2009-12-23

【需要発から供給発へ】4.「需要発から供給発へ」

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(エコカー減税をアピールする「こども店長」の加藤清史郎クン。)
 
【需要発から供給発へ】シリーズでは、経済破局を突破するための答えを探るべく、るいネットより
1.働かない人に支援金を払って、活力が上がるわけがない
2.「役に立つ答えを探す事」が、社会活力の基礎構造。
3.活力再生需要に対しては、『供給者不足』
の投稿を紹介してきました。
 
前回のエントリー「活力再生需要に対しては、『供給者不足』」では、物的需要は供給過剰だが、活力再生需要に対しては供給者が不足しており、供給者を支援していく仕組み作りが必要であることを述べました。
 
しかし一般の企業は「活力再生需要」の存在に気付いていません。なぜでしょうか?
それは、社会は既に物的に飽和しているにも関わらず、これまでの物的需要を前提とした「需要発」の思考(需要はどこにあるのか?)に囚われているからです。
 
では「需要発」ではなく、どのように考えたらよいのでしょうか?
そこで今回は、「需要発から供給発へ」を紹介しながら、需要発の発想の限界と、供給発の発想へ転換することでの可能性を見ていきます。
 
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■需要発の発想の限界とは?
 
貧困の時代においては、豊かになりたいということ(私権獲得)が最大の活力源でした。従って、何をするにも「儲かるか否か」が第一の価値軸となります。
また豊かさ欠乏=物的需要に対して供給は不足していたため、物的需要は常にあることが前提でした。
従って国も企業も、人々の物的需要を背景に、人々を市場経済に取り込んでいき、市場拡大を進めてきました。
 
しかし70年以降貧困が消滅し、人々の豊かさ欠乏(私権欠乏)は衰弱していきます。その結果、「儲かるか否か」は第一の価値軸ではなくなってきました。
 
にも関わらず、前時代の需要発の発想から転換できない国や企業は、無理やり市場を拡大しようとしています。国は相変わらずバラマキ政策やエコ減税など需要を喚起する政策を打ち出したり、企業は目先的な新商品や付加価値で需要を掘り起こそうとしていますが、経営も環境も悪化するばかりで、完全に行き詰っているのが現状です。
 
では需要発の発想からどう転換すれば、可能性が開けるのでしょうか??
 
「需要発から供給発へ」

10月16日のなんでや劇場「経済破局は来るのか?市場の軟着陸は可能か?」のハイライトは「需要発から供給発へ認識を転換すれば市場再生のいろんなアイデアが湧いてくる」というものであった。
 
前半の経済破局分析、原因分析を通じてクローズアップされたのは、「お金第1の価値観」が廃れた以上、金融秩序の崩壊程度では社会秩序は崩壊しないし、人々の秩序収束を背景にすれば国家紙幣の発行によって国債の雪達磨的増殖も処理することができるので、経済秩序の崩壊すら回避できる。しかし本当の課題は破綻してしまった金融システムの残務整理にあるのではなく「もはや求めてもいない物的需要をむりやり刺激したところで、活力は衰弱していくばかりである。」という現状を突破する「活力再生の切り口」である。

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(バラまいて消えた、定額給付金。)
 
そしてその切り口とは、「市場経済の分析軸として固定観念化してしまった需要はどこにあるのかという需要発の発想こそ、可能性探索を妨げる旧観念であり、供給発の発想に切り替えさえすれば答え=可能性は無限に開かれる」という「需要発から供給発へ」の発想の転換であった。 
 
劇場ではからずしも露呈してしまったのだが、僕自身ついつい、現在の市場環境を分析する時に「物的需要から類的需要」への転換という視点でもって分析していた。しかし、需要という視点でいくら分析を重ねても、市場の突破口は見えてこない。なぜならば、類的需要は極めて普遍的に潜在している欠乏であるけれども、同時にそれは答えの供給なくして決して顕在化することはないからである。つまり
 
>答えを出せないから悩み需要が増えていく!逆に言えば、答えさえあれば悩みは解消するし、活力再生の突破口も見えてくる。(リンク)
 
