2020-08-14

アメリカが撤退しようとする中東に,中国が訪問。

アメリカと中国は敵対関係を強めている。

これまでの覇者だったアメリカが、迫りくる覇者の中国を叩いているのだ。
一方で水害にて食料危機が危ぶまれて苦慮している中国に、アメリカはトウモロコシを多量に売っている。トランプはアメリカが儲かればいいという単純な思考のようだ。

ただ、これまでのアメリカ支配だった世界の仕組みが、中国、ロシアその他の多国籍な世界に変わろうとしていることは、だれの目にも明らかになってきた。

ここにきて、中国が中東に動いた!

アメリカが石油支配の源である中東支配から離脱しようとしているのをわき目に、中国が中東に急接近。

コロナで石油がダブって石油価格暴落中で身動きが取れない中東国に、中国がバラマキ政策で親密化+和平化を実現させると、アメリカは本格的に没落だ。

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中国が“中東”外交に目覚める時

(ウィーン在住  https://www.worldtimes.co.jp/column/59167.html)より引用

中国の習近平国家主席は今月19日から23日までサウジアラビア、エジプト、そしてイランの中東主要3カ国を公式訪問し、24日、北京に帰国した。習近平主席の中東3カ国訪問は初めて。

中国は米国と並ぶ大国を自負しているが、世界の紛争地、中東で和平外交に積極的に関与することで、指導国家の威信を高めたいという狙いがあるとものとみられる。

習近平主席の訪問国3カ国は中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーだが、サウジとイラン両国を同時に公式訪問する訪問日程は異例だ。サウジが今月2日、イスラム教シーア派指導者ニムル師を処刑したことがきっかけで、スンニ派の盟主サウジとシーア派代表イランの間で激しい批判合戦が展開し、一発触発の緊迫感が漂っている。そのような時に中国国家主席が両国を訪問したわけだ。

中国外務省は、「わが国は欧米諸国とは異なり、中東で紛争に直接関与したことがない。それだけに、公平な和平交渉が可能となる」と指摘し、中国の新外交、中東和平外交の意義を強調しているほどだ。

中国のメディアを中心に習近平主席の訪問先の言動を振り返った。同主席は最初の訪問国サウジの首都リヤドでサルマン国王と会談した。中国国営新華社によれば、サルマン国王は中国が進めるアジアと欧州を結ぶシルクロード経済圏「一帯一路」構想に支持を表明。それを受け、習主席は、サウジが軍事介入しているイエメンについて、「正統政府を支持する」として、サウジのイエメン政策を支持している。参考までに、習近平主席の最後の訪問国、イランはイエメン紛争では反政府勢力、シーア派武装組織フ―シを支援している。同主席の発言はイランに決して快いものではなかったはずだ。

習近平主席は21日、第2の訪問国エジプトのカイロのアラブ連盟本部で演説し、中東の経済復興のために総額350億ドルの融資、紛争地の人道支援など数々の支援プロジェクトを発表した。

具体的には、エジプトに対して数十億ドルの融資、中国観光客の増加などで合意。イランのテヘランでロハ―ニ―大統領との会談では、イランが進める高速鉄道建設計画に中国が資金提供、ガス資源の開発支援などで合意したという。イランの核問題が今月16日、合意され、国際制裁が解除された直後だけに、中国側も人口7500万人のイラン市場進出を願っていることは間違いない。

中国は中東外交では政治面と経済面の2分野から検討している。政治面では、中東が政治版図の再構築期にあるという認識のもと、中東地域の安定化に貢献することで中国の政治的影響力を拡大すること、経済分野では、中東諸国は国民経済の発展のために支援を必要としていることから、積極的な経済的支援を実施することで、関係を深めていくという狙いだ。人民網日本語版は「中国と中東はいずれも世界文明のゆりかごであり、悠久の歴史と素晴らしい文化を持つ。双方の文明交流は大いに期待できる」と期待を表明している。

ちなみに、習近平主席は2014年6月5日、中国アラブ諸国協力フォーラム第6回閣僚会議で、「中国はアラブの友に対して、4つのことを堅持する。第1に中東の和平プロセスを支持し、アラブ民族の合法的な権益を擁護する立場の堅持。第2に問題の政治的解決を進め、中東の平和と安定を促進する方向性の堅持。第3に中東が自ら発展の道を模索することを支持し、アラブ諸国の発展を支援する理念の堅持。第4に文明的対話を進め、文明的な新秩序提唱を追求することの堅持。中国はアラブ諸国と共に、各自の民族を振興する道を歩んでいきたい」(人民網日本語版)と中国のアラブ外交の主要4点を述べている。

南シナ海で人工島造成など強引な海洋進出を実施している中国に対し、米国は厳しい批判を展開している。それだけに、中国側はオバマ米政権が暗礁に乗りかけている中東和平外交に関与し、その存在価値を高めていきたいはずだ。
しかし、米国が中東外交で苦慮しているように、複雑な民族間のいがみ合いの歴史を持つ中東諸国に足を突込めば、その迷路から抜け出すことは容易ではない。それだけに、中国の中東外交が単なる資源外交、バラマキ外交に終わるか、それとも地域和平に貢献できるか、注視していきたい。
(以上引用)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
by猪飼野

  投稿者 dairinin | 2020-08-14 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

奥の院の退潮と復活~思想革命・政治革命という全く新しい発想

ハプスブルグが全欧州を支配するにつれて、奥の院は戦争を起こすことができなくなり、商売上がったりで稼げなくなり、追い詰められていった。さらに、産業を対象とする新たな金貸しがどんどん資力を蓄積していったので、奥の院は資力でも劣勢となった。実際、ルネッサンスを主導したのは、奥の院ではなく、新興の産業資本(メディチ家とヘッセン家)である、

しかし、追い詰められた奥の院は、どうしたらハプスブルグ帝国を倒せるかをひたすら追求し、やがて一つの答えに辿り着く。
それが、思想革命・政治革命によってハプスブルグ家を解体するという全く新しい構想である。

