2009-06-12

ロシアと金貸し−2

 
【ロシア革命〜ソビエト社会主義共和国連邦】
 
 
ロマノフ朝からロシア革命にかけてのソ連は、広大な国土とそこに眠る資源を持ちながら、軍事及び産業における技術面では大きく立ち後れていた。特に大量生産を可能とする技術に弱く、国際競争力は明らかに劣っており、激化する国家間情勢に対して上層部は相当な危機感と焦りを抱いていたことは容易に想像できる。(前回は、こちら
 
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                        ZiS-101(1936年) ソビエト ZILの自動車
 
 
巨体でありながら統率力の弱い若い国家ソ連は、強権的な統制を押し進めることでしか維持できなかった。そのことは、社会の自発的な成長を妨げるものであり、最も欲する先端技術の導入も工業化に向けた技術革新もソ連の国家中枢が解決せざるを得ない課題であった。
 
一方、一極支配のロマノフ朝が倒れたことで、ソ連を取り巻く市場にとっては拡大可能性が大いに開かれた。世界最大の未開拓な国土と資源は以前から世界金融資本のターゲットであったが、ロマノフ家が有する莫大な資本は、資本を武器として拡大してきた国際金融資本にとっては妨げになっていた。ロシア革命における革命家達を支援・援助し、目の上のたんこぶであったロマノフ朝を解体、新国家ソ連を成立させ、市場を開放させたのは世界金融資本だとみるのが正しい歴史認識だろう。
 
世界金融資本の援助によって成し遂げたロシア革命、それによって主権を手にしたレーニンは、この先世界金融資本との絆を保ち続ける運命を背負うことになる。世界金融資本にとってはその絆をより強固にすべく暗躍したであろうし、市場が開かれた時点から直ちに(待ったなしで)直接的な市場獲得に奔走することになる。
 
世界金融資本の動きを少し具体的に見てみよう。彼らは、彼らが所属する国家(例えば、ロックフェラーにとってのアメリカ)の利益や立場よりも彼ら自身の利益(目的)を実現する為にアメリカの不利益を承知で行動している。彼らの立場とはもともとその様なものだが、アメリカ国家政策・国家戦略をねじ曲げてでも強引に開拓に向かった背景には、期を逸してはならないという焦りにも似たものを感じる。それが、ロックフェラーとロスチャイルドの勢力争いだったのか、それ以外のなにかとの戦いだったのかは読み取れない・・・1つだけ言える事は、当時の世界は、国家をも手玉に取って「市場」がその力を背景に世界中に拡大しようとする狂乱の時代であったということだ。世界はそれに翻弄され続ける時代に突入する(世界恐慌〜第二次世界大戦へ)。
 

(さらに…)

  投稿者 cosmos | 2009-06-12 | Posted in 08.金融資本家の戦略5 Comments »