2016-11-17

トランプ当選を受け、キッシンジャーが語った今後の米・露・中関係

yjimageトランプ氏の大統領当選を受けて、日経新聞に米元国務長官キッシンジャー氏へのインタビューが掲載されていましたので抜粋して紹介します。はっきりとは書かれていませんが、アメリカは「孤立主義」を選択することはあり得ず、第二次大戦後のようにアメリカが圧倒的な力を持った時代には戻らない。その中で、ロシアとの関係を重視した国際戦略をとるべきだと考えているようです。

 

以下抜粋

 

Q:トランプは新たな孤立主義に毒されている。

A:米国に「新孤立主義」という選択はあり得ない

 

Q:今回の大統領選で多くの国が不安を感じた。

A:過激な人たちが多くの支持を得た。多くの人たちが現状に不満を抱いていることの表れ。だからと言って、政治家が幻想を現実のものとして実行できるわけではない。

 

Q:21世紀も米国はリベラルな国際主義で世界を主導できるか。

A:リベラルな国際主義を確立してきた国々は今後もそれを追い求めるべき。

 

Q:トランプ氏は日本など同盟国に応分の負担を求めている。

A:多くの同盟関係はソ連が大きな脅威だった時代に生まれた。新しい時代に脅威の内容は変わっている。新しい現実に立ち向かうため、前向きな意味で再考すべき。

 

Q:米国は中国との関係をどう管理する。

A:米中両国の指導者は両国間の戦争は両国民のみならず、人類のためにならないという現実をしっかり認識するだろう。だが、米中両国には文化的に大きな違いがあるだけに、それをいかにして成し遂げるのかは最も難しい課題と言える。

 

Q:米国とロシアなど大国との関係は

A:第二次大戦後に現れた世界は終わろうとしており、多くの国々との関係を再定義する必要に迫られている。

 

Q:トランプは強いリーダーシップを発揮できるか。

A:我々はいまだに多大な影響力がある一方で、米国によって彼らの意思は決められない。それは米国にとって新しい経験と言える。

 

Q:米国は今後どのような国際戦略を志向すべきか。

A:合衆国がグランド・ステラジーの活用法を学ぶべき。多くの国を互いに結び付けるような長期に及ぶ戦略が必要。米国はまず米ロ、米中関係の今後について自問すべき。「彼らは何を成し遂げようとしているのか」「彼らは何を妨害しようとしていのか」「それを誰とするのか」「その目的達成のために誰が我々に懸念を与えるのか」

 

Q:新たな世界秩序の考え方として「ウェストフェリアの平和」を提唱している。

A: 「ウェストフェリアの平和」は手続きによって参加できる国際システムを作り、必ずしも誰かの意見にすべての国が同意しなくてもよくなった。こうした諸原則は有益だ。

 

Q:中国やロシアの存在感が増す21世紀でも。

A:その際、何がルールになるのかについて同意を作り上げなければならない。そのルールとは国境は変わりえるという考え方かもしれない。そして各国間の交渉でルールも修正されなければならない。

List    投稿者 dairinin | 2016-11-17 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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