2019-11-05

国際情勢の大変動を見抜く!-37~国際連盟は国家に干渉できる権力を持った機関~

 

国際連盟

表題のように国際連盟は国家紛争に関する国家の主権の上に位置し、国家に干渉する権力を有する国際機関として発足したとのこと。いわば金貸し支配のグローバル化⇒世界統一政府の先駆けである。

 

国際連盟の“仕事”は過去から一貫しておなじみの手口。小国分断による対立構造を作り出すこと。

一つは小国が大国の紛争に、対等の立場で、介入できる枠組みを作ったこと。もう一つは、狭い枠組みの「民族自決」を推奨し、特定の政治目的のための衝突を誘発したことです。

 

これによって、国家間で解決できる問題を関係ない周辺諸国を巻き込んで複雑化させたり、「暴力革命」という戦争・紛争に発展するきっかけを与えたりすることになった。

 

誰も異議を唱えることのできない「世界平和」という美辞麗句の元、自国の利害という目先の問題に目を向け、「世界統一政府」という金貸しの大きな野望に気付かれないようにする。これが今日まで100年間に亘って展開されている。

しかし、今後は日本の姿勢を見習い、世界との調和をも目指した本当の意味での民族自決に向かう動きが勢いを増している。この動きが加速すれば、金貸しの野望も崩れ去るに違いない。

 

『知ってはいけない現代史の正体』(馬渕睦夫 著)からの紹介です。

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■1920年 国際連盟成立

 

◇通説   :ウィルソン米大統領は理想主義のもと国際連盟成立を主導した。

◇歴史の真相:国家に干渉できる権力を持つ機関の出現が国際連盟だった。

 

●集団的安全保障体制への移行

 

1919年1月から第一次世界対戦の戦後処理を話し合う講和会議がパリ郊外のヴェルサイユで開催されました。日本はこの時、イギリス、アメリカ、フランス、イタリアと並ぶ五大国の一国として参加しています。

 

この講和会議で発足が約束され、翌1920年に設立されたのが「国際連盟」です。世界史上初の国際機関ともいうべきものです。ウィルソン米大統領が1918年1月に発表した「十四か条の平和原則」の第14条《国際平和機構の設立》が契機となり、講和会議の重要な議題の一つになって発足しました。ただし、言い出しっぺであるアメリカは、上院の反対で条約を批准できず、国際連盟には参加しませんでした。

 

国際連盟の表の意義は「従来の二国間同盟に基づく安全保障体制が集団的安全保障システムに移行した」ことにあります。「従来の二国間同盟」とはいわゆるバランス・オブ・パワーと呼ばれる考え方で、長年にわたるヨーロッパの政治的知恵であり、「現実主義的」な態度です。

 

これに対して「集団的安全保障」は、全員で全員の安全を保障するという「理想主義的」な態度です。メンバー国が侵略された場合には国際連盟加盟国全員が守る、という安全保障理論に基づきます。現在の国際連合が採用している体制と同じです。

 

しかし、国際連盟の画期的な意義は、実はこれとは別にあります。「加盟各国が国家紛争解決の当事者としての主権の一部を国際連盟に移管する」という点です。つまり、国際連盟は国家に干渉できる権力を持った機関でした。この国際秩序もまた、歴史上はじめて誕生したものです。

 

そして、国家の主権に干渉できる権力を持った機関を作るという発想こそ、国家というものを持たないユダヤ人の思想の現れでした。ウィルソン大統領が国際連盟の発足を熱心に推進した理由がここにあります。

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反グローバリズムの潮流(イギリスのEU離脱、10月31日離脱は断念したが、手のひらを返すように12月12日総選挙は決定)

_109359610_mediaitem109359609EUが手のひらを返してイギリスとの離脱協定を承認したことから、一気にイギリスのEU離脱が進むかと思われましたが、イギリス国会は離脱期限までに離脱協定案を審議する事を拒否し、イギリスのボリス・ジョンソン首相も10月31日の離脱は断念しました。

そして、総選挙で国民の評価を問う作戦に変更し、離脱期限は1月31日まで延期、ところが今度は議会が手のひらを返して、12月12日総選挙を実施することが決定しました。イギリスのEU離脱は、次こそ本当に実現するのでしょうか。

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  投稿者 dairinin | 2019-10-31 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

「IS指導者をやっつけたぞ」とトランプが自慢!

