2008-10-02
<食糧価格の高騰は何故起こるの?> その9 金だけが高騰、資金が底をつき始めた国際金融資本
現在のアメリカ経済は、ベアスターンズの破綻に始まり、リーマンブラザーズショックの激震が世界を駆け巡り、AIGが850億ドルの救済策をうけることになった。
さらに、メリルリンチ、モルガンスタンレー、一時は「世界最強の投資銀行」といわれたゴールドマンサックスまでもが救済措置をうけるという状況になっている。
アメリカ金融市場に端を発した世界的な金融危機が、まさに地球上を席巻している。そして、その不安定な金融の状況に歩調を合わせるかのように、「有事の金買い」ということで金価格が再び騰勢を強めている。
実際、現物価格としての金は、750ドル/トロイオンスだったものが、900ドル/トロイオンスまで高騰した。7月に付けた直近高値である986ドル/トロイオンスまでは届かないものの、たった数日で実に150ドルの急上昇である。
NY金取引の価格(フジ・フューチャーズのグラフ作成から)
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ロシア金融危機の再来か?
サブプライムローン問題に端を発した米国金融危機は2008年に入り、銀行・保険・証券関連の金融機関の破綻・再編が激化しています。
08年米金融機関の破綻・再編の流れ
1月/米銀大手バンク・オブ・アメリカが住宅金融大手カントリーワイド・フィナンシャルの買収。
3月/米国ベアスターンズの実質破綻。米銀大手JPモルガン・チェースが救済合併。
7月/カリフォルニア州の地銀インディマックが破綻。20年ぶりの大型銀行倒産。
9月15日/リーマンブラザーズの破産。米銀行大手バンク・オブ・アメリカは米証券大手メリルリンチを買収。
9月16日/保険世界最大手のAIGが米連邦準備制度(FRB)の公的管理下に置く。
9月20日/米政府は、金融機関が抱える証券化商品など不良資産について、最大75兆円の公的資金で買い取る計画を議会に提案。
9月29日/米銀行最大手の米シティは同4位のワコビアを買収。米下院で金融安定化法案(2008年緊急経済安定化法案)否決。ニューヨーク株式相場は、前週末終値比777.68ドル(約7%)安と過去最大の下げ幅を記録
図版は時事通信社より転用させていただきました。
リンク
米金融市場の壊滅的な状況は欧州(イギリス含む)、日本、中国、ロシア、インドを初め、アジア・中南米などの新興諸国にも深刻な影響を及ぼしています。中でも、ロシアの金融市場は9月17日終値で08年5月19日高値の57.4%まで下落しています。震源の米国市場でもこのような極端な落ち込みはありません。
ロシアは大丈夫なのか?
改めて、ロシアの金融状況を見てゆきたいと思います。
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米国金融機関を襲う、CDSという「大量破壊兵器」
米国の金融崩壊が止まらない。今月25日には、総資産32億ドルの貯蓄信用組合ワシントン・ミューチュアル(WaMu)が倒れ、米国史上最大の銀行破綻となった。次々と起きる金融機関の破綻の陰には、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という金融商品の存在がある。
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エネルギー経済6 日本のエネルギー需要の推移
エネルギー経済を考える上で日本のエネルギー需要の推移について調べてみました。まず日本の一次エネルギー供給の推移については一貫して上昇していますが2000年あたりから頭打ち状況にあるようです。
その中でも原油の需要は1995年をピークに減少傾向にあります。それに変わって増えているのが石炭、LNG、原子力です。
膨張する世界の金融市場 〜今やGDPの3倍に!〜
下の表は、世界の金融資産規模(証券・債券・公債・銀行預金の総計)を示している(「経済産業省・通商白書2008」より)。
1980年には、ほぼGDPと等しかった世界金融資産残高が、1990年にはGDPの2倍、そして2006年には約3.5倍にもなっている。これは実体経済を示す名目GDPに対して、金融資産規模≒マネー経済がそれだけ膨れ上がっていることを意味している。
リーマン破綻やAIG救済等、アメリカ発の金融不安は、生物に侵食するウィルスのように現在進行形で世界経済を混乱に陥れている。なぜこんなことになったのだろうか?