<奥の院の退潮と復活>
・1500年代、ルネッサンスを貫く反教会→快美収束の潮流を見て、より強固にバチカンを支配するために、まず教会を堕落させて財政危機に陥った

教会に免罪符を発行させ、それを批判して宗教改革を仕掛けた。次に宗教改革からバチカンを守るという名目でイエズス会を組織し、バチカン支配に成功した。
・この間、奥の院が唯一動けたのは、イエズス会を組織してバチカン支配の体制を固めたことだけ。
・1500~の大航海(ポルトガル→スペイン→イギリス)でも動けず、イエズス会を送り込んで、南米の布教に成功しただけ。
・1600~オランダのヘッセンがイギリスに進出。1690年、英王室を乗っ取り、以降、大航海、インド支配、産業革命を通じて急成長。18世紀、その金庫番となったのがロスチャイルド。
◎要するに、1300年以降、奥の院は、ハプスブルグの支配から身を守ることに精一杯で、その間、どんどん資力を拡大してゆく産業資本に対して資力でも劣勢(れっせい)となり、大航海でも動くことができなかった。
◎その間、奥の院は、ひたすらハプスブルグ帝国をどうすれば倒せるかを追求。その一つが、宗教改革→イエズス会→教会権力による王族支配(観念支配)。
・しかし、バチカンを通じて各王族を観念支配するだけでは、ハプスブルグ帝国を解体することはできない。そこで、産業資本(市民)とルネッサンスの興隆に目をつけて、思想革命→政治革命によってハプスブルグ帝国を解体するという新しい戦略を構想。その実現の為(ため)に近代思想家の育成に注力した(これは、宗教改革を担う思想家の育成の焼き直しとも言える)。
◎つまり、王族の観念支配と市民の観念支配という両面戦略。(王族が勝っても、市民が勝っても儲かる。敗けるのは王族なので、王族に貸した方が儲かるし、支配もできる)

●追い詰められた奥の院は、どうしたらハプスブルグ帝国を倒せるかをひたすら追求した。
その答えが、思想革命・政治革命によってハプスブルグ家を解体するという新しい構想である。

●奥の院は、何をヒントにしてその構想を思いついたのか?
1.法皇>国王で思い知った、統合力としての観念支配の力。
2.ルネッサンスの興隆が示す、反教会⇒快美収束の新しい潮流。
3.ルネッサンスで登場した大量の知識階級と、産業資本の興隆によって登場した大量の商工業者(市民)。

◎ルネッサンスを下敷きにして、キリスト教に代わる新しい思想=近代思想を構築し、知識階級を核にして、商工業者(市民)を巻き込んで政治革命を実現するという、全く新しい発想である。

奥の院はルネッサンスが示す反教会→快美収束の潮流を見て、思想革命・政治革命によってハプスブルグ帝国を解体するという新しい構想を思いついた。
この流れの中で、奥の院の凄いのは、反教会の新しい潮流を見抜いたこと、思想革命を思いついたこと、政治革命を思いついたこと等多々あるが、この新しい発想の核になっているのは、キリスト教が絶対支配する社会の中において、キリスト教に代わる新しい思想が必要になると気づいたこと。

奥の院は、キリスト教に代わる新しい思想=近代思想の構築を、ルネッサンス=文芸復興運動を通じて登場した、学者や芸術家の中の最も優れた者に経済支援してやらせた。

そして、奥の院は、ハプスブルグ帝国を倒すための政治革命を、知識階級を核にして、商工業者を巻き込んで実現した。
この政治革命という発想も、これまでにはなかった全く新しい発想である。

  投稿者 tasog | 2020-08-11 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

経済状況と乖離したアメリカの株価暴騰はいつまで続くのか

GO5UZ6YG2か月ほど前にも『コロナ不況と人種差別抗議デモに揺れるアメリカで株価暴騰の不思議とアメリカの実態経済と株価に乖離が発生し危険水域に達していることをお知らせしましたが、相変わらずアメリカの株価は上昇を続けているようです。マスコミはこのような状況をどう分析しいているのか調べてみました。 (さらに…)

  投稿者 dairinin | 2020-08-11 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

奥の院の退潮と産業資本が主導したルネッサンス(反教会と恋愛至上主義)

海賊の時代から一貫して戦争を飯のタネにしてきた奥の院は、1000年前、法皇>国王を見て観念支配の力を思い知り、早速法皇の取り込みに動いて十字軍遠征を成功させた。戦争を最大の商売のネタとしてきた奥の院は、観念支配の力に気付いてただちに転換し、ただちに法皇の抱き込みに動き、十字軍遠征を成功させた。

しかし、十字軍が終了すると、ドイツのハプスブルグが強大化し、奥の院は次第に追い詰められてゆく。

<奥の院の退潮>
・1270十字軍終了→1300年ドイツのハプスブルグが強大化→1480ハプスブルグが東ローマ帝国皇帝に。この間、奥の院は、対ハプスブルグで手一杯。ハプスブルグが全欧州を支配すると防戦一方に追い詰められた。
・陸がダメなら海に戻る筈だが、地中海はイスラム(ペルシャ帝国)が支配しており、海上でも劣勢。
・その間、1400~産業資本のメディチ(フィレンツェ)、1500年ヘッセン(オランダ・ネーデルランド)が急成長するが、奥の院はそれ所ではなかった。

<奥の院とルネッサンス>
・同様に、1300~1600産業資本主導でルネッサンス(文芸復興運動)がヨーロッパを席巻するが、奥の院は眺めているだけ。
・ルネッサンスとは、再生・復活。キリスト教以前のギリシャ・ローマの古典文芸の復興運動。中心はロンバルディア地方のフィレンツェ→ベネチア→ミラノ→サボイア公国。
メディチ家は、産業資本発の新興の金貸しで1300年代を通じて、フィレンツェを独裁支配。ダンテ、ボッカチオ、ダヴィンチ、ミケランジェロ。
・産業資本(ヘッセン)主導で、オランダ・ネーデルランドが興隆し、ルネッサンスが全ヨーロッパに広がる。モンテーニュ、セルバンテス、シェークスピア。
・ドイツ・フランス・イギリスのルネッサンスは、宮廷と産業資本(市民)を中心にしている。欧州のルネッサンスを貫く精神は、反教会・懐疑精神・恋愛至上主義。産業資本のヘッセンは商売を通じて、恋愛が市場拡大の基盤となることを熟知していた。

