2008-11-16

シリーズ「どうする?市場の独占支配」8

 
【第8回:裏を返せば金融保護政策のG20】
 
 
ワシントンで開催された第1回金融サミットG20が閉幕しました。これから様々な評価分析がなされるのでしょうが、先んじて思うところをまとめておきます。(前回は、こちら
 
 
G20-2.jpg
 麻生太郎(左)と日本の内閣総理大臣の中川昭一大蔵大臣はワシントン(DC)の
 ナショナルビルディングG20サミットに出席。 困窮するグローバルな財政機構に
 関する不安に対して、土曜日の麻生はドル中心の通貨システムのサポートを表
 明した。(アメリカのYahooより)

 
 
今回のワシントンG20に先だって開催されたブラジルでのG20財務相会議からその動向を見てきたことでおおよその予想はできたのですが、何かサプライズがあるかも知れないと期待していたのですが、流れはそのままで無難に終わったな、というのが感想です。
 
結局の所、進行中の金融危機に対して各国の協調を盤石なものとして位置付けたことと、暴走した金融に一定の歯止め(規制)を掛けることを示した上で、今までの自由な金融市場システムは継続することを合意した恰好になっています。
 
過去の大恐慌の例でもありましたが、今直ちに金融に対する強烈な規制を実施すると、金融自身の息の根は止まってしまい、市場の大混乱の引き金になってしまいます。米(ブッシュ)の主張は半ば脅しの様なものですが、各国とも飲まざるを得なかったことでしょう。
 
かといって今回の混乱の原因となった金融システムに対して何らかの対応は避けられないので、適当な落としどころを探った会議だったのではないかと予想します。その辺は、今後具体化していくであろう「規制枠組みを強化する改革」を見ていけばわかることです。私が云いたいのは、結局のところ、『金融は保護する。システムは継続・推進する』という結論にしか見えないと云うことです。
 
もう一つの論点として、国際決済通貨(基軸通貨)の見直しに関わるブレトンウッズ2とも位置付けられる可能性があった今回のサミットですが、ほとんど取り上げられることも無かった様です。おそらくどこも本気ではなかったのでしょう。冷静に判断しても、今、円以外はあまりにも不安定で、新たな基軸通貨たり得る通貨は存在しません。通貨バスケットにしても、不安定な通貨を集めたところでシステム的に上手く行く筈が無い。加えて通貨バスケットを実現するには各国の利害が絡みすぎて強い主導力を発揮するモノが不在な現在ではまとめようがありません。(注:長い目で見た場合の可能性を否定するものではありません)
 
裏側での駆け引きはいろいろとあったのでしょうが、全般的には大転換を諮るほど強烈な主導権を行使できる国はどこにもなく、見せかけのジャブの応酬に終始したというところでしょう。本番は次だ!とイギリスやフランス当たりは息巻いているのかの知れませんが、金融ガタガタの英仏国家にそれだけの説得力はありません。
 
別の見方としては、新たなパワーバランスを模索する入り口といった印象です。冷ややかな目で冷笑している国際金融資本の顔が透けてみえるサミットでした。
今回の対応では歯止めにもならない金融破綻に対して、今後彼らはどの様な展開を考えているのかを注視して行くことにしましょう。さしあたって興味深いのは、オバマのポジション取りと今後の政策方針あたりですかね。年明けまでは小波状態が維持されることでしょう・・・・
 
 
 今回のG20サミットは初回と云うこともあって具体的な中身は言及されていませんが、これからやろうとしていることは概ね示されました。サミット宣言の骨子を以下に示します。
 
 

(さらに…)

  投稿者 cosmos | 2008-11-16 | Posted in 04.狙われる国の資産3 Comments »