<食糧価格の高騰は何故起こるの?> その9 金だけが高騰、資金が底をつき始めた国際金融資本
現在のアメリカ経済は、ベアスターンズの破綻に始まり、リーマンブラザーズショックの激震が世界を駆け巡り、AIGが850億ドルの救済策をうけることになった。
さらに、メリルリンチ、モルガンスタンレー、一時は「世界最強の投資銀行」といわれたゴールドマンサックスまでもが救済措置をうけるという状況になっている。
アメリカ金融市場に端を発した世界的な金融危機が、まさに地球上を席巻している。そして、その不安定な金融の状況に歩調を合わせるかのように、「有事の金買い」ということで金価格が再び騰勢を強めている。
実際、現物価格としての金は、750ドル/トロイオンスだったものが、900ドル/トロイオンスまで高騰した。7月に付けた直近高値である986ドル/トロイオンスまでは届かないものの、たった数日で実に150ドルの急上昇である。
NY金取引の価格(フジ・フューチャーズのグラフ作成から)
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しかし、穀物市場はあまり反応していない。金の価格上昇率に比べれば、その動きは小さく落ち着いた値動きになっている。
また、今年の2月に付けた1200ドルに比べれば、約60%の水準である。
シカゴ小麦取引の価格(フジ・フューチャーズのグラフ作成から)
上記のことは、何を意味しているのであろうか?
シンプルに考えれば、証券市場や債券市場から現物商品に移すことができる資金が減っているのではないのか?資金が減っている状況の中で、とりわけ優先度が高い、つまり、そんな状況下でも、安全で確実度の高い「金」に向かったと考えるのが自然であろう。
このことは、株式や債券、通貨、不動産で拡大し余った資金が、やれ原油だ、貴金属だ、やれ穀物だ、商品だ・・・となだれ込み、更なる拡大をして、再び商品市場に戻ってくるというような状況では無いということを意味している。
それぐらい資金不足で行き詰っていることの証拠が、今回の“金価格のみの上昇”なのではないだろうか。国際金融資本は、「証券・債権から現物資産への流れ」の中であっても、もはや「金」以外の現物資産にまわす資金はないのである。
その意味では、現物投機による『穀物価格の高騰』は、起こらない。
それよりも、米国の金融破綻、米国農業部門での農業者破産、農場経営企業の倒産を介して、穀物生産余力の低下が、中期的に起こる可能性がある。
1929年大恐慌の「怒りの葡萄」の世界である。
ウイキペディア・怒りの葡萄
日本の資金でもって、米国穀倉地帯の農場を買収しに行くことを考えた方が良いのではないか。
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