2011-04-29

【韓国経済の光と闇】IMFの国家支配~Ⅱ.’97アジア通貨危機とは何か?

%E8%90%BD%E3%81%A8%E3%81%97%E7%A9%B4%EF%BC%88%E3%83%89%E3%83%AB%EF%BC%89.jpg
こんにちは!「韓国経済の光と闇」シリーズ二回目です 😀 前回は、GDP成長や輸出増など、「韓国経済が好調だ!」という事例をあげるとともに、一方では自殺者や失業率増加、異常な教育熱など「本当に好調なの?」という事例もあげました。

ここで、再度データを眺めて みると、概ねどのデータも共通して1998年前後に大きな変化が現れていることがわかります この1998年に見られる変化の原因は何でしょうか
【韓国経済の光と闇】IMFの国家支配〜Ⅰ. 韓国経済の現状より)

その原因として考えられるのが、1997年に起こった、「アジア通貨危機」です。
アジア通貨危機とは、’97年に、タイ・バーツの暴落を皮切りに起こった、アジア諸国の通貨暴落のことをいいます。これによって、アジア諸国では急激に経済状況が悪化しました。
今回は、なぜ、’97年、アジア通貨危機が起こったのか?それは、どのような影響を及ぼしたのか?を見ていきます。そして、その中で金貸しは、どのように関係していたのか?に迫っていきたいと思います。
続きが気になる方は、ポチっと応援クリックをお願いします
 

にほんブログ村 経済ブログへ


ありがとうございます
「財政危機に国民が取るべき選択」さんの記事を参考にさせていただきました。)
1.アジア通貨危機の背景−東アジア諸国の高度経済成長
東アジア地域では、1960年代以降、日本を筆頭に、韓国・台湾・香港・シンガポールのNIEs諸国が、高い経済成長率を持続しました。1980年代後半になると、タイ・マレーシア・インドネシアなどのASEAN諸国も、90年代半ばまで高度経済成長を実現しました。これら1960年代から90年代の30年間にわたって継続した高度経済成長は、「東アジアの奇跡」(1993年:世界銀行)と賞賛されました。
たとえば、韓国は、’60年代から’95年まで、6〜11%という高い経済成長率を維持してきました。タイでも’85年から’95年にかけての10年間、年間平均9%の経済成長率を記録しました。参考
この成長の背景には、IMFの指導に基づく資本移動の自由化(これによって外資が流入可能に)と、先進国による直接投資がありました。
そしてもう一点、アジアの経済成長を促した重要な要素があります。それが「ドルペッグ制」です。
韓国・香港・タイ・マレーシア・インドネシアなどの多くのアジア諸国では、自国通貨を米ドルに連動させるドルペッグ制(固定相場制)を採用していました。そのため、1985年のプラザ合意でのドル安政策が自国通貨安につながりました。
自国の通貨が通貨安になると輸出に有利になるため、アジア各国は輸出を増やしていきました。この通貨安が経済成長の起爆剤となったのですが、その前提のドルペッグ制こそが、その後、暴落のきっかけを作ることにもなっていくのです・・・。
そして、アジア諸国は資本移動の自由化に加えて、高金利政策を採りました。外国の金貸しからすれば、金利の高い国に金を貸し出すほうが、確実に利益を上げることができるため、外資(短期資本)が流入しました。
こうして、アジア諸国は急速な高度経済成長により、先進国の仲間入りを実現しようとしてきたのです。
しかし、それも長くは続きませんでした。
2.通貨暴落の原因は?