トランプが発表した「IS指導者をやっつけた」は本当か?

アメリカの雑誌ニューズウィーク誌は27日日曜、匿名のアメリカ国防総省(ペンタゴン)高官の話として、「26日土曜日に行われた作戦で、アメリカ軍のヘリコプターは、シリアのイドリブ北西部でテロ組織ISISの指導者を殺害した」と報じました。

ロシア政府報道官は、アメリカ当局者によるテロ組織ISISの指導者を殺害したという主張を認めない、としました。

パホーマンスが多いトランプですが、来年の選挙に向けての演出と見え見えです。

アメリカ国民は、それでも騙されてしまうと思っているのでしょう。

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■イラン大統領府長官、「ISIS指導者殺害は、来年の米大統領選挙戦と関係あり」
parstoday https://parstoday.com/ja/news/iran-i56584 より

あ

• イラン大統領府のヴァーエズィー長官
イラン大統領府のヴァーエズィー長官が、アメリカは、テロ組織ISISの創設者であるとし、「今回のISIS指導者殺害作戦の実施は、来年のアメリカ大統領選挙戦と決して無関係ではない」と語りました。
ヴァーエズィー長官は28日月曜、テロ組織ISISの指導者、アブーバクル・アルバグダディ容疑者の死亡に反応し、「今や、ISISという名の事物は存在しておらず、また同組織とつながりのあるテロ組織は非常に弱まり、動きも小さくなっている。そこで、アルバグダディとテロ組織アルカイダの指導者ビンラディンの両人物が、アメリカの大統領選を前になぜ殺害され、このことが大統領選での勝利の切り札として使われるのか、という疑問が浮上している」と述べています。

また、イラクとシリアでのISISの敗北にも触れ、「いずれの国によるテロ対策も、正当である。だが、アメリカの政府関係者も認めるように、ISISはアメリカ自身が結成したもので、アメリカの利益のために地域で無差別テロや戦争に熱を上げていた間、アメリカの支援を受けていた」としました。

アメリカのトランプ大統領は今月27日、シリア北西部でアルバグダーディが死亡したことを明らかにしています。
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by猪飼野

  投稿者 dairinin | 2019-10-30 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

国際情勢の大変動を見抜く!-36~シベリア出兵の真実~

シベリア出兵

シベリア出兵は米英仏等の連合国の要請によるもの。背景にウラジオストックに保管されていた大量の軍需品がドイツの手に渡るのを防ぎたかったイギリスの思惑がある。

ロシア革命政権を主導したアメリカは乗り気ではなかった。故に早々に撤兵した。

 

日本はある理由で残留せざるを得なかった。

それがシベリアの邦人居留民を守るため。

ロシア人、朝鮮人、中国人からなる約4千人の共産パルチザン(:非正規軍)が、ニコラエフスクという町に入り込んで占領。革命裁判と処刑を強行し、日本人のほとんどを虐殺したとのこと。なんとその町の人口が半減。

日本軍は秩序が安定するまで残留せざるを得なかったというのが真実。

 

教科書で謳われているような勢力拡大の目的では決してないとのこと。

他にも似たような事件が中国各地でも起こり、それによって日本は共産主義に対する強烈な反感を呼び起こしたとのこと。

 

これまでの〇〇革命や△△暴動と称する事件のほぼ全てが金貸しの仕業であるということから類推すると、そもそも数ある日本人虐殺事件も金貸しが仕掛けたと思わざるを得ない。

 

日本は「金貸し支配」の事実を知らないがために数々の事件に巻き込まれてきた可能性が高いと思います。もっと深い事実を押さえていく必要を感じます。

 

『知ってはいけない現代史の正体』(馬渕睦夫 著)からの紹介です。

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■1918年 シベリア出兵

 

◇通説   :米英仏が撤退した後も日本はシベリア東部に勢力を及ぼそうと居残った。

◇歴史の真相:日本は邦人虐殺事件の解決のために撤兵を遅らせざるとえなかった。

 