ハプスブルグが全欧州を支配するにつれて、奥の院が追い詰められていったのは、なぜか?
一つは、戦争を起こすことができなくなり、商売上がったりで稼げなくなったからである。
加えて、産業を対象とする新たな金貸しがどんどん資力を蓄積していったので、奥の院は資力でも劣勢となった。

実際、ルネッサンスを主導したのは、奥の院ではなく、新興の産業資本(メディチ家とヘッセン家)である、

しかし、追い詰められた奥の院は、どうしたらハプスブルグ帝国を倒せるかをひたすら追求した。その答えは何か?
それが、思想革命・政治革命によってハプスブルグ家を解体するという全く新しい構想である。

  投稿者 tasog | 2020-08-07 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?No Comments » 

スウェーデンの『緩い』コロナ対策は成功するか―感染は収束に向かい、経済も比較的好調

 

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日本では、コロナウイルスの第2波が問題になり、今にも緊急事態宣言が出されそうな勢いです。マスコミも連日、危機をあおる報道を続けています。専門家も活動の全面的な自粛を強く要請しています。では世界で唯一ロックダウンを実施しなかった国、スウェーデンは今どうなっているのでしょうか。 (さらに…)

  投稿者 dairinin | 2020-08-04 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

中国が、大洪水で多量の農地が水没し、危機的な食料危機が訪れる?!

中国にまたもや台風が訪れて大雨を降らす可能性があるらしい。(8月5日現在)
三峡ダムは警戒水位を超えたとか、警戒水位を切ったとか言われているが、中国の洪水は日本とはいささかイメージが違うようだ。

日本は、山からの急流が一気に流れ込んで洪水となる。
中国は川の勾配が非常に緩やかで、ゆっくりと流れてくる。
だから洪水と言っても、日本のように一気に流れ込むというよりも少しずつ増えてきて、周囲全体(≒広範囲)が水でおおわれる。

◎「長江流域大洪水」はそのような状況でなかなか水が引かないのに、さらに三峡ダムに集まった水が流されてくる。
◎食糧の全国生産総量は6億6384万トンの内、30%強が大洪水の被害にあった長州流域である!

◎中国政府は、連年の豊作により食糧倉庫の在庫は十分にあるので、問題ないと繰り返す。
(しかし中国役人の横流しが危惧されている)

◎しかし、中国政府は、農民たちに「復耕荒田(荒れた田畑の再耕作)」を呼び掛けて、荒れた田畑の再耕作を始めなければ当該田畑の「承包権(請負権)」を没収すると宣言。
◎アメリカから大急ぎで多量のトウモロコシを輸入。
米国農務省(USDA)は、7月14日に米国企業がトウモロコシ176万2000トンを中国へ輸出する契約に調印したと発表した。
これより4日前の7月10日には中国向けにトウモロコシ136万5000トンの輸出契約が締結されていた。

以下詳細記事
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三峡ダムより恐ろしい…「長江流域大洪水」がもたらす中国の食糧危機
■現代ビジネス
https://news.yahoo.co.jp/articles/8d201665457c1e0fa0b3fbdf19d47d3e88e7fa1a?page=1

1洪水
【写真】恐怖の負の遺産・三峡ダムは最終的に爆破で取り壊さざる得ないのか?

6月の梅雨入り以来、中国の南方地区では断続的に豪雨が襲い、一部地域では史上稀に見る特大の暴雨に襲われた。 この結果、長江や淮河を含む大多数の河川は本・支流を問わず急激な増水に見舞われ、流域の各地では河川の氾濫により深刻な洪水が発生し、広範囲にわたって多大な被害が出ている。  大雨による河川の氾濫は南方地区だけに限らず、それより北方に位置する黄河流域でも同様に豪雨による深刻な洪水が発生している。  中国政府内でこれら「洪澇(洪水・冠水)災害」を管轄するのが「応急管理部」であり、同部は地方政府との連携により災害管理を行うと同時に被災地・被災民に対する救援活動を支援している。

応急管理部は、2018年3月に開催された第13期全国人民代表大会第1回会議で、国務院改革法案が採択されたことによって、国務院内に創設された安全生産、災害管理、緊急救援を統括する部門(日本の「省」に相当)である。  その応急管理部が7月22日に発表した統計データによれば、中国全土の被災状況は以下の通りであった。

(1)6月1日以来の洪水・冠水による江西省、安徽省、湖北省、湖南省、広西チワン族自治区、貴州省、広東省、重慶市、四川省など27の一級行政区(省・自治区・直轄地)における被災者数は延べ4552.3万人に達し、死亡・失踪者数は142人、倒壊家屋数は3.5万戸、直接経済損失は1160.5億元(約1兆7408億円)に及んだ。

(2)このうち、7月以来の洪水・冠水による江西省、安徽省、湖北省、湖南省、重慶市、貴州省など25の一級行政区における被災者数は延べ2736万人に達し、死者・失踪者数は31人、倒壊家屋数は2万戸、直接経済損失は755億元(約1兆1325億円)に及んだ。

(3)これを最近5年間の同時期における平均値と比べると、災害による死亡・失踪者数は80.6%、倒壊家屋数は74.5%、直接経済損失は1.4%、それぞれ減少した。

それでも実態を隠しているか
洪水②
写真:現代ビジネス

これより3日前の7月19日付で国営通信社の「新華社」が報じた同社の記者が応急管理部から聴取した被災状況は、「7月以来の洪水・冠水による25の一級行政区における被災者数は延べ2386万人、死者・失踪者数は31人、倒壊家屋は1.6万戸、程度の異なる損壊家屋は15.1万戸、農作物の被災面積は247万8000ヘクタール(2万4780平方キロメートル)、直接経済損失は644億元(約9660億円)」であった。

これを上記(2)と比べると、7月19日と22日のわずか3日間の差であるにもかかわらず、後者は前者に比べて被災者数が延べ350万人、倒壊家屋が0.4万戸、直接経済損失が111億元(約1665億円)、それぞれ増加していたが、死者・失踪者数は31人で変わらなかった。

