2010-05-26

BRICs徹底分析〜中国編その2.中国の格差問題の本質は?

中国分析の第2回目として以下の3つの格差について分析をおこないます。 
 
①地域による格差(沿海地域と内陸地域)
②都市と農村の格差
③個人所得の格差 
 
これら3つの格差について、多摩大学の沈才彬教授が中国経済の現状と見通し(下)の中で指摘しています。

現在、中国では実際に三つの格差問題が存在しているのです。 
 
一つ目の格差は地域格差、即ち、沿海地域と内陸地域との格差です。この格差が大きいのです。中国全土で一番豊かな地域は上海です。逆に一番貧しいところは内陸地域の貴州省で、その格差は10倍近くに達しております。 
 
日本の地域格差について、私が調べたところ、所得が一番高いところは東京都でした。一方、所得が一番低いところは沖縄県で、その格差は2.4倍でした。これに比べて、中国における地域格差は10倍近くです。 
 
二つ目の格差、それは都市部と農村部との所得格差です。この格差は現在のところ、名目で3.3倍です。しかし、これに加えて、農村部の住民たちには社会保険がありません。医療保険も年金も無いのです。要するに、今のところ、農村部の人々にはセーフティネットが整備されていないのです。ですから、都市部と農村部との実質的な所得格差は6倍以上あると思われます。これが二つ目の格差です。 
 
三つ目の格差は貧富の格差です。中国においては、総人口の10%が富裕層であり、総人口10%は貧困層です。そして、その格差は実に数十倍に達しております。 
 
このように、これら三つの格差が今、中国の社会安定を脅かしているのです。下手をしますと、農民たちの不満、それから貧困層たちの不満、内陸地域の人たちの不満が爆発するのです。

中国は改革開放政策以来32年を経過して今や世界第2位の経済大国になろうとしています。 
 
当初の20数年は鄧小平の先富論により東部沿海地域を著しく発展させ、地域格差が一挙に拡大しました。しかし、この数年は胡錦濤の西部大開発や中部勃興、東北振興などの地域格差是正政策により中部から西部内陸部へと経済開発が進展し、格差は減少傾向にあるといわれています。しかし、他方では腐敗が蔓延し、格差問題がさらに深刻化しているともいわれています。本当はどうなのか、みていきます。 
 
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  投稿者 aruih | 2010-05-26 | Posted in 07.新・世界秩序とは?2 Comments »