と麻丘さんが書いておられる通りであって、「答え」つまり認識生産(あるいは類的供給)がなければ答え欠乏も活力再生需要も顕在化することはなく「悩み需要」としてくすぶる程度に止まる。逆に「答え」が与えられれば、つまり潜在需要に合致した認識生産(あるいは類的供給)がもたらされれば、人々は一気に答え欠乏を顕在化させ「なんで?なんで?」と答え欠乏を募らせていくし、活力再生の突破口を得ることで、自ら供給者になろうとしていく。(なんでやの弟子達の成長振りがそのことを雄弁に物語っている)

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(路上で答える「なんで屋」)
 
こうした答えられるようになる=供給者になることが現在の「最も大きな活力源」という構造は、なにも「なんでや」に限ったことではない。今若者が仕事選びにおける選択基準は「給料や余暇をいくらもらえるか=需要主体になれるか」でなく「仕事のやりがい=供給主体としての充足」にあるし、そうした欠乏はこれまでは単なる消費主体としてしか見なされてこなかった、高齢者や障害者の欠乏としても見て取れる。今や彼ら「旧来の社会的弱者」は「弱者として消費=需要する権利を主張する」なんて地平を脱却し「同じ社会の当事者として役割を持つこと=供給者になることを求めている」。高齢者は誰しも子供達の面倒を見てあげるという子育て支援の供給者たりえるし、知的障害者であっても(だからこそ)潜在思念あふれる美術表現を通じて人々の共感回路を刺激する作品をかける子はたくさんいる。(なんでやのカードなんか是非、書いて欲しいものだ)
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(子供たちの手で、野菜の生産から販売まで手がける類塾の「自然体験学習教室」)
 
そう人間は答えさえあれば誰だって「類的生産の供給者になりたい」と思うし、「なれる」のだ。何故なら共認充足の欠乏は誰にも備わっているし、潜在的需要としては無限にあるのだから、需要の心配は全く無用であって、欠落しているのは答えと供給体制の整備だけなのだ。そして「これまでの市場経済の需要発の発想」を超えて「類的供給体制の整備=供給者の育成」という視点で、補助金(否、手垢についた補助金という言葉は止めて活力再生事業者支援金と呼ぼう)を「子育て支援」活動や「老人のやりがいづくり」活動や勿論「共認形成」活動に払っていけば、供給者はどんどん誕生していき、日本は世界経済のまさに最先端を切って、新たな類的生産の時代を開いていける。
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(高齢者による地域安全活動の例。(リンク)
 
そしてそれこそが「真っ先にバブル崩壊を経験した日本国にこそ、次代の金融先進国となる土壌があり、そこで得た新認識や新理論を、みんなに発信していくことリンク」の中身であり世界の人々から「日本国に期待されていること」ではないだろうか。

 
■供給発の発想で見えてくる可能性とは?
 
このように発想を変えて、「供給発」の視点に立てば、新たな可能性が見えてきます。
 
現在は「私権圧力」に代わって、「同類圧力」(人々からの期待圧力や評価圧力)が第一の圧力源に転換しつつあります。そのため人々の欠乏も、自分が豊かになることより、皆の期待に応えていくことに変わってきています。
 
皆の期待に応えていこうとすれば、自分が「儲かるか否か」ではなく、そもそもこれは皆にとって必要なのか?という「必要か否か」の判断軸に転換していきます。
 
そして皆が必要としているものを広く提供していくには、答えの供給を拡大していく必要があります。類的需要に対しては圧倒的に供給者不足なのです。
 
従って、供給を拡大していくにはどうする?という「供給発」の視点に立つことで、
・今までは儲からないということで需要と認識されていなかった領域が、新たに需要として発掘できる。
・答えが供給されることで、実現可能性が開かれ、潜在していた需要が顕在化する。
・この類的需要とは、皆の役に立ちたいという欠乏でもあり、供給者を育成することそのものが新たな需要となる。

という可能性が見えてきます。
 
このように、需要の拡大という発想を転換し、むしろ供給を拡大していくことで、市場の限界を突破し、社会の活力を再生していくことが可能になるのです!

List    投稿者 kknhrs | 2009-12-23 | Posted in 未分類 | 2 Comments » 

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コメント2件

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