり、20年にわたって米国住宅市場をウォッチしている。 
 
新聞やテレビで連日報道されている「サブプライムローン」。これは、もともとアメリカの低所得者向けの住宅ローンのことだが、なぜ世界中で大問題になっているのか。著者は同ローンが生まれ、問題金融商品へ変質していった過程を時系列でじっくり解説する。 
 
黒人やヒスパニックなど、低所得のマイノリティ層でも住宅を持つことを可能にするために、同ローンは導入された。こうしたローンが存在すること自体は、全く問題はない。 
 
しかし、悪徳金融業者が同ローンを悪用したために、住宅バブルが発生し、低所得層の多くが食い物にされた。その背景には、消費が大好きという国民性に加えて、「ITバブル崩壊」「9・11テロ」「イラク戦争」などが存在する。金融技術の進化により、ローン債権が証券化され世界中に販売されたことが、問題をさらに深刻化させた。

 
次は、アマゾンの書評欄から

サブプライム危機が本格化したのは昨年8月(leonrosa注:2007年8月)のことであり、これを扱った書籍はまだ数冊に過ぎないし、他は専門的なものが多いので、とりあえず問題を整理するには格好の内容である。 
 
サブプライム問題は新しい形での住宅バブルの崩壊なのだけれども、基本的な構図は日本の土地バブル崩壊と同じである。バブルの歴史は繰り返す。ただ、過去と同じことは起きない。 
 
この問題の新しい要素は、ローンを証券化して格付けを行い、ヘッジファンドがレバレッジを効かせ、世界中の金融機関を通じて一般投資家へ販売したことである。まだ損害額が確定できない進行形だから、世界の市場は疑心暗鬼に陥っている。 
 
著者はドル覇権の崩壊を論じているが、これは長期的には正しい視角だと感じる。

 
 
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  投稿者 leonrosa | 2008-04-24 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨5 Comments »