2020-08-11

経済状況と乖離したアメリカの株価暴騰はいつまで続くのか

GO5UZ6YG2か月ほど前にも『コロナ不況と人種差別抗議デモに揺れるアメリカで株価暴騰の不思議とアメリカの実態経済と株価に乖離が発生し危険水域に達していることをお知らせしましたが、相変わらずアメリカの株価は上昇を続けているようです。マスコミはこのような状況をどう分析しいているのか調べてみました。

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まず、アメリカの経済状況を客観的に見てみましょう。コロナウイルスの再拡大により、ロックダウンに逆戻りしたり、経済活動の制限緩和を一部延期する事態が生じている。カリフォルニア、テキサス、フロリダといった経済的に重要な州では、感染拡大も著しく、現在も部分的に活動が停止している。アメリカの第2四半期のGDPは前期比で32.9%減少し、過去最悪の下げを記録した。失業率は6月、11.1%に達した。はっきり言ってどん底です。

ところがダウ平均株価は811日の報道によると新型コロナウイルスの感染が拡大し、株価が急落した2月下旬以来、およそ5か月ぶりの高値で取引を終えました。

この状況をマスコミがどう報道しているかですが、パニックから覚めコロナウイルスの正体もつかめてきて冷静に分析できるようになった、そして経済の落ち込み幅が予想よりましだったから、今後の回復が予測可能になり、この困難を乗り越えれば経済がさらに強くなる期待感からといった説明がされています。

しかし、よく考えてみましょう。全世界でコロナウイルスの感染は収束するどころか拡大の一途を続けているのが実態であり、日本では県をまたいだ移動も自粛を求められ、世界の移動は止まったままで、いつ国家間の移動が再開できるかも全く見通せない状況です。飲食店などはこれから倒産が増える可能性が高そう。少なくとも1年ぐらいは今の状況が続くでしょう。経済の回復に確信をもって株を買っている人などいないのではないでしょうか。

では、なぜ株価が上がっているのか。これは明らかに官制相場で国や中央銀行が景気対策で株式市場にどんどんお金をつぎ込んでいるからにすぎません。それで株価が上がるから、実体経済が悪くても深く考えずに、もしくは、マスコミの報道は嘘と感じながらも目をつぶって株を買っていると言う状況ではないでしょうか。金融市場では新規投資の資金需要もなく、実質マイナス金利になっており、他に資金の向かう先がないと言う要因もあります。

株価が上がっているという現象は事実ですが、事実だからと言って正常とは限りません。経済の実態と乖離した株価上昇は明らかに異常であり、なぜ、そのような異常な現象が起きているかを明らかにするのが、本来のマスコミに期待される役割であり、まったくその役割を果たせていない状況です。

 

■コロナ2波で「株・ドル暴落、金暴騰」は起きるか202083日

46月期の企業収益は著しく悪い。だから今後日米の株価はひとたまりもなく下落する」との主張もよく聞いた。「ひとたまりもなく」説の背景には、「コロナ禍で景気や企業収益が悪いに決まっているのに、株価が上がるのはおかしい。上昇をあてこむようなおかしな相場観を抱いている投資家には、現実にとても悪い決算が鉄槌として下るだろう」という考えが、あるのかもしれない。経済統計の数値と株価の乖離をどう考えるか。

3月後半に主要国の株価が最安値を付ける局面では、コロナ禍が景気や企業収益に与える影響が著しく恐れられた。多くの投資家が「いったいどれほどすさまじく景気が悪化するのか、全くわからない。パニック心理に陥ったわけだ。

こうした幅広い市場に蔓延したパニックと比べれば、4月の雇用統計では、「なるほど、アメリカの雇用情勢は著しく悪い。だが、何もわからずパニックに陥ったものの、具体的に数値でどの程度雇用が悪化しているのかが、きちんと把握できた」と投資家が落ち着き、株価が戻り歩調をたどったと解釈できる。46月の主要国の経済情勢は悪いがそれは自明のことで、6月にかけて日米の景気が持ち直してきていることは株価支持材料だ。

筆者は前述のように、「46月の経済や企業収益が悪いから、株価はひとたまりもなく下がる」とは考えていない。だが、だからと言って「中央銀行が資金散布などに注力しているから、株価はバブル相場になる」とも思えない。

■黒死病、オイルショック…「歴史は繰り返す」コロナ後の世界はこう激変する!202083日

米調査会社のコアサイトリサーチは、ミクロ経済の景気動向として、年初での「20年における米流通企業は、最大で15000店の店舗が閉鎖に追い込まれる」との予測を、「最大25000店の閉鎖」に修正した。ちなみに17年の店舗閉鎖は約8000店。米国史上最大だった昨年は、9300店にすぎない。いかに米経済が疲弊をきたしているかが分かるだろう。株価は公的資金による下支えもあって復調の兆しを見せているが、世界の実体経済はいよいよ混迷を深めていると言っていいだろう。

コロナショックで大暴落した株価だが、各国の巨額な金融財政支援を受けて、すでにビフォアー・コロナの水準に戻りつつある。しかし、ご存知のように企業業績が回復したから株価が復調したわけではなく、官製相場によって株高が演出されているに過ぎない。今後は、秋から冬にかけて再び重傷者が増えてくる本格的な「第2波」が襲ってくると、再び世界は自粛経済を余儀なくされるかもしれない。そうなると、再び株価は下落を始めるが、また金融財政支援が行われ、実態なき株高が続いていくことになるだろう。