9兆円融資で救われるか?!「AIGの融資と資産の関係」
9月18日に米連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board、FRB)は、世界的な金融不安を防ぐためAIGに対し850億ドル(約9兆円)の融資を行うことを発表しました。リーマン破綻に次いでの大きなNEWSに、日本経済は動揺し対応に右往左往しています。
9兆円という巨額融資が行われるとなったものの、AIGの資産に対して、この融資はいったいどれほどのものなのか? (焼け石に水じゃないの?)という点、だとしたら取り付け騒ぎがとかおきてこないの?!と、気になるところ。そこで、状況はどうなっているのか、AIG「2007年アニュアルレポート」の「事業概況」の中の『連結ベース現金および投資資産の構成』から追ってみることとしました。
固定相場制とは?
2回に分けて、固定相場制について取り上げたいと思います。
今回は、固定相場制を知るための基礎編です。
(メニュー)
・ 基礎知識(固定相場制って?!)
・ 固定相場制を続けるとどうなるか?
・ 固定相場制の歴史
よろしくお願いします。
不良債権処理機関って何?
先週のニュースで、
米当局が整理信託公社(RTC)型の不良債権処理機関を模索しているとの報道で米株が大幅反発し、日本株も買い戻されている。RTC型機関には公的資金が活用されるため、米当局が本腰を入れて金融不安に取り組み始めたとの安心感が出ている。リンク
との報道がありましたが、この不良債権処理機関とは一体どのような組織なのでしょうか?
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住宅ローン破綻は増加中。金融破綻への圧力がまだまだ続く
9月19日に、FRB(米連邦準備理事会)と財務省が、7000億ドル(約75兆円)の救済資金を投入し、不良債権の買取と金融機関に対する出資を含む支援策を打ち出しました。しかし、市場不安は解消していません。
経過を簡単に追っていきます。
9月7日(日):連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)と連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)の救済策を発表。救済資金は8500億ドル(90兆円)。
8日の週:NY証券取引所で、リーマン・ブラザーズ、メリルリンチの株価が急落。
11日〜:ニューヨーク連銀の場で、連銀総裁、ポールソン財務長官が主要銀行を召集して救済策を探るが、誰も救済出動できない。(ポールソンは、公的支援は出さないというスタンス。)
15日:リーマン・ブラザーズが破産申請。バンク・オブ・アメリカが、メリルリンチを救済合併。
15日:NY証券取引所で、銀行、証券会社、保険会社の株価が急落。次の破綻はどこかという状況に至る。
16日:FRBが、保険会社最大手のAIGに対し、850億ドルの救済策を発表。
17・18日:モルガン・スタンレーの身売り話がメディアで飛び交い、モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスの株価が急落。
この週は、短期金融市場で、お互いに疑心暗鬼になり、誰も新規の貸付をしない。資金繰りが破綻する金融機関が続出する瀬戸際となりました。
19日:FRBと財務省は、総額7000億ドル規模の救済策を打ち出す。議会と財源法案の調整に入る。
この結果、金融・証券の株価も持ち直す。
20日・21日:7000億ドルの救済策の有効性について、不十分との論調が流れる。
この救済策では、金融会社への政府出資による自己資本拡充を行うので、米国は社会主義国家に成り下がったとの論調まで現れる。また、財源法案の成立が上手く行くのかという論点も加わる。
22日:NY証券取引所の株価は、大幅下落。7000億ドルの救済策では不十分ということです。
そこで、金融不安の出発点である『住宅ローンの破綻』は、現時点でどうなっているのか、改めて見てみます。
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証券のバブル化とその崩壊(2) バブルの崩壊
再証券化(CDO)で拡大した金融市場を、さらに拡大(バブル化)させたのは債務不履行に対する保険という金融商品(CDS)である。
2001年0.9兆ドルであったCDS市場が62兆ドルまで膨れ上がっている。保険保証総額は400兆ドルとも言われている。
その規模からも推定されるのは、CDSの発行者はもはや大元の債権には無関係な立場にあり、買い手もまた債権者が保険としてリスクヘッジしているのではない。ともに全くの(元の債務に関しては)傍観者であると言っても良い。
これは、バクチ経済と呼ぶのがふさわしい。予想屋(格付け)を羅針盤として、小さな掛け金で債務不履行の発生にかける客と、同じくデフォルト率を根拠に低い掛け金でお金を集める胴元の間の駆け引き市場なのである。
そして、元の資産(担保)と全く無関係な商品であることが、際限ないバブル化を可能にしてしまった。
AIGのCDSの保証残高は4000億ドル、リーマンはそれ以上のCDSを扱っていると言われている。デフォルト率が数%上昇するだけで、元利保証のための大穴が開いていく。