●海外派兵に慎重だった日本

正統派の歴史では、ロシア革命後の内乱時期にシベリアに取り残されたチェコ軍救出を目的に日本は米英仏とともに出兵した、ということになっています。そもそもの発端は、そうではありません。ウラジオストックに保管されていた大量の軍需品がドイツの手に渡るのを防ぎたかったイギリスの思惑です。1902年に締結した日英同盟の下で同盟関係にあった日本に、連合国を代表してシベリアに派兵するようイギリスが要請したのです。

 

イギリスの提案にフランスが賛成し、アメリカに対しても同様の要請をしました。これに対してウィルソン大統領は、ロシア革命政府に対する一切の干渉に反対しました。特に日本が単独で出兵することに断固反対しました。アメリカはロシア革命政府を守ろうとしたのです。近代史研究家・中村粲氏の『大東亜戦争への道』によれば、日本は次のようにイギリスに回答しました。

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反グローバリズムの潮流(フランスのマクロン大統領もグローバリズムから転換か?)

欧州、成長支援へ新たな減税を検討=マクロン仏大統領富裕層優遇の政策で国民の大反発を買い、黄色いベスト運動で大混乱に巻き込まれたフランスのマクロン政権、5月のEU議会選挙ではルペン氏率いる極右の国民連合(RN)に敗北、イタリア等の反EU諸国から一斉攻撃を受ける等、ガタガタの状況でしたが、EU全体が景気後退の波に飲み込まれそうになる中で、何とか踏みとどまっているようです。 (さらに…)

  投稿者 dairinin | 2019-10-24 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

国際情勢の大変動を見抜く!-35~ロシア革命はユダヤ革命だった~

ロシア革命 当時から現在までヨーロッパではロシア革命=ユダヤ革命は当たり前の認識です。日本ではほとんど知られていないところが不思議なくらい。。。   1917年のロシア革命は「国外に亡命していたユダヤ人がイギリスのシティやアメリカ・ニューヨークのユダヤ系国際金融勢力の支援を仰ぎ、ロシアの少数民族ユダヤ人を解放するために起こした革命」とのこと。このころはロスチャイルド家が世界へどんどん進出していく時代で、【中央銀行】の設立後に、国家が最も金を使う【戦争】を起こすことが、彼らの王道。   因みに日本も1882年に日本銀行開業後、1894年日清戦争、1904年日露戦争、1914年第一次大戦と次々と戦争に巻き込まれていく。(見事に10年ピッチで戦争ですね。)   また、後段の「国際金融資本家がみな「社会主義者」である理由」というのも面白い。ネオコンも社会主義勢力なんですね。 『知ってはいけない現代史の正体』(馬渕睦夫 著)からの紹介です。 ************************************* ■1917年 ロシア革命 ◇通説   :労働者・兵士が自治組織ソビエトを構成して革命を推進した。 ◇歴史の真相:亡命ユダヤ人が主導したユダヤ人を解放するための革命だった。   ●勃発当時から常識だったロシア革命=ユダヤ革命   ロシア革命は、歴史教科書にあるような、時の皇帝ニコライ二世の圧政に苦しむロシア人が蜂起して帝政ロシアを転覆させた、という革命ではありません。国外に亡命していたユダヤ人がイギリスのシティやアメリカ・ニューヨークのユダヤ系国際金融勢力の支援を仰ぎ、ロシアの少数民族ユダヤ人を解放するために起こした革命です。   このことは当時のイギリスやヨーロッパ諸国ではほぼ常識的な認識でした。フランス出身のイギリスの歴史家ヒレア・べロックは、1922年発刊の自著『The Jews』の中ですでに、ロシア革命はユダヤ革命(ジュイッシュ・レボリューション)である、と指摘しています。この本を監修した、平成29年に亡くなられた渡部昇一氏は、著書の『名著で読む世界史』の中でも、ロシア革命の真実について繰り返し触れていました。 (さらに…)

反グローバリズムの潮流(イギリスのEU離脱、EUが離脱案に合意、何が起こったのか)