これらの中国政府機関が発表する統計数字をどこまで信用してよいかは意見の分かれる所だが、長江や淮河の氾濫、さらには三峡ダムの猛烈な放水状況などをテレビの映像やユーチューブの動画で見る限りでは、死者・失踪者数が6月以来で142人、7月以来で31人という少数である事に対して、甚だしい違和感を覚える人が大多数ではないだろうか。

長江や淮河流域には、中国の人口14億人の40%以上に相当する6億人が生活していると言われている。  その6億人が暮らす地域にあれだけ激しい洪水が押し寄せて大規模な水害が発生しているにもかかわらず、死者・失踪者数がこのような数字である、などということがあり得ようか。  これはどう考えても、実際の死者・失踪者数が統計数字を大幅に上回っていると考えざるを得ない。

中国最大の食糧生産地帯が
さて、上述の通り、新華社の記者が7月19日に応急管理部から聴取した7月以来の洪水・冠水による農作物の被災面積は247万8000ヘクタール(=2万4780平方キロメートル)であった。  日本の都道府県で2番目の面積を誇る岩手県の面積は1万5275平方キロメートル、これに隣接する青森県は8番目の面積で9646平方キロメーターであるから、両者を合算すると2万4921平方キロメートルになるが、これは中国における農作物の被災面積に等しいと言える。

中国政府「国家統計局」の統計によれば、2019年における「糧食(食糧)」の年間栽培面積は1万1606万ヘクタール(=116万600平方キロメートル)であるから、被災面積の2万4780平方キロメートルは全体の2.14%に過ぎないことになる。

しかし、上述したように、中国の統計数字の信憑性は相当に低いだけでなく、淮河を含めた長江の流域は昔から「魚米之郷(水産物や米などが豊富にとれる土地)」として知られる食物の一大生産地帯である。 ちなみに、中国語辞典によれば、「糧食」とは調理可能な各種植物種子の総称で、イモ類、豆類を含むとあり、このうちの穀類だけを総括して「谷物(穀物)」と呼ぶが、日本語ではこの「糧食」を一般に(食糧)と訳している。

軒並み大被害
国家統計局のデータに基づき産業コンサルタントの「中商産業研究院」が作成した『2019年全国31省(市/区)食糧生産量ランキング』を見てみると、2019年における食糧の全国生産総量は6億6384万トン。

これに対して、第1位が黒龍江省(年間生産量7503万トン:11.3%)、第2位が河南省(6695万トン:10%)、第3位が山東省(5357万トン:8.1%)であった。

長江流域では、安徽省が第4位(4054万トン:6.1%)、江蘇省が第7位(3706万トン:5.6%)、四川省が第9位(3498万トン:5.3%)、湖南省が第10位(2975万トン:4.5%)、湖北省が第11位(2725万トン:4.1%)、江西省が第13位(2157万トン:3.3%)となっており、これら6省の合計生産量は1億9115万トンとなり、全体の28.8%を占めた。

また、上記に第21位の重慶市(1075万トン:1.6%)、第22位の貴州省(1051万トン:1.6%)、第23位の浙江省(592万トン:0.9%)を加えた9省の合計は2億1833万トンとなり、全体の32.9%を占めていたのであった。

さらに、長江・淮河流域、特に長江南岸で江西省北部に位置する鄱陽湖(はようこ)周辺では水稲栽培が盛んであり、メディアが伝えるところによれば、今回の水害により4000平方キロメートル以上が冠水し、300万ムー(=2000平方キロメートル)もの面積の水稲が水没により全滅したという。

東京都の面積が2191平方キロメートルであるから、その損失の規模がいかに大きいかは容易に想像できよう。

こうした事実から考えれば、長江・淮河流域で洪水や冠水により被災している農地面積は応急管理部が7月19日に公表した247万8000ヘクタール(2万4780平方キロメートル)程度に留まるはずはなく、2019年には全国総量の30%以上を占めた食糧の生産量は大きく落ち込むことが予想される。

その落ち込み度合いは今後の洪水・冠水状況に左右されることになるが、長江・淮河流域の雨季は7月末から8月初旬が最盛期で雨量は増加すると言われていることから、状況がさらに悪化することは考えられても、改善する可能性はゼロに等しい。

「問題はない」を繰り返す政府

さて、洪水・冠水が過ぎ去った後に表面化するのは食糧不足の問題である。被災した農地では冠水により今年の収穫が望むべくもないが、それに加えて人々が懸念するのは中国全土における食糧不足である。  それでは中国の食糧事情はどうなのか。関連のメディア報道を列記すると以下の通り。

(A)中国政府の食糧安全に対する認識(2020年4月10日付の中国紙「経済日報」):2004年から我が国の食糧生産は16年連続の豊作を実現し、過去5年間は安定的に6億6000万トン前後を推移しており、これは中華人民共和国成立以来で増産の幅が最大の時期である。

(B)中国政府「国家糧食・物資儲備局(国家食糧・物資備蓄局)」の責任者(5月14日付の北京紙「新京報」:2019年3月31日から1年間を費やして全国の「政策性食糧倉庫(食糧備蓄倉庫)」の数量と品質に関する精査を行い、在庫の蓄積を徹底調査した結果、在庫は帳簿と基本的に符合し、品質も全体に良好、貯蔵も比較的安全で、食糧備蓄量は全国民が1年以上正常に消費する需要を満足できるものである。

(C)中国政府「農業農村部」市場・情報化局の関係責任者(7月16日付「中国新聞網」):全体から見て、連年の豊作により食糧倉庫の在庫は十分にあるので、今年我が国の稲と小麦、さらには米・小麦粉市場が新型コロナウイルス感染の影響を受けたとしても限定的で、価格は基本的に安定を維持できている。今年後期の状況を見ると、小麦は再び豊作が見込まれ、新麦の品質も比較的良好、早稲の面積は明らかに回復し、秋食糧の播種面積も基本的に平穏なので、今年も豊作となる根拠がある。  要するに、中国は2004年以来16年連続の豊作で、今年(2020年)も豊作が見込まれているのみならず、中国政府が管理する食糧備蓄倉庫には全国民が1年間消費するだけの食糧が備蓄されているというのである。

