2010-11-11

連載!『中国は誰が動かしているのか?』3.中国ってどんな国2

尖閣諸島問題ビデオ流出「事件」がTVを賑せています。
世界経済を牽引する中国を巡る話題は尽きないようですね。しかし、この国はなかなか理解出来ない。理解出来ない原因は、以下の様な個別の疑問と全体像がリンクしないためではないでしょうか?!
chn0803051022001-p1%5B1%5D.jpg
・社会主義国家だが、経済開放路線(民主化)が進行しているのはなんで?
・社会主義国家だが、都市と農村の貧富の格差が大きいのはなんで?
・社会主義国家だが、共産党の一党独裁制と言われるのはなんで?
・社会主義国家だが、血縁と国有企業の関係が強いのはなんで?
そこで、全体が見えるように前回に引続いて基礎情報をおさえて行きます。内容は以下です。
1.国家体制について
今回の目玉!!共産党組織・政治組織・軍組織を一つの図解にして中国の仕組みの全貌を押えます)
2.軍関連について
3.企業と血縁関連について
お楽しみに! 😀
これまでの記事はこちらです。
— プロローグ—
連載!『中国は誰が動かしているのか?』2.中国ってどんな国1
 いつもの応援をお願いします。

にほんブログ村 経済ブログへ


1.国家体制について
 共産党組織・政治組織・軍事組織を一つの図解にしてみました。 😉
左が共産党組織図で右が政治組織図です。2つに挟まれて軍組織図があります。
LAST2%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E4%BD%93%E5%88%B6%E5%9B%B3.jpg

図をクリックすると拡大されます                 「中国情報地図」 孔健:監修 より作成
 これらを簡単にまとめると、国家の憲法上の最高決定機関は全国人民代表大会
(全人代)で、その下に行政機関、裁判機関、検察機関が組織され、その責任を
負っています。言い換えると、中国には三権分立制はありません。

次に、国家の意思決定機関:全人代と中国共産党(以下共産党)の関係を見ると、
後述しますが、共産党の全国共産党全国大会が全人代の上になります
ということは、中国は中国共産党がおさえていることになります。
 軍は共産党中央軍事委員会(政治面)と国家中央軍事委員会(軍事面)の下に
ありますが、中国国防法で「武装力は共産党の指導を受ける」と規定されており、
これも共産党の指導下になります
。以上から中国は実質的に共産党1党の独裁国家と言えます
では詳しく見て行きましょう。
以下、「中国の社会構造」 中野謙二著から引用します。 【 】:簡単な注記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆全国人民代表大会
【中国国家体制図の中央トップ参照】
 人民が国家権力を行使する機関」(憲法第二条)であり、「国家の行政機関、裁判機関、
検察機関は人民代表大会によって組織され、それに対して責任を負い、その監督を
受ける」(同法第三条)だけの強い権限を持っており、わが国のような立法、司法、行政の
三権分立を認めていない。又、人民代表大会代表は一級下の
人民代表大会によって選出される(間接選挙)ことになっており、人民が直接選ぶのは
基層の区、郷、鎮人民代表のみである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
引用終わり
総勢3000人規模の1院政で、70%は共産党員と言われる。トップは胡錦濤国家主席。
以下、「中国情報地図」 監修:孔健から引用します
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 省、自治区、特別行政区、軍隊によって選出された代表
からなる。日本などの先進国のように、国家規模の国民選挙は行われない

しかも、地方クラスの代表大会では、共産党の意向が大きく影響されており、代表を選ぶ
選挙でさえ活発な選挙戦はないという。全人代代表の任期は5年。開催は1年に一度で、
3月頃に10日ほど開かれるのが通常。日本のように解散はない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
引用終わり
「中国の社会構造」:中野謙二著抜粋から引用します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆国家主席
 外国の使節を接受し、法律、法令の公布や首相、副首相の任免を行うが、それらは
すべて全人代の決定に基づいて行われる。象徴的な元首のポスト。【現在、「胡錦濤」】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
引用終わり
◆国務院と地方行政
【中国国家体制図の中央参照】
 国務院は、わが国の内閣に相当する最高行政機関。2003年に28の部と委員会に
なっています。国務院の長は、日本と同じように、「総理」と呼ばれます。その下に、
副総理、国務委員(副総理のようなもの)がいます。日本での省に相当するものが
「部」と「委員会」で、それぞれの長が日本での大臣に相当します。
役割は、全人代が
開催されていない期間、全人代常務委員会に政策などの施行状況を報告する義務を
持ちます。尚、1982年から首相などの3選が認められなくなりました。
現在の総理は「温家宝」。
下図の国務院の新しい組織図参照
 地方行政は基本的に省市級、市県級、郷・鎮級の3つの行政区分に分けられます。
国務院の指導のもと、省市級、市県級、郷・鎮級と、上級から下級地方行政組織へ
指示が伝達される方式で、垂直的な中央集権体制といえそうです。
 地方の行政区分は、中華人民共和国の行政区分を参照願います。 
%E5%9B%BD%E5%8B%99%E9%99%A2%E3%80%80%E4%BD%93%E5%88%B6%E5%9B%B3%E3%80%80.jpg

図をクリックすると拡大されます
現代中国経済より作成
「中国の社会構造」 中野謙二著から引用します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆司法機関
 人民法院(裁判所)と人民検察院があり、いずれも最高、高級、中級、基層の四級
からなり、(中略)裁判は二審終審制。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
引用終わり
 地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所の順で控訴、上告出きる日本の裁判とは違って、
控訴は1回のみです。
◆中国共産党
 中国での唯一の政党です。中国共産党はピラミッド構造をしていて、中国にある
あらゆる組織に、共産党の支部や出先機関を配置しています
。党員数は7415万人
(‘07年末現在)を越えるとされている。中国の人口13億人に占める比率からいえば
5.7%程にすぎず、各界の指導的立場にあるエリート的存在である。
%E5%85%B1%E7%94%A3%E5%85%9A%E3%81%AE%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E6%A7%8B%E9%80%A0.jpg
現代中国経済:政府の仕組より作成
「中国の社会構造」 中野謙二著から引用します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 現行憲法は第5条で「すべての国家機関、武装力、各政党、各社会団体および
各企業、事業体は、憲法および法律を遵守しなければならない」と、共産党も
法システムの中にあるむねを既定している。(中略)ところが憲法は同時に前文で
「中国の各民族人民はひきつづき中国共産党の指導のもとマルクス・レーニン主義と
毛沢東思想に導かれて、人民民主主義独裁を堅持し、社会主義の道を堅持し、(中略)
わが国を高度の文明と高度の民主を備えた社会主義国に築きあげていくだろう」と
四つの基本原則を掲げ、党の指導性を明確に打ち出している。
共産党の指導は2つ。
ひとつは、党の政策が国家の法令、政策となって実行されることである。(中略)全人代の
策定する五ヵ年計画の骨子が、事前に党会議で起草、採択されるのがそれだ。
 もうひとつは、党員が全国の政権機構、国有企業、大衆団体の指導者となって
運営に当り、党の政策を実施するとともに、民衆とのつながりを保持するものである。

党総書記の江沢民(今は胡錦濤)が国家主席を、政治局常務委員の李鵬(今は温家宝)が
首相をそれぞれ兼務しているのが、その代表例である。この党と国家、党と行政との
結びつきは頂点から末端まで、びっしりと張り巡らされています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
引用終わり
 近年、共産党大会は自由化の影響と汚職の蔓延もあって一定の反対票が投じられるように
なったようですが・・・。変わる兆しでしょうか?
以下は、現在の共産党の中央委員会のメンバー(東洋経済11/6から借用しました)
どのような力が働いているのでしょうか?次回以降で追求して行きます! 😀
%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%85%B1%E7%94%A3%E5%85%9A%E6%A7%8B%E6%88%90%E5%93%A1.jpg

図をクリックすると拡大されます
2.軍関連について
◆体制について

中国国家体制図と下図を見てください。
以下、「中国情報地図」 監修:孔健から引用します
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 国家中央軍事委員会(以下、国家中軍委)は、人民開放軍や武装警察、公安などを
指導する最高機関との位置付けだ
。中軍委主席、副主席、各委員によって構成されるが、
なぜか共産党中央軍事委員会(以下、党中軍委)とまったく同一メンバーである。
一応、党中軍委は政治面、国家中軍委は軍事面を統括するとされている。
ただし、中国国防法によって、「武装力は共産党の指導を受ける」と規定されているため、
結局は共産党が軍事を支配することになる。(中略)だから、党総書記。国家主席に就いて
いるだけでは絶対的な権力者とは言えないのが、中国の権力構造なのだ
。実際、先の
鄧小平のように中軍委の主席ポストを手放さなかったことで、80年代に共産党総書記、
国家主席、中央軍事委員会主席のポストが分散して、国家の統治の安定性が揺らいだ
という。(中略)その反省のゆえか、‘05年3月から、ようやく胡錦濤が共産党総書記、
中国国家主席、共産党中軍委主席、国家中軍委主席の4ポストを独占したのである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
引用終わり
 中国における実態的な最高権力は中軍委主席のようですね。しかし、この裏でどんな
力が作用していたのかを知りたい所です。次回以降で追求して行きます!?
%E4%BA%BA%E6%B0%91%E8%A7%A3%E6%94%BE%E8%BB%8D%E3%80%80%E7%B5%84%E7%B9%94%E5%9B%B3.jpg
現代中国経済:人民解放軍の仕組から引用
◆軍備と国防費について
 軍事力は以下の資料にあるように、米国に次いで世界第2位で、人民解放軍160万と
中国人民武装警察部隊100万に予備役部隊、民兵を入れると人的規模では世界第一
です。又、国防費は一貫して増加しています
。尚、国防費は、1.将兵の待遇改善、
2.装備のハイテク化、3.テロ対策や災害救助などに使われているらしいです。
img-%E4%BA%BA%E6%B0%91%E9%96%8B%E6%94%BE%E8%BB%8D%E3%80%80%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E5%8A%9B.jpg
東洋経済11/6から借用しました
img-%E4%BA%BA%E6%B0%91%E9%96%8B%E6%94%BE%E8%BB%8D%E3%80%80%E6%8A%95%E4%B8%8B%E8%B3%87%E9%87%91.jpg
東洋経済11/6から借用しました
◆軍備の再構築
「中国情報地図」 監修:孔健から引用します
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 中国の軍拡は、`91年の湾岸戦争でピンポイント爆撃する米国のハイテク兵器を見て
からです。(上記グラフ参照)こうした実情もあって、実際の国防費は公表の2~3倍と
言われています。
中国が進めている軍備は、主に空軍のハイテク化と新型戦闘機への切り替え、陸軍の
機動力や即応力のアップ、再編成による兵員削減。海軍では近代的な性能を持つ駆逐艦と
空母の導入。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
引用終わり
 再編成についてはコーヒーとモカエクレアからお借りしました7つの管区から4つの管区に
変わるようです。
どうも派閥が関連しているようですね。
この力関係の変遷は非常に興味が沸きますね。
次回以降で扱います。 😛
7つの管区
から、
4つの管区
3.企業と血縁関連について
「2013年中国で軍事クーデターが起こる」 楊中美 から引用します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 2009年版中国富豪ランキング「胡潤百富○」によれば、中国で1500万米ドルの財産を
持つ富豪の数は82万5000人にのぼり、アメリカに次いで世界で2番目になっている。
 不思議なことに、彼らは実はほとんどが共産党の高級幹部、家族、その親友たち
なのである。
 
 2006年4月初め、国務院研究室、中央規律検査委員会、中国社会科学院はある調査
報告を作成した。それによると、党と政府の幹部はすでに「官僚特権階層」を形成し、
平均年収は地元都市住民の8〜25倍、地元農民の25〜85倍となっている
。また、
 香港誌「ファーイースタン・エコノミック・レビュー」(2007年第4期)によると、太子党
(高級幹部の子弟など)3000人の保有資産は2兆元、1人当たり6億7000万元に達する。
 金融、貿易、不動産、エンジニヤリング、安全保障といった重要産業では要職の
85〜90%を太子党が占めている。2005年末時点で、海外在住の太子党が経営する
貿易会社の売上は1000億ドル余りに達し、6000億ドル以上の資産を保有している。

(中略)
 彼らはさらに姻戚関係で結ばれ、権力を独占し、利益集団を形成し、現状維持に
力を尽くしている。(中略)中国の十数億の人民は皆、この小集団の搾取の対象と
なっている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
引用終わり
次に、主な特権階級のリストを「2013年中国で軍事クーデターが起こる」 楊中美から引用します。
主な特権階級1
主な特権階級2
 すざましい現実が見えてきます。 血縁と宗族及び地縁を基本とする国民だが、
一体どのようにしてこのような力を得たのでしょうか?中国が変わってからまだ60年です。
この60年にどのような力が働いたのでしょうか?そして、1978年改革開放から32年で
更に何が変わったのでしょうか?
 背後にある支配勢力の動きと、中国人の血縁・地縁・宗族と企業の関係を更に
追求して行きます。
期待してください!!

List    投稿者 sakashun | 2010-11-11 | Posted in 未分類 | No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2010/11/1442.html/trackback


Comment



Comment