800x-1先週の段階では、新協定案での合意は「本質的に不可能」とまで言われていたイギリスのEU離脱協定案ですが、日本に大型台風が訪れている間に急展開し、イギリスとEUが離脱協定案の合意に達しました。一体何が起こったのでしょう。 (さらに…)

  投稿者 dairinin | 2019-10-17 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

国際情勢の大変動を見抜く!-34~アメリカのエスタブリッシュメントはユダヤ社会~

WASP

今回はアメリカのディープステートについて。アメリカは250年近く前の独立宣言当時からWASPが裏の支配者としてアメリカ社会をコントロールしてきた。ところが100年ほど前のFRB設立時からはユダヤ人社会にとってかわった。金融、メディア、司法を支配することでアメリカ社会をコントロールしてきた。

 

世界統一政府樹立へ少数民族であるユダヤ人が立てた戦略がグローバル化。ボーダレス化により民族を分断し小グループの編成へ。そしてそのグループ同士の小さな対立を止揚して統合するという。ローマ帝国時代と同じ手法。実はもっと古く、遊牧部族の羊の群れの統治方法に依拠している。

 

こんな古い手法はこれから先通用するはずがない。その手の内はすでに白日の下に晒されている。後は、この事実を皆が共有することだと思う。その意味で民族自決の流れが本流となることは間違いない。

 

今回のラグビーワールドカップで、日本民族の振る舞いに注目が集まっている。同一民族で強い繋がりを持つ日本人は決して、自分たちの殻に閉じこもることなく、寛容に世界の人々、文化を受け入れる姿が世界に感動を巻き起こしている。ロシア:プーチンが目指すのもこのような心。

この流れが来年のオリンピックでも加速され、世界が日本人の心の秘密を学ぼうとするだろう。

たかがスポーツイベントと思うかもしれないが、世界の人々が欠乏を高める効果はあるように思う

 

『知ってはいけない現代史の正体』(馬渕睦夫 著)からの紹介です。

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■保守対リベラルという対立構造の誤謬

 

2018年10月、トランプ大統領が連邦最高裁判所判事に指名した保守系のブレッド・カバノーという人物が上院の承認を得て就任した、という報道がメディアで大きく取り上げられました。注目の裏には、リベラル側が仕掛けたカバノーのスキャンダル追及の影響もありました。

 

アメリカの連邦最高裁判所判事は9人います。保守系5人、リベラル系4人という内訳は伝統的なものですが、前任者のアンソニー・ケネディ判事は保守側とはいえ、時にきわめてリベラル寄りの司法判断をすることで知られていました。トランプが指名したカバノー判事が後釜に就任することで、改めて5対4の保守対リベラルの棲み分けが明確化することになるという論調を各メディアはとりました。

 

しかしメディアは、ここまでのことしか伝えません。保守対リベラルとはいったい何のことを指しているのか、という点について伝えることは決してありません。

 

実は連邦最高裁判所判事のリベラル側4人のうち3人がユダヤ系です。もう一人はヒスパニック系です。つまり、リベラル側判事の4人はアメリカのマイノリティつまり少数派で占められています。

 

アメリカにおけるユダヤ系人口は600万人前後であり全人口の2パーセント程度にすぎません。そんな少数派が連邦最高裁判所判事の9人のうち3人、三分の一を占めています。バランスを欠いていると考えるのが常識というものです。

 

つまり、保守対リベラルという考え方には錯覚があるのです。「保守」対「リベラル」とは事実上、「その他の人々」対「ユダヤ系の人々」です。

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国際情勢の大変動を見抜く!-33~FRB創設が「ディープステート」の基盤~

 

 

 

ウィルソン大統領

この6回ほどは、直近から近未来の金貸し勢力の動きとそれを阻止しようとするトランプ大統領の戦略等を見てきました。今回からは、少し歴史を遡ってアメリカを牛耳ってきた金貸し勢力:本書では「ディープステート」の成り立ちから、彼らが動かしてきた歴的な事件などを教科書に載っている定説と真実との対比という形で扱っていきます。

 