どう考えても心配な事実
それが本当ならば、たとえ長江・淮河流域の食糧生産が洪水・冠水によって壊滅的な打撃を受けたとしても中国国民に対する食糧供給に支障は生じないということになるが、果たして現実はどうなのであろうか。  2020年5月頃から中国各地のメディアは「復耕荒田(荒れた田畑の再耕作)」を呼び掛けており、地方政府は農民たちに一定期間内に荒れた田畑の再耕作を始めなければ当該田畑の「承包権(請負権)」を回収すると中国政府の意向を宣伝している。

食糧が豊作で、食糧備蓄が十分にあるなら、何故に請負権の回収まで表明して「復耕荒田」を強制しようとしているのか。  中国では湖北省襄陽市、広西チワン族自治区桂林市、湖南省永州市などの地域で国産の蝗(イナゴ)による蝗害(こうがい)が発生しており、農村部では周囲一面をイナゴが埋め尽くし、田畑で栽培中の農作物が食い荒らされている。

一方、雲南省の普洱市や西双版納(シーサンパンナ)では、中国語で「黄脊竹蝗(Yellow-Spined Bamboo Locus)」と呼ばれるバッタが隣国のラオスから国境を越えて侵入し、竹や農作物が全滅状態にあるという。  なお、中国が最も恐れているのは、東アフリカで発生したと言われるサバクトビバッタだが、彼らはパキスタンを経由してインドからネパールまで東進しているが、中国への侵入は未だに確認されていない。  洪水・冠水に蝗害が加われば、中国の食糧生産は大きな打撃を受け、今年の年末に17年連続の豊作を祝うことは困難なものとなるだろうが、中国には上述の通り全国民が1年間消費可能な食糧を備蓄している倉庫があるから心配は不要という図式が考えられるのだ。

問題ないなら、なぜ米国に依存するのか
中国には中央政府が国有の「中国儲備粮管理集団有限公司(略称:中儲糧)」に食糧の備蓄を委託しているが、中儲糧の備蓄倉庫は全国に980カ所以上の直属倉庫および分倉庫があり、定期的に備蓄食糧を新しいものに転換しているという。ちなみに、備蓄食糧に関する貯蔵期限の規定は、・長江以北地区:稲 2-3年、小麦 3-5年、トウモロコシ 2-3年、豆類 1-2年。 ・長江以南地区:稲 2-3年、小麦 3-4年、トウモロコシ 1-2年、豆類 1-2年。  上記の報道(B)が述べているのは、2019年3月31日から1年間をかけて食糧備蓄倉庫の食糧在庫状況を確認した結果、食糧在庫に問題はなかったということである。  しかし、中国には昔から食糧倉庫には「碩鼠(私腹を肥やす役人)」がはびこるという悪しき伝統があり、国家食糧・物資備蓄局による調査が実施される直前に食糧倉庫から失火して食糧の横流しや伝票の改ざんなどの犯罪に関わる証拠が隠滅されたケースが散見されており、全ての食糧倉庫に食糧在庫が確実に存在するかどうかは中国国民自体が疑問視しているのである。

ところで、7月15日付で米国農務省(USDA)は、7月14日に米国企業がトウモロコシ176万2000トンを中国へ輸出する契約に調印したと発表した。

これはトウモロコシの契約規模としては過去4番目に大きく、1日の取引量としては1994年以来最高の規模であった。これより4日前の7月10日には中国向けにトウモロコシ136万5000トンの輸出契約が締結されていた。これら2つの契約は今年中に商品の納入を完了することが予定されている。  2020年1月に米中両国は貿易協議の第1段階として、「中国が米国産品の輸入を2年で2000億ドル(約21兆円)増やすのに対し、米国は中国製品にかけた追加関税を段階的に下げること」で合意した。  6月30日に香港で『香港国家安全維持法』が施行されたことにより米中関係は今まで以上に悪化しているというのに、中国が依然として米国産農産物を買い付けているのは第1段階の目標達成というよりも、中国国内の食糧危機を見越した「背に腹は代えられない」事情があると考えるのが筋だろう。

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以上引用 by 猪飼野

  投稿者 dairinin | 2020-08-04 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

国際情勢の大変動を見抜く!65~株価大暴落→中銀崩壊の動きと人類支配計画の動き~

マイクロチップ

 

今回は株価大暴落がますます近づいてきたというニュースと、グローバル派の人類支配の動きの不穏な動きをそれぞれ紹介します。

 

■株価大暴落が近い

以下の動画からの情報の抜粋

『株価大暴落が近い、ソフトバンクとCLO崩壊、超ヤバい段階へ【孫正義とTモバイルとワイヤーカードとJA農林中金とゆうちょ】https://www.youtube.com/watch?v=2m-pvXwgmVw

 

マイケル・ヒンツ氏のヘッジファンドCQSは、CLOを80%も値引きして売ったという衝撃のニュースが流れた。

これはCLO市場の崩壊が近いということを意味する。

以前も紹介したように、CLO証券を世界で最も買っているのは日本の銀行。

JAなどの農林中金やゆうちょ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行などの日本の金融機関。

 

つまり、CLO市場崩壊で「最も被害を受ける国が、実は日本である」ということ。

(さらに…)

奥の院の誕生と興隆~徹底した現実直視→観念支配の力に気づいて法皇を攻略→十字軍遠征

奥の院が現在まで1000年に亘って、裏から世界を支配できたのはなぜか?
それは1000年に亘って、武力に勝てるのは資力という事実の追求の姿勢を失わなかったからである。

実際、奥の院は、金貸し業+雇い兵業(両国の対立を煽って、戦争を起こさせ、両方に金を貸して儲ける)で資力を蓄積してゆくが、その過程でも一貫して、「資力第一」と「裏から操る方が得」という家訓(構造認識)を守り続けている。

