2009-06-11

食糧自立への道を探る7.2008年米国農業法は何を先取りしたのか?

2008年米国農業法成立の経緯 
 
2008年米国農業法は昨年6月18日に成立した。今後2013年9月までの農業政策の基本となる。ブッシュ政権は2007年9月末に期限の切れる「02年農業法」に代わる次期農業法案を2007年1月に議会に提案した。その内容が、補助金引き下げを含んでいたので、農業団体からの強い反発にあった。そして政府案ではなく、下院では2007年7月に、上院では2007年12月にそれぞれ現行農業法の根幹を維持した法案が可決され、大統領府(拒否権)との攻防を経て、最終的には2008年6月に農業法が成立したのである。 
 
   USDA.bmp
   (米国連邦農務省のビル) 
 
2008年農業法とはいかなるものなのか?
強力な力を発揮した、農業団体は何を先取りしようとしているのだろうか?
 
 
1.2008年米国農業法は、ACRE(平均作物収入選択)というプログラムを導入 
 
ACRE(Average Crop Revenue Election)、日本語に直訳すると「平均作物収入選択」だ。
穀物生産保護では、前回紹介した価格支持融資、直接固定支払い、価格変動対応型支払という、2002年農業法の枠組みはそのまま温存された上に、ACREという新たな方式も選択できるようにした。 
 
それ以外では、 
 
・環境保全対策は、補助対象面積を拡大し森林を事業対象に追加。
・エネルギー関連ではトウモロコシエタノール税額控除の単価引き上げ、バイオエタノール燃料精製施設の建設事業者への借入保証や租税減免措置を新設。
・綿花補助金はWTO違反と裁定された為に目標価格やローンレート(融資支持価格)を若干引き下げたが抜本的には修正せず。
・貿易を歪めると指摘されている酪農製品や砂糖の支持価格制度も維持。 
 
そして、補助金総額は、5年間で約2900億ドル(約30兆円)に上り、2002年農業法段階よりも、約100億ドル増えている。 
 
2008年農業法は、色々の観点から見ることができますが、ACREプログラムに注目した。 
 
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  投稿者 shigeo | 2009-06-11 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?11 Comments »