今回は「ディープステート」の原点について。

金貸し支配の歴史は古く1000年前の十字軍遠征辺りまでさかのぼりますが、今回は金貸しがアメリカ支配に乗り出した100年前の経緯について紹介します。

アメリカ政府を裏から支配する「ディープステート」は、「金融」「司法」「メディア」を牛耳ることが鉄則。そのため彼らの意に沿う大統領を打ち立てます。

 

まずは、第28代ウィルソン大統領が金貸し傀儡政権の始まりとのことです。彼の就任直後にFRBが設立されます。そして不倫の弱みに付け込んで最高裁にユダヤ系判事を送り込みます。これで「金融」と「司法」の基盤を整えます。(「メディア」については次回)

 

その経緯の中で面白いのが、第1次世界大戦へのアメリカの参戦は、戦況不利のイギリスが、ロスチャイルドにお願いして実現したとのこと。その見返りが、ロスチャイルドが展開していたパレスチナ国家建設支援。これが有名な「バルフォア宣言」とのこと。

これはちょっと意外でした。

 

『知ってはいけない現代史の正体』(馬渕睦夫 著)からの紹介です。

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■世界を動かしてきた「ディープステート」

 

(前略)

 

(前段で、第二次世界大戦が起こった教科書に載っている定説いがいの理由として3つの候補が挙げられているが、そのいずれも間違っている、その理由は)

 

本当に謀略を巡らせた存在、本当の黒幕を隠してしまうことになる、というところにありました。

 

本当に謀略を巡らせた存在、本当の黒幕とは、最近注目され始めた、また、私がかねがね著書や講演で述べてきている、「ディープステート」のことです。国家内国家あるいは深層国家などと訳されますが、「ディープステート」とはアメリカの真の支配者をさします。

 

2018年9月、アメリカ中間選挙のキャンペーン中、トランプ大統領はモンタナ州ビリングスの共和党候補応援スピーチでこんなことを言いました。「選挙で選ばれてもいないディープステートの活動家たちが自らの秘密の課題を推進するために有権者に逆らうことは、民主主義そのものにとって全く脅威である。」 (さらに…)

「お金」の進化は、その詐欺性を高くして行く歴史

知り合いが、今後の景気は悪く成っていくのでしょうか?と何時も聞かれる。
最近の景気は全く良く分からない。現在景気がよいのか悪いのかも実感がない。
ただ、アメリカの借金、日本も借金、世界中が借金だらけで、ただで済むわけがない、とは感じている。
現在の世界経済が、狂っているのは薄々みんなが気が付いている。

しかし、そんな不安は見なかったことにしていきている。

現在の市場社会のマネー自体が「嘘の塊」であると解説してくれている書籍を紹介。
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偉大なる愚行の歴史『マネーの進化史』 ニーアル・ファーガソン / 仙名紀

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http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2016/01/post-67a8.html

マネーの本質は「花見酒」だ。それ自体に価値はない銭を、二人の男の間でまわすことで、一杯また一杯と売り物の酒を飲むことができる。いい気分で酔っていられるのは最初のうち、空になった酒樽に気づいて青ざめる。

銭に限らず、株券や保険など、マネーは様々な姿をとる。たとえディスプレイに浮かぶ数字だけだとしても、マネーは、皆がその価値を信じているから価値がある、トートロジカルな存在だ。具体化された信用を回すことで、モノやサービスが回る。しかも信用を殖やすことで実体以上の価値を回し、人々は浮かれ騒ぐ―――酒が尽きるまで。

『マネーの進化史』は偉大なる愚行の歴史だ。貨幣の誕生から銀行制度の発達、債券と保険の発明、「信用」を売り買いするマーケットなど、4000年に及ぶ行状を眺めていると、つくづく人類は学んでいないことがよく分かる。どの時代でも新しい「信用」が様々な名前で生まれ、膨らみ、弾ける。