そして、この事実追求の姿勢を失わなかったのは、常に生存闘争の渦中に身をおいて、現実を直視してきたからである。

この視点から、奥の院の誕生から現代に至るまでの盛衰過程(誕生と興隆と退潮と復活)を改めて総括する。

●奥の院の誕生と興隆と退潮と復活

<奥の院の誕生>
・4000年前~3000年前にかけて、地中海は海の民と呼(よ)ばれる海賊の巣窟と化した。3200年前頃、この海賊を結集してカルタゴを建国。海賊上がりの海上交易民。
セム人(ギリシャ・ローマ人やペルシア・イラン人と同系)。
・2170年前、ローマ帝国に滅ぼされて、イタリア北部のロンバルディア地方(中心地はベネチア)やスペイン東部のカタルーニャ地方(中心地はバルセロナ)に再集結。本家はサボイ家。
◎奥の院の中心軸は、「資力第一」と「裏から操る方が利大・損小」。
何れも海賊時代からの習性。反権力・反帝国の秘密結社も、モナコやベネチアに見られる小国家共同体志向も、全てこの「裏の存在」から来ている。
何れも、損得に基づく現実直視→一種の原理(構造)認識からきており、最強の志とも言える。

<奥の院の興隆>
◎武力に勝てるのは資力⇒徹底した現実直視≒事実の追求の姿勢
・金貸し業+雇い兵業(両国の対立を煽って、戦争を起こさせ、両方に金を貸して儲ける)で資力を蓄積してゆく。
◎1000~略奪戦争が一段落すると、国家は武力支配から共認支配に移行してゆく。欧州では、教会の絶対支配(法皇>国王)が確立。戦争を最大の手段としてきた奥の院は、そこで宗教(観念支配)の力をまざまざと思い知り、法皇の攻略に注力。遂に法皇を取り込んで7回にも及ぶ十字軍遠征(1100年~1270年)に成功した。これを通じてサボイは騎士団(金貸し兼業)を欧州中に配置し、更に資力を拡大してゆく。欧州に散らばった騎士団は、地方領主となって、勢力を維持。その中で、ドイツのハプスブルグが勢力を拡大してゆく。

◎奥の院の信条と武器:反帝国・反権力⇒その為の資力蓄積⇒その為の徹底した現実直視

◎ハプスブルグに対する500年戦争は、十字軍遠征で組織した騎士団と蓄積した資力を武器とする抵抗運動(レジスタンス)。
それに対して、ルネッサンス→宗教改革→フランス革命は思想革命。

奥の院が、武力闘争から思想革命に転換した狙いは何か?
◎国家権力に対する単なる抵抗から国家支配に転じた。支配するためには思想革命が不可欠なので、共認支配が奥の院の新たな戦略となった。
その原点は、奥の院が法皇を抱き込んで成功させた十字軍遠征(1096~1272)にある。

◎法皇>国王を見て、奥の院は、集団を統合する力としての観念支配の力を、まざまざと思い知った。

海賊の時代から一貫して戦争を飯のタネにしてきた奥の院は、1000年前、法皇>国王を見て観念支配の力を思い知り、早速法皇の取り込みに動いて十字軍遠征を成功させた。この流れの中で奥の院が凄いのは、観念支配の力に気付いたこと、ただちに法皇の抱き込みに動いたこと、十字軍遠征を成功させたこと。

◎つまり、戦争を最大の商売のネタとしてきた奥の院が、観念支配の力に気付いてただちに転換したことである。

  投稿者 tasog | 2020-07-30 | Posted in 01.世界恐慌、日本は?No Comments » 

中国の農業:日本をお手本に追いついて、追い越していく勢い

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前回の投稿、中国経済はコロナウイルスから回復に向かっている。」で、中国の農業生産は自給率95%以上を確保していることを紹介しました。中国と言えば世界の工場としての生産力や、ファーウェイのようなハイテク企業が注目されていますが、中国の農業がどうなっているか、あまり報道されていません。最新の中国農業事情を紹介している記事があったので共有します。

 

まず、驚いたのが中国の農業の1戸当たり経営面積が日本の半分以下だったということ。日本が1.77ha2019年)に対して、中国は0.64ha2015年)だそうです。そして、中国の農業も日本同様低迷しており、「三農問題」(1)農業生産の低迷、(2)農家所得増の鈍化、(3)農村の疲弊があるそうです。

しかし、大きく違うのは、中国がこの問題を国家の第一課題に掲げていることです。国土の5割強を占める農地をどう扱うか、14億人をどう養っていくか、都市と農村の格差をどう埋めるかということは、中国にとって最重要課題であり続けています。日本も農業問題に23千億円の予算を投じていますが、中国では15兆円の予算を投じているそうです。

中国では耕地面積の下限を120万平方キロメートル(日本国土の3倍)とし、それを維持するために、レジャー農業、コメの先物市場の導入、スマート農業の拡大に国家をあげて取り組んでいます。中国の農業政策は、農業を稼げる産業にすると言う発想で、日本の農業を手本にしていたところもあったようですが、国家をあげての取り組みで既に日本を追い越しているようです。コメの先物市場は、日本では自民党や農協の反対でいまだに実現していませんが、中国で農家の経営安定化のために先に実現してしまいました。

また、福建省泉州にある1万平米の人工光型植物工場は、2年で初期投資を回収し、利益を生んでいるという。なお、1万平米というのは、当時世界最大級の人工光型植物工場。同社は中国科学院植物研究所とLED光の技術を持つ福建三安グループが2015年に立ち上げた合弁会社で、ラスベガスにも工場を持ち、シンガポールにも工場を建設中で、世界に最新のシステムを輸出するところまで進歩しています。

 

【特集・中国農業のキーワード 第1回】14億の国民を支えるための中国農政の本気度2020.3.23

日本と中国の農業には共通点が多い。日本は一戸当たりの経営面積が狭く、北海道を除いた販売農家の経営耕地面積の平均は1.77ha2019年)。中国はさらに輪をかけて狭く、0.64ha2015年)に過ぎない。

中国には「三農問題」と呼ばれる深刻な課題がある。これは、(1)農業生産の低迷、(2)農家所得増の鈍化、(3)農村の疲弊。巨額の予算を投じることも共通で、日本は2020年度の農林水産関連の通常予算が23109億円と決まったばかり。中国は1兆元(約15兆円。1元=約15円)を超す予算を三農問題の対策に投じるようになって久しい。

