2009-07-23

食料自立への道を探る11.分けつする稲の潜在力を引き出すマダガスカル発のSRI

前回、タイの国際米価格の高騰がアフリカ・中米の食料暴動を引き起こした!!というテーマを扱ったが、今回は更に進めて脱「緑の革命」、脱「グローバリズム」の観点から今後の農業の動きについて検証してみたい。 
 
世界の片隅で登場した稲作革命 
 
世界の片隅で登場した稲作革命ともいえるSRI農法について焦点を当てていきます。
SRI農法はアフリカの小国マダガスカルにおいて、フランス人のローラニエ神父により開発されたものである。始まりは1981年の水稲生産の向上を目指して農家の若者を対象にした農民学校の設立にある。農家の経験に学びながら試行錯誤の末に開発されたものであり、1994年、コーネル大学のノーマン・アップホフ博士がこの農法に着目し、世界的に広がることになった。 
革命的と言われる理由は、従来型(緑の革命)の大規模・機械集約型で多収量品種導入や灌漑、化学肥料などの資源投入型農法から、稲本来の生命力を最大限に引き出し、耕起を深く堆肥を混ぜ小まめに草取りを行うなど人手を掛けた土壌に優しい省資源・自然循環型農業への革命的な転換にある。
   
    マダガスカルの位置 
    
 
疎植によって稲の持っている潜在力を最大限に引き出すSRI農法 
 
SRI(System of Rice Intensification)とは集約的な稲の多収穫栽培法のことで、疎植によって稲の持っている潜在力を最大限に引き出す革命的な農法である。
稲の潜在能力とは、当に子孫を作り出そうとする力=生命力そのものである。それを引き出すためには、籾の段階から厳しい環境(=自然そのもの)に置いて過保護にしないこと。苗の段階でも疎植にし、各々の苗が存分に成長力(=根を張り、分けつを行う)を発揮できる環境を維持することにある。
SRIの特徴
SRIの具体的な特徴は「育穂日数15日以内の乳苗」を「1株1本植え、1㎡当り16株の疎植」とし、「入念な初期除草」「間断灌漑と出穂期浅水管理」「多量の堆肥投入」をセットにした多収農法であり、日本の稲作農家が長年追求、実践してきた技術や経験など多くの共通点を持っている。
マダガスカルでの収量アップの実績
マダガスカルでの米の自給に向けた収量アップの実績目標は、1ha当り収量を現在の1.8t〜2.5tから3〜5tに引き上げるように設定されている。熱帯耕地で気候がよいこともあるが、この方法で育てた結果、1ha当り10tもの収量があったという報告もある(堀江武氏)。 
 
稔ったSRI稲(分けつの潜在力を最大に発揮させる)
 
 
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  投稿者 aruih | 2009-07-23 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?1 Comment »