2016-12-30

2017年、世界経済の見通しはトランプノミクス頼み

TAKUMI-CG-この画像はこちらかお借りしました

 

2017年の世界経済の見通しのいくつかに目を通してみましたが、あまり明るい展望は無さそうです。大きなトレンドとしては、先進国の長期停滞に加え、中国を中心とした発展途上国の成長も限界を迎えています。

 

特に注目されているのが、アメリカのトランプ政権、ヨーロッパのポピュリズムの動向、中国経済の動向と言ったあたりですが、ヨーロッパ、中国は明るい材料はありません。唯一、期待されているのがトランプノミクスですが、これも効果は短期的なものにとどまり、保護主義の影響で、長期的には世界経済の縮小均衡、アメリカの成長基盤の衰弱に向かう可能性が高いと予想されています。

 

この打開策として上げられているのは、各国が財政支出=国の借金で景気刺激を行うべきだという、これまでと何ら変わり映えしない方法論のみ。これで、本当に世界経済は成長するという力強さを感じることはできず、もはや打つ手はないということを暗に認めているようにも感じられます。

 

トランプ氏がアメリカ大統領に就任する2017年は、グローバリズム=市場主義経済の拡大が限界を迎え、縮小に向かった転換点として、歴史に残る年になるのかもしれません。比較的、分かりやすかったサイトを抜粋して紹介します。

 

■2017年の世界経済はトランプ政策が翻弄、日本はリスクに備えよ

市場の期待を集めるトランプノミクスは5つの分野から成り、短期的に景気を支えると考えられる部分はある。それ以上に、中長期的な弊害やマイナス面に注意が必要だ。

・財政出動を用いたインフラ投資は、効果は一時的なものに留まるだろう。

・規制緩和は短期的には金融業界を活性化させるだろうが、ゆくゆくは過剰なリスクテイクや金融危機の温床になりやすい。

・減税に関しては法人減税が重要だ。イノベーション”につながる設備投資が増えるなら、米国の潜在成長率は高まるだろう。

・保護主義の影響、世界経済は縮小均衡に向かう恐れがある。

・反移民政策は、成長基盤の弱体化につながる。

 

2017年の世界経済はこの「4大課題」に左右される

2017年の世界経済は見通しが難しい。それはトランプノミクスの実現(米国)、EU離脱の行方(英国)、黄信号の経済(中国)、限界の金融政策(日本)といった4つの経済的課題が予断を許さないからである。

・米国:トランプノミクスの実現。景気刺激型の経済政策(財政政策)を実施すると、副作用として財政は悪化する。米国債の大量発行となり、米国の長期金利(10年物国債利回り)は上昇する。

・英国:EU離脱の行方。英国の裁判所(高等法務院)がEU離脱には議会承認という判決を出した。議会ではEU残留派が多数を占めており、この問題は今後、急展開もあり得る。

・中国:黄信号の経済。昨年対比1割減の輸出、粗鋼などの過剰生産、土地バブル、地方政府と民間企業の債務過剰があり、その結果として、中国人民元が下落している。

・日本:限界の金融政策。アベノミクスの量的金融緩和政策も限界に近くになっている。トランプノミクスによる長期金利の上昇(米国債価格の下落)につられて、日本の長期金利も上昇(日本国債価格の下落)日銀は大量に国債を保有しているだけに、日銀のバランスシートを棄損する可能性がある。国債の格付けがあと一つでも下がると、その影響で日本企業ではいわゆるAAAの企業はなくなってしまう。

 

2017年の経済展望――世界経済を見る上での4つのポイント

「長期停滞」の可能性を示唆する2016年の先進国経済:2016年の世界実質GDP成長率は2015年の3.1%から伸びが鈍化して2.9%である。低成長には、米国の予想外の失速、日本、欧州各国の低成長の持続といった日米欧の動きと、資源輸出国の低迷、そして中国に代表される新興国の成長率の鈍化といった要素が作用している。2017年の先進国経済の先行きは「誇張された財政深刻化仮説」というべき通念を乗り越えて大胆な財政支出を行い、総需要不足を解消して成長につなげる試みが広がるかどうかが鍵となる。

・トランプ新大統領は先進国経済停滞の起爆剤となるか?:トランプ新大統領の経済政策はこれまでふれた様々な問題点・留意点を内包するものの、経済政策が実行される最初の年である来年は、問題点よりも米国景気の拡大といった好影響が前面に出る公算が高い。

・中国経済の何をどう懸念すべきか:中国の2015年実質GDP成長率は6.9%となり、今後もGDP成長率の鈍化が続くだろう。

・アベノミクスを貫徹させることが日本経済再生の最短距離:10兆円程度の財政支出の余地を活かして総需要を拡大させデフレからの完全脱却を果たすことで、短期的な景気刺激と長期的な財政健全化の両立を実現することが求められる。

List    投稿者 dairinin | 2016-12-30 | Posted in 09.反金融支配の潮流No Comments » 

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