あるときは権力と結びつき、自己増大化が目的となり革命や戦争を引き起こし、またあるときは知識を従えて、自己理論化し高度に洗練され新たな領域を切り拓く。同じ過ちをくりかえす人類とは裏腹に、金融は過ちから多くのことを学び、変化してきた。技術革新という突然変異を繰り返し、新企業の創出という種の形成を行い、金融危機と淘汰で方向付けられる断続平衡を経てゆく、壮大な実験の歴史なのだ。それは、「金融」という得体の知れないモノが、徐々に形をなし、人にコントロールされるフリをしつつ何度も期待を裏切ってきた進化史なのかもしれぬ。

世界初のバブル経済と崩壊を引き起こしたジョン・ローの話がめっぽう面白い。慢性的な政府債務を解消するため、王立銀行を設立して紙幣を発行させ、それを自分の会社に貸し付けては投機熱を煽るというやり方は、まさになんでもあり、金融の実験そのものといえる。彼が遺した手紙が象徴的だ、曰く「私は、賢者の石の秘密を探り当てました。つまり、紙から金を生み出せばいいのです」。金を刷れば人は豊かになるという発想はどこかで聞いたことがあるが、市場操作と粉飾決算に人々が踊り、笑い、そして絶叫する姿は確かに見たことがある。

本書がユニークなのは、この狂乱を現代に投射するところ。ミシシッピ・バブルの首謀者だったジョン・ローから、エンロンの最高責任者ケネス・レイの経歴に結びつける。著者によると、「控えめに言っても」驚くほど似ているそうな。続々と暴かれる不正経理・不正取引の本質は、何百年たっても変わらない。

ただし、わたしもリアルタイムで見てたから分かるのだが、不思議なことに他人事のように書いてある。一部の、金に狂った不届き者が経済を大混乱に陥れた文脈の中で語られていて、当時の、マーケット全体が酔っていたかのような感覚がごっそり抜けている。LTCMやメリウェザーのヘッジファンド危機も、そういう錬金術師が引き起こした騒ぎのように扱われており、市場全体を覆っていた多幸感が、「熱狂」の一言で片付けられている。宴たけなわの酔っ払いは、その自覚がないのだろう。

保険の歴史も面白い。ロイズ創立からの保険の歴史は、そのまま人類がどのようにリスクに向き合ってきたかを振り返ることになる。リスクをどこまで、そしてどのように「信じるか」は、その反対側にいくらまで張るかの話になる。損害への恐れは、起きうる可能性よりもむしろ、損害の大きさに左右される。そのギャップへの逆張りを見える化した賭金が、保険金なのだ。そして、可能性を正確に見積もり、分散して賭けられる者こそが覇者となる。パスカルの確率論やベルヌーイの大数の法則により、保険数理が確立されていく模様は、人間の「信用したい」という欲望がそのまま数学の地平を切り拓いていくことにつながっており、たいへん生々しい。

不動産(real estate)ならぬシュールリアル・エステイトの話も既視感ありまくり。S&Lからサブプライム危機は記憶に新しいにもかかわらず、「不動産投資は安全」という神話をあざ笑うかのようなペテンは某国で真っ盛りだ。某国の人たちにこそ、サブプライムローンがどのように利用されていたか、声を大にして伝える必要がある。ローン初心者は皆無で、ほぼ全員が借り換えだったという。借り手は自分の家をATMでもあるかのように扱い、住宅の資産価値からローンを引いた純資産を現金に換え、その収入でカード負債を帳消しにしたり、新たな消費に走ったのだ。花見酒の、まだ売り上げになっていない銭で飲むというのは、文化のなせる業なのか。笑えない話だが大いに笑わせてもらった。
マネーは、貨幣、債券、株、保険、不動産など、様々な形をとり、回転率とパワーを上げてきた。この信心こそが人類にレバレッジをかけ、モノとサービスを回してきた。本書に描かれるのは、マネーを信じる人々の熱狂や苦悩だが、その「信じたい」願望を逆手にとって翻弄してきたマネーそのものが主役だろう。
人は判断力の欠如からマネーに熱狂し、忍耐力の欠如から失望し、記憶力の欠如からまた熱狂する。ちっとも歴史から学ばない人類をよそに、その思惑とは無関係に蠢くマネーの進化が、面白く恐ろしい。

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以上引用  by猪飼野

  投稿者 dairinin | 2019-10-08 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments »