2010-09-09

国家と市場の成立→崩壊構造に迫る(3)〜私権闘争の抜け道が、交換取引の場=市場である

いよいよ市場の誕生です。
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ありがとうございます。
前回の記事で、武力統合国家の限界を見てきました。
支配層の堕落と、生涯固定の身分制度による支配層以外の閉塞=活力衰弱がそれにあたります。
この限界を打ち破るものとして登場してきたのが「市場」です。
超国家・超市場論9 私権闘争の抜け道が、交換取引の場=市場であるから引用してゆきます。

交換取引は、武力闘争(およびその帰結たる身分制度による私権拡大の封鎖)からの抜け道として登場した。それどころか、最初に交換関係が登場した動機は、額に汗して働くよりも、(相手にこの品物が大きな可能性を与えてくれると信じ込ませることさえ出来れば)交換によって得る益の方が、ずっと大きいからである。

結論から言うと、金を持っている相手を騙して、私腹を肥やすというのが市場の原型=交換取引です。
序列下位であっても、うまいこと支配層を騙すことができれば私権を手に入れることができるということですね。
ではどうやって騙すことができたのか?

実際、古代市場も、女の性的商品価値を一層高めてくれそうな宝石や絹や毛皮を主要な交易品として、拡大していった。
(なお、近世→近代も、呉服や毛織物やレースが起点になる。)
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それに対して日常の主食品(米や麦やイモなど)に対しては、その様な幻想的な可能性など描き様がない。
この幻想共認(幻想への可能性収束)によって作り出された、市場商品の価格と一般農産物の価格との価格格差こそ、市場拡大のテコとも原動力ともなった市場の秘密の仕組みである。
(異国の食品や、無農薬の食品は、幻想共認の形成が可能であり、だからこそ一定の市場化も可能なのである。)
そこでは当然、農耕の労働価格は、幻想商品の労働価格にくらべて、異常に低くなる。
この価格格差(価格差別ともいえる)の秘密こそ、途上国が一貫して貧困状態に置かれ続けてきた真の理由であることは、いうまでもない。

あなたが一儲けを企んで、商売を始めようとしているとします。
「宝石商」と「八百屋」、どちらを選びますか?
まずまちがいなく「宝石商」を選ぶでしょう。
それはなぜか?
「宝石商」のほうが儲かるから、すなわち宝石のほうが野菜より、原価に比べて売値が大幅に高いことが直感的に理解できるからですね。
言い換えれば、たいして価値のないものを騙して売るということがポイントだということです。
買う側からすると納得して買っているような気になりますが、売る側視点に立てば騙す気満々になっているのがまるわかりですね。
これこそが市場の原型です 😈
市場の原型は物々交換だった、と教わった。そうではないの?

(なお、採取部族間の友好維持の為の贈り物と、私権利益を獲得する為の交換とは、共に共生(取引)適応の一種ではあるが、その発生基盤は片や共認原理、片や私権原理と全く異なっており、従って、贈り物は、決して私権時代の市場の起源なのではない。だから、「贈与」と「交換」は、厳格に区別されなければならない。)
(同様に、生活必需品の物々交換が市場の起源であるという話も、真っ赤な嘘であって、生存上の必需品を他部族に委ねる部族など存在しない。その様な物々交換は、市場(関係)がある程度日常的に存在する様にならない限り成立し得ないのであって、従って、市場の真の起源は、私権闘争の抜け道としての、快美幻想の共認、もっとはっきり言えば「騙し」をテコとする私益行為以外には考えられない。)

物々交換とは贈与(ポトラッチ)とも呼ばれ、隣合う部族どうしの緊張緩和、平たく言うと無駄な闘争を避け、友好関係を形成するために行われていたものです。
【参考】
採取部族インダスは、贈与によって、侵略圧力を回避しようとした
「贈与」と「掠奪・収奪」と「交易(交換取引)」
「贈与」に何を学ぶべきか!〜4.贈与か、はたまた交易か?
なんで屋劇場『金貸し支配とその弱点』1〜市場の起源、原資拡大の方法、その真実の姿
こうした関係においては、同類=相手を騙してその財産を掠め取るという考えはありません。
なので、交換はそれ以上拡大することなく、私たちが現在目の当たりにしている「市場」には至るはずがないのです。
つまり、相手より贅沢をしたい・よい暮らしをしたいという欲望、およびそのためには相手を騙すこともアリなのだ、という思考なくしては市場は登場してこないのです。
では、市場はどのように拡大して行ったのか?

性幻想を高める為の毛織物やレースをはじめとして、私権圧力下の解脱回路(主にドーパミン回路)が生み出す快美幻想がはびこり、生活全般に亙って快美(快適さや便利さ)を求める快美欠乏が上昇してゆくにつれて、その幻想共認が作り出す価格格差をテコとする市場はどんどん繁殖してゆく。                
そして次には、その生産効率を上げる為の科学技術が発達してゆき、市場の拡大競争が生み出した侵略戦争→軍備強化への期待圧力が、その科学技術を更に大きく発展させてゆく。
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この科学技術の発達による快美充足の可能性(快適さ利便さ)の実現こそ、中後期の市場拡大の原動力である。
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市場の登場は、すなわち大衆レベルにいたるまでの私権獲得可能性の拡大です。
前述したように、相手を騙すこともアリ、という自我意識にまみれた思考方法もセットになりますから、両者は相乗効果を生み、市場拡大は恐ろしいほどの勢いで加速してゆきます。
特に主役を演じたのが性的自我に基づく性幻想。
「商品」のほぼすべてが、この性幻想をバックボーンにしているといってよいと思います。
「科学」や「戦争」は、こうした市場という自我の拡大を下支えしてきたことになりますね
【参考】
近代市場の成立
市場拡大の歴史
市場拡大(とその閉塞)にともなう問題現象①
高度経済成長の前後解説
産業革命(ウィキペディア)

List    投稿者 ohmori | 2010-09-09 | Posted in 未分類 | 2 Comments » 

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コメント2件

 usa hermes bags | 2014.02.01 12:47

hermes lindy usa 金貸しは、国家を相手に金を貸す | シリーズ「必要か否かの判断の土俵」その4〜必要か否かの『判断の土俵』が、国家と市場を呑み込み、解体し、再統合してゆく〜

 wholesale bags | 2014.02.10 6:11

金貸しは、国家を相手に金を貸す | シリーズ「必要か否かの判断の土俵」その4〜必要か否かの『判断の土俵』が、国家と市場を呑み込み、解体し、再統合してゆく〜

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