中国農政の指針でもっとも有名なのが、「1号文件(文書)」だ。中国共産党中央が毎年年初に出す最初の文書のことで、その年の特に重要な政策決定を示す。このテーマを「農業」が長らく独占している。2004年から農業や農村をテーマにしており、2020年も三農問題が取り上げられた。国土の5割強を占める農地をどう扱うか、14億人をどう養っていくか、都市と農村の格差をどう埋めるかということは、中国にとって最重要課題であり続けている。

中国はしばしば日本農業を手本にしてきた。ただ、政治家と官僚の農政への態度に関してはむしろ、日本が中国に学ぶべきではないだろうか。

【特集・中国農業のキーワード 第2回】日本を手本にした中国版グリーンツーリズム「休閑農業」の現状2020.3.30

中国では、すさまじいスピードで農村の観光開発が進んでいる。農業の景観や資源を使って観光やレジャーを楽しむ「レジャー農業(休閑農業)」が一気に広がっているのだ。都市化が進み、農的な体験を新鮮に感じる都市住民が増えたのも、人気が出た理由の一つ。ただ最大の理由は、官が旗を振っていることにある。その背景には、土地制度の維持という命題があるのだ。

都市化の進む中、多くの優良農地が商業施設や住宅地に転用されてきており、この流れは今後も続く。中国では食料安全保障の観点から、「18億畝(ムー、1畝は666.7平方メートルで、18億畝=120万平方キロメートル)の耕地のレッドライン」という死守すべきラインが設けられている。18億畝というのは、日本の国土面積の軽く3倍はある。

このレッドラインを死守するため、農地の際限のない転用は認められない。しかし、農村部の過疎化、高齢化、貧困は深刻で、農地面積当たりの収益を上げないことには農村を維持できなくなっている。その解決策の一つがレジャーと農業の融合で、農業を稼げる産業にし、農村を維持することなのだ。

【特集・中国農業のキーワード 第3回】コメ先物取引で中国に先を越された日本2020.4.15

「“新潟県産コシヒカリの値段が中国で決まる”なんてことになるんじゃないか」2019年の夏、こんな話が米業界をにぎわせた。国産米には自由市場が存在せず、相場が明らかでない。相場の参考になるのが試験上場中のコメ先物取引で示される価格だ。その本上場が見送られた20198月、中国・大連でジャポニカ米の先物取引が始まった。

コメ先物取引は、江戸時代の1730年、大阪堂島米会所で世界で初めて始まった。将来のある時点でコメを一定の価格で売買する契約を結ぶ仕組みだ。戦前まで続き、一旦廃止され、2011年に72年ぶりに大阪堂島商品取引所で再開された。11年に試験上場として認められてから9年にもなり、本来であれば本上場に切り替えるべきところだ。しかし、JAグループや自民党内の反対などにより、本上場への格上げは進まないままだ。20198月、4度目となる試験上場の延長を農水省が認めた。

大連商品取引所の上場にあたっては、先物取引が生産者と実需の双方に資するリスクヘッジ機能を持ち、経営の安定化につながると強調された。「国家の食料安全保障にかかわる戦略作物であるコメ産業の安定化に欠かせない」と。

【特集・中国農業のキーワード 第4回】中国でスマート農業が急拡大している背景2020.5.11

中国のスマート農業において、特によく使われるものは、多い順に、1.データプラットフォーム、2.ドローン、3.精密な飼育、4.ロボット農機となっている。

1は、農産物の価格変動を抑制するため、品目ごとのビッグデータを集める動きがある。農業者の経営合理化のためのプラットフォームもある。2のドローンで使用面積が多いのは綿花。新疆の散布実績が多い。3は酪農や養豚のデータ収集による管理の精緻化を指す。4はロボットトラクターのほか、国内で開発された自律多機能ロボット「MY DONKEY」のように、1台にさまざまなアタッチメントを付けて運搬や農薬散布などを担わせるものもある。

スマート農業が発展する素地を作ったのは、「農業の構造調整」による規模拡大だ。具体的には、大規模と言えないまでも、家族農業に雇用労働者を加えた中規模の経営体が増えた。また、生産や販売で規模のメリットを発揮できるよう、農業者をまとめる組織「農民専業合作社」ができている。

農作業を請け負う「コントラクター」(contractor)も増えた。コントラクターは、国内だと北海道で普及している農機と人を農家に派遣する組織で、収穫などの繁忙期の作業になくてはならない存在だ。

そして、スマート農業の普及の下地ができつつあったところに、政府の肝いりでさまざまな政策的支援がなされ、資金が投下された。スマート農業は「三農問題」という中国のアキレス腱とも言うべき難題を、緩和し得るからだ。

 

【特集・中国農業のキーワード 第5回】資本力と技術が駆動する中国発のスマート農業2020.6.24

サナン・バイオは人工光型植物工場の福建省発祥のメーカーだ。ラスベガスに7000平方メートルの植物工場を持つ。会社の中国名は福建省中科生物だ。中国に詳しい方なら「中科」の2文字にピンとくるかもしれない。これは、科学技術分野での最高諮問機関である中国科学院を指す。同社は中国科学院植物研究所とLED光の技術を持つ福建三安グループが2015年に立ち上げた合弁会社なのだ。

 

LED光を使った人工光型植物工場で、統合環境制御(=光、温度、湿度、養分、水分、二酸化炭素濃度などさまざまな環境因子を統合的に制御すること)システムを備え、栽培の自動化を進めている。中国で流通の川上から川下まで投資を拡大し地位を高めると同時に、海外に植物工場のシステムと技術面のフォローも含めたパッケージを輸出すると掲げる。

福建省泉州にある16年から稼働する1万平米の植物工場は、2年で初期投資を回収し、利益を生んでいるという。なお、1万平米というのは、当時世界最大級の人工光型植物工場だったそうだ。栽培するのはもともとは葉物野菜だった。今では食べられる花、エディブルフラワーを取り入れる。無農薬で栽培するエディブルフラワーは高級レストランで添え物として使われ、より高値で売れるからだ。シンガポールでは、合弁会社を作って2万平米の巨大な植物工場を建設中だという。

  投稿者 dairinin | 2020-07-28 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

騙される従順な日本人からの脱皮が急がれる。

日本人は、学校教育により従順回路のみ強化されて、自ら考えて行動する能力を、著しく減退させてしまった。

去勢されて、言われるがままに従う頑張る人材たちである。

そして、これまでに、ごみ問題、環境問題、農薬問題、添加物問題、薬問題、原子力問題、地球温暖化問題、そして今回のコロナ騒動!!