株価と実体経済が乖離してゆく状況が、今後も繰り返されれば、世界的に巨大なバブルが発生する。主要各国の政府への信認が崩れた途端に、大暴落を誘い、経済ショックが深刻化する可能性も、踏まえておく必要があるだろう。こうした危機が目の前に来ている。あるいはこの1-2年の間に繰り返される感染拡大や経済ショックを前提に、我々はいま「真価」を問われ、また「進化」が求められているわけだ。

■景気はどん底なのにアメリカ株はなぜ上がる?202086

現在、ダウ工業株30種平均は、1月の水準から6%近く下落しているものの、おおむね1年前と同じ水準で取引されている。SP 500社株価指数も、前年8月より高値で取引され、年初から2.3%上昇した。ナスダック指数に至っては、新型コロナウイルスによる暴落前の高値を12.2%上回っている。

コロナウイルスの再拡大により、ロックダウンに逆戻りしたり、経済活動の制限緩和を一部延期する事態が生じている。カリフォルニア、テキサス、フロリダといった経済的に重要な州では、感染拡大も著しく、現在も部分的に活動が停止している。アメリカの第2四半期のGDPは前期比で32.9%減少し、過去最悪の下げを記録した。失業率は6月、11.1%に達した。

「一方今は、投資家は経済データを無視している。そして大胆なほど楽観的になっている」「人々はおそらく、景気がそれなりに回復するなら株価には十分買いの余地があると考えているのだろう」投資家が楽観的になのには他の理由もある。第5弾となるコロナウイルス関連支援策が連邦議会で議論されているのだ。一方で、治療法やワクチンができる可能性も見えてきている。治療薬やワクチンの開発が成功すれば、景気回復が加速し、予想より早く平常に戻れるようになるだろう。

■実体経済が悪化しても株価が上がる謎…「漠然と株を買う」が危険な時代に202088日

景気後退は確実とされながら、株価はなかなか下がりません。「実体経済と株価が乖離している」といった声もあります。原因は何でしょうか。まずは、一般的な見方からご紹介します。一つは、リバウンドです。実体経済悪化の予想を受け、短期的に株価は落ち込みましたが、反動で上昇。さらに、空売り(信用取引を利用して株を借りて売ること)した株を買い戻す動きが、株価上昇に拍車をかけました。もう一つは、量的緩和です。中央銀行がバラまいたマネーが市場に溢れ、行き場のないお金が株式市場へと流れました。アメリカでも、FRBが要請した利上げがコロナ禍でストップし、市場を下支えしました。

ここからは私見ですが、コロナ禍がむしろ経済や企業への期待感を後押ししているのではないかと考えています。今まで必要だと言われ続けたイノベーションが、コロナ禍をきっかけに始まろうとしているのです。

米電気自動車(EV)メーカー、テスラの株価が上昇し、トヨタ自動車を抜いて世界首位に躍り出ました。自動車産業のパラダイムシフトを、多くの人が予見したからでしょう。例えば、各国で拡大していたサプライチェーンは、コロナ禍で破綻しつつあります。すると、近くでモノを生産して近くで提供する地産地消が進むのではないでしょうか。脱石油も進みます。コロナ禍で石油が暴落した理由は、移動が減って需要が減ったからですが、近距離の移動が常態化すれば、そもそも今ほど石油が必要なくなります。

お金を生み出す原資は企業活動です。ですから、資産を守るにせよ攻めて増やすにせよ、コロナ禍を乗り越える企業のポテンシャルを見出さなければならないのです。

■週刊2分でわかるNYダウ決算に続く好材料、株高続く2020810日

ダウ工業株30種平均は先週1005ポイント、率にして3.8%上昇しました。S&P5002.5%高。ナスダックは前週比で2.5%上げました。主要企業の第2四半期(46月)の決算発表のピークが過ぎました。バロンズによりますと、82%の企業がアナリストの予想を上回る業績を発表しました。第1四半期(13月)でアナリスト予想を上振れたのは71%。アメリカ企業の業績が期待以上に強いことを示しています。アメリカ労働省が6日に発表した週間ベースの新規失業保険申請件数が予想を下振れ。7月の雇用統計は就業者数が予想以上に増加しました。

名目金利からインフレ期待率を差し引いた実質金利がマイナスになったこと。米10年物国債の利回りが過去最低水準に低下したことを受けマイナス幅が拡大。株の買い材料になっているとバロンズが伝えました。利回り低下を受け、金利がつかない金の価格が最高値に上昇。半面、米ドル相場が下落。株高・金高・米ドル安の基調になっています。

10日の週のニューヨーク株式市場では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け企業や個人を支援する追加策の議会の協議が引き続き材料になりそうです。米中関係も材料になる可能性があります。米中関係がさらに緊張するリスクがあり、株式相場を圧迫する可能性があります。新型コロナウイルスのアメリカ国内の感染者が9日までに500万人を突破しました。株式市場への影響は限定的ですが、経済活動に再びブレーキがかかることが予想され、今後発表される経済指標への注目度が上がっています。

■ダウ平均、新型コロナによる株価急落の2月以来 5か月ぶり高値回復2020811日

ニューヨーク株式市場でダウ平均株価が、新型コロナウイルスの感染が拡大し、株価が急落した2月下旬以来、およそ5か月ぶりの高値で取引を終えました。トランプ大統領が8日、失業給付金の上乗せなど新型コロナウイルスで打撃を受けた人への追加の経済対策を盛り込んだ大統領令に署名したことなどに安心感が広がりました。

List    投稿者 dairinin | 2020-08-11 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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