①中国の国際競争力の躍進

’92年以降、東南アジアに展開していた日系、欧米系企業の多くがより人件費の安い中国への生産シフトを強めていました。そして’94年、中国の人民元の大幅な切り下げにより、中国は輸出国としての力を急激に増しました。
中国も他のアジア諸国と同様にドルペッグ制だったので、元の切り下げを容認したアメリカ(の金貸し)は、中国の経済成長を目論んでいたことが窺えます。
②アメリカの「強いドル政策」
’95年、アメリカが「強いドル政策」を打ち出し、ドルの価値を引き上げていきました。それに連動して、ドルペッグ制であるアジア諸国の通貨も高騰しました。通貨が高くなると輸出力が低下し、アジア諸国は国際競争力を失っていきます(先ほどとは逆の構造)。
これが、アジア諸国のプラス成長→マイナス成長へと導く、直接の契機になったように思われます。
こうして、’90年代前半に年成長率9%を誇っていたタイですら、’96年には貿易赤字国に転落しました。
%E5%9B%B3%E8%A7%A3%EF%BC%88%E5%B0%8F%E9%9B%85G%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0%EF%BC%89%EF%BC%92.jpg
ここで、現代の金貸しの先鋭部隊ともいえるヘッジファンドが動きます。
③タイ・バーツに目をつけたヘッジファンド
1997年5月、割高になっていたバーツに目をつけたヘッジファンドが、タイ・バーツに対する浴びせ売りを開始しました。(注:浴びせ売りとは、バーツを持っていないにもかかわらず大量に売りを仕掛けることです。今後バーツ安になることを見越してバーツを売ると、確実に利益を上げられます。)
政府はバーツを買い戻そうとしましたが、外貨準備高が瞬く間に底をつき、7月には固定相場制から変動相場制への移行を余儀なくされました。
そして、1ドル=約25バーツであった為替レートは、1998年初頭には1ドル=50バーツ台へと急落。株価も1994年のピークと比べて1998年には‘約10分の1’となり、1998年の実質経済成長率は‘マイナス10%’を超えました。
つまり、それまでの成長を支えていた「ドルペッグ制」「外資流入」がすべてマイナスの影響を与える側にシフトしてしまったのです。これは偶然でしょうか?
いや、決して偶然ではないと思います。アジア通貨危機の原因を整理すると、①中国元の切り下げ(アメリカが容認)、②アメリカの強いドル政策、③ヘッジファンド、の3つであり、要するにアメリカ(の金貸し)が仕組んだ暴落であった可能性が高いのです。
金貸しが作った世界経済の仕組みは、市場拡大(経済成長)を前提としており、原資を金貸しが貸し出すことによって各国が市場拡大し、金貸しは利益を得ます。しかし、市場拡大には必ず限界があり、その限界を見定めると金貸しは売りを仕掛ける(→暴落を仕掛ける)ことによってまた利益を得ていくのです。彼らにとっては、それによって人々の生活が困窮することは問題ではありません。
したがって、金貸しが作る市場社会では、(通貨価値にせよ、株価にせよ、)投機商品は必然的に高騰と下落を繰り返し、その煽りを国家や国民が受けることになります。
%E5%9B%B3%E8%A7%A3%EF%BC%88%E5%B0%8F%E9%9B%85G%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0%EF%BC%89%EF%BC%93.jpg
各国には、具体的にどのような影響があったのでしょうか?
3.各国への影響
以下のグラフのように、アジア各国は、1997年半ばを契機に、一気に通貨価値が暴落しました。
%E9%80%9A%E8%B2%A8%E4%BE%A1%E5%80%A4%E6%8E%A8%E7%A7%BB%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95.bmp
それによって、各国の経済状況・社会状況は悪化しました。
たとえばタイでは、
・海外からの投資資本が一斉に引揚げを行い、企業は資金繰りに窮した
・通貨下落に伴い、銀行と企業の財務状況は急激に悪化し、対外債務の膨張から返済不能に陥る企業が続出して倒産やリストラが相次ぎ、街には失業者が溢れた
と、社会状況は悪化しました。
さらにここで、IMF(国際通貨基金)が出てきます。

>1997年7月にタイ政府はIMFに支援要請を行い、その後、IMFの支援プログラムが実行されたが、タイの財政収支が1996年まで黒字で推移していたにもかかわらず、緊縮財政(増税による歳入の増加と歳出の削減)が行われるなど、政府が財政赤字を垂れ流して発生した危機と同様の旧来型の支援策となった。また金融機関の性急なリストラが実施され、実体経済に大きな打撃を与えた。この誤った処方箋が需要のさらなる減退を招くなど、危機を深刻化させた面は否めない。このIMFの誤った処方箋は、アジア通貨危機でIMFに支援を要請したタイ・インドネシア・韓国に共通のものであった。リンク

つまり、IMFの支援が内需を縮小させ、経済状況を悪化させる結果となったのでした。
また、アジア通貨危機の影響は、アジアに留まりませんでした。
たとえばロシアでは、
・アジア通貨危機の余波を受け、石油価格が歴史的水準まで低下すると、輸出の大半を石油などの天然資源に依存するロシアの財政は悪化し、ロシア財政危機が発生。
・1998年1月、ソ連崩壊後、通貨単位を1000分の1に切り下げ。
・しかし、資本の流出を止めることは出来ず、同年8月に対外債務の90日間の支払停止、すなわち事実上のロシア国債の債務不履行(デフォルト)を宣言
・すると、年初に1ドル6ルーブル前後に固定されていた為替レートも変動相場制への移行を余儀なくされ、9月に一時24ルーブルへと4分の1の水準に暴落した。株価もピーク時の15分の1となり、史上最安値を更新した。
・その影響で自殺者も増加。
と、ロシアですら債務不履行(デフォルト)が宣言されるほど経済状況が悪化したとは、驚きであり、アジア通貨危機の影響の大きさが窺えます。また、このロシア財政危機の影響はアメリカ・ブラジルにも飛び火しました。(ex.米ヘッジファンドの破綻、ブラジルの通貨価値半減)
そして、本シリーズのテーマである韓国経済へのダメージも大きなものになりました。特に、IMFの介入が、韓国人の労働に対する価値観をも変えることになっていくのです。
それについては次回扱います!!お楽しみに〜

List    投稿者 kayama | 2011-04-29 | Posted in 未分類 | 4 Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2011/04/1577.html/trackback


コメント4件

 国民の生活が第一は人づくりにあり | 2012.05.03 14:36

世論調査の改憲賛成意見の多くは選挙制度の違憲状態是正の期待表明で国民の安全と将来犠牲ではない

 原発再開必要論を展開するマスメディア各社が、4月末に世論調査を行い憲法記念日の今日結果を報じている。本日5月3日(木)の日経新聞の社説は、憲法9条の改正…

 カシオマイクロニクス | 2013.11.15 5:19

カシオ g-shock

 hermes bags sale | 2014.02.02 5:17

hermes bags outlet paris 金貸しは、国家を相手に金を貸す | 近代市場の成立過程(3)〜ルネサンスの先駆者ダンテが金貸したちにもたらしたものは…

 http://tiffanzsy.seesaa.net/ | 2014.03.12 7:03

金貸しは、国家を相手に金を貸す | 近代市場の成立過程(3)〜ルネサンスの先駆者ダンテが金貸したちにもたらしたものは…

Comment



Comment