あらゆる「ウソ」を日本人は飲み込んできた。

そろそろ、気づかないと本当に日本人絶滅となりそうだ。

まずは事実直視、だまされているかもという視点を持てば、ネットにもたくさんの事実が散見される。

自分で何が事実化を追求(考えて)取捨選択を繰り返せば、本質が見えてくるようになる。

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以下 https://www.mag2.com/p/news/459717 Mag2Newsより引用

■変化に対応しなければ滅びる。武田教授が懸念する30年後の日本

「30年ごとの変化」に対応してきた日本。なぜ今できないのか
時代が大きく変わる時に、人生もビジネスもよくよく考えなければならない。その時に判断を間違えると、その後はいくら努力しても苦しい生活が続く。その典型的な例が、1990年のバブル崩壊の後の日本社会と経済のかじ取りだった。もともと世界も日本も「30年ごとの変化」がある。

あまり古い時代は別にすると、明治維新以来、1900年にはロシアをはじめとした白人の強国が日本を襲ってくる。それに対して日本は必死で軍備を充実させ、徴兵してやっとやっとロシアとの戦争に勝って植民地になるのを逃れた。

次は1930年の軍備拡大の時代だ。世界は矛盾に満ちていて、それを力で解決しようとする。ヨーロッパではナチスが台頭し、アジアでは日本が力を伸ばし、アングロサクソンが真正面から衝突することになる。それが第二次世界大戦、朝鮮戦争などを経て1960年には世界は平和になって、今度は自由貿易のもとで経済競争の時代に突入する。

それまでの1900年、1930年、そして1960年の変化には日本は正しく対応することができた。それは「日本自らが考える」のではなく、外圧に対抗して方針を決めたからだ。1900年にはロシアの圧力、1930年には世界全体からの日本発展の阻害、そして1960年には朝鮮戦争から続く経済拡大だったから、何も考えずに次のステップに進むことができた。

ところが1990年には世界は分裂し、それぞれが自分の将来を考えなければならなくなった。個人の人生でもそうだが、どうしようもない変化の中でもがくことはできるが、自分が将来を考えて選択しようとすると突然、難しくなる。それは「毎日を必死に生きる」だけではなく、そこで「いつも考える」ということが必要だからだ。

日本人は馬車馬のように真面目に働くのは得意だが、自分で考えて行動するのは苦手だ。簡単に言えば、「決めてください。そうしたら頑張ります」というタイプの民族だからである。

1990年前後に、中国では天安門事件、ドイツではベルリンの壁の崩壊が起こり、戦後の世界の秩序が崩れ、それからほどなくしてソ連邦や東ヨーロッパ諸国が崩壊する。思いもかけなかったことだった。それとともに日本の高度経済成長が終わり、バブルが崩壊し、株価が38000円を頂点として急落した。「高度成長の時代は終わった。次に来る時代は、高度成長を反省する時代だ」とヨーロッパは考え、日本人は将来を考えることはなく、「誰が正しいだろうか?」とキョロキョロして、ヨーロッパの後をついていった。

その中で、アメリカは「物は溢れているのだから、次は使い勝手だ」と考えて、その5年後にはアマゾン、グーグル、ヤフーが創業し、続いてフェイスブック、スマホなどのソフトが一斉に芽吹いた。今の日本人はほとんどがこのアメリカの動きに追従している。

中国は発展が遅れたので、ITのハード(携帯電話、微細加工、通信技術など)に特化し、それを国家ぐるみで進めて、スパイまで送るという方法で発展した。今や、日本はスマホや通信でまったく中国に及ばない。アメリカも中国も「人間というのはより良いものを求める」という哲学がしっかりしていた。

続くウソに陥れられた日本社会。これからの日本は幸福?不幸?
暗い人生を望んだ日本人は、相互に監視し、分別、リサイクル、ゴミがあふれる、家電リサイクル、ビンカン回収、紙の回収、焼却禁止、野焼き禁止、ゴミ発電、ダイオキシン、環境ホルモン、男性の女性化、精子が薄くなる、洗剤の環境破壊、食品添加物、遺伝子作物、石油が枯渇する、金属資源枯渇、シロクマ絶滅、ツバル水没、ヴェネツィア水没、温暖化による養鶏の破綻、地球温暖化、農業用フィルムの残存、プラスチックストロー、レジ袋追放…と無限にバッシングと追放、崩壊報道が続いた。ほぼウソであった。

これだけウソが続けば社会が打撃を受けるのは必至で、世界のGDPの10%を占め、アメリカ、EU、日本と続いていた経済力も、現在は4%を下回るようになり、中国や北朝鮮の攻撃にビクビクする二等国になってしまった。個人のレベルでは、「これからは静脈産業だ。リサイクルだ。資源回収だ」と言って新ビジネスに入った人はほぼ総員破綻し、倒産しないまでもひどい状態になっている。もちろん、同時にスタートしたアマゾン、グーグル、スマホなどの繁栄とは雲泥の差である。

「人間とはどういう動物か」という基本問題を間違い、「地球の活動と人間の活動の比」を知らないでビジネスをしたら、それは失敗するし、人生自体も失うことになるのは理の当然でもある。恐れ、不安などはいつもあるが、それは大人の知識と思考力で乗り切らなければならない。アメリカ在住の政治学者である伊藤先生が言うように「日本人は幼児である」ということが、1990年の判断にも表れたわけだ。

以下略~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~by猪飼野

  投稿者 dairinin | 2020-07-28 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments »