2008-06-26

<食料価格高騰はなぜおこるの?>その2 商品取引所って何?

前回は、<食料価格高騰はなぜおこるの?>その1 2007年からの価格高騰を扱いました。 
今回は、 
 
主要食料品の値段を決めている商品取引所って何?
いつできたの?
世界に何カ所あるの?
 
 
を扱ってみます。 
 
ニュースで一番よく出てくるのが、シカゴ商品取引所ですね。 
CBOT:The Chicago Board of Trade(シカゴ商品取引所) 
 
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まずは、商品取引所って何? 
 
日本では、商品取引所法に基づき所管大臣(農林水産大臣と経済産業大臣)の許可を得て設立され、先物取引(*)を行うための市場のことです。 
 
取引所は会員組織となっており、取引は会員に限られています。 
 
*先物取引とは、『将来の一定日時に一定の価格で売買することを現時点で約束する取引』のことをいいます。
作物は天候に左右され、価格が変動しやすい商品です。だから、この取引の目的は、食物生産・集荷事業者や食物卸売事業者が、価格変動のリスクを管理するためのものでした。 
 

生産物の商品化が進むと、その商品の取引を行う場所(市場)や売買取引の方法、決済の方法などが整備され、規格化、制度化が進みます。 
 
やがて、その商品の中で、品質や形態が均一で貯蔵性のあるもの、耐久性のあるものについては、見本を見るだけ、あるいは銘柄を指定するだけで、取引ができるようになります。 
 
そして、見本取引や銘柄取引が始まると、今度は、今、手許にない商品、たとえば「遠隔地にあるもの」「現在生育中のもの」「製造中のもの」「輸送中のもの」も、価格と数量と将来の受渡期日、条件などを決めるだけで取引できるようになります。 
 
これが「広義の先物取引」(延取引・Forward)です。 
 
さらに、その商品の中で、もっとも代表的な銘柄を選び出して、これを標準にし、他を等級別・銘柄別に格付けをしておけば、その標準物を取引することで、全体の取引を代表することができるようになります。 
 
そして、商品はまた、その多くが購入者によって直接使用されるわけでなく、第三者へ販売することを目的として買い付けられるのがふつうです。ですから、有利な買い手があれば、今現在、現品がなくても転売が可能ということになります。 
 
現物がなくても、その差額分が利益となるわけです。こうしたシステムが「狭義の先物取引」(Futures)へと発展したのです。

大紀産業・商品先物取引の歴史から 
 
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  投稿者 aruih | 2008-06-26 | Posted in 06.現物市場の舞台裏4 Comments » 

<食料価格高騰はなぜおこるの?>その1 2007年からの価格高騰

今年に入ってから、パンやカップラーメンの値上げが続いていますね。  
 
そして、「シカゴ商品取引所の小麦価格が過去最高値を更新!」とか、「米コーン地帯で洪水、とうもろこし価格が高騰!」とかのニュースが流れています。 
 
小麦、とうもろこし、大豆などの食料価格の値上がりは、どうも尋常ではなさそうです。 
 
世界の食料価格が決まるメカニズムが、変ってしまったのではないかと思います。 
 
そこで、食料価格高騰はなぜおこるの?シリーズでは、何故値上がりしているのか? そもそも、その価格はどこで決まっているのか? 誰が決めているのか? そして、日本にはどのように影響が出て来るのか? を扱っていきます。
できれば、日本はどうするまでいきつければと考えます。 
 
概ね、以下の構成で展開して行く予定です。(但し、脱線もしますよ 8) ) 
 
1.価格の長期推移、最近の値上がり状況
2.主要食料の値段を決めている商品取引所って何?いつできたの?世界に何ヶ所あるの?
3.食料価格が決まる力学はどうなっているのだろう?(需要と供給の関係)
4.食い物こそがビジネスチャンス。世界の穀物メジャー、食品メジャーの世界
5.日本が食料輸入国に転落していく契機。戦後のパン食転換、お米余りと減反政策。
6.日本の食糧輸入の実態、農林水産省は何をしているのか?商社は何をしいているのか?
7.で、日本の食糧をどうする? 
 
食料価格の長期的な推移と最近の高騰をまずはみてみましょう。 
 
●小麦価格は、2007年から高騰(シカゴ商品取引所価格) 
 
小麦価格は、98年から2006年までは、1ブッシェル(*)当り250セント(2.50ドル)の水準で安定していました。(下図)。 
90年代も概ね2ドル水準で推移していましたので、この20年間の小麦価格は、超安定価格であったのです。 
 
【*ブッシェルは、英米で使われる容積の単位です。およそ、1ブッシェル=35リットル。品目により同じ容積でも重さが違いますので、小麦・大豆は、1ブッシェル=27Kg、とうもろこしは、1ブッシェル=25Kgです。】 
 
2006年まで、安定していた価格が、2007年に入ると、急激に高騰し、2008年の2月には、1334セント、13ドルまで高騰しました。20年続いた安定価格の5倍に跳ね上がっています。 
 
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図の出所:フジ・フーチャーズのチャート作成を利用させてもらっています。 
 
その他の品目はどうでしょうか? 
 
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  投稿者 leonrosa | 2008-06-25 | Posted in 06.現物市場の舞台裏6 Comments » 

戦後日本の高度経済成長を検証する NO.1

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経済を調べていくうちに、その動向はいわゆる国際金融資本家の舵の取り方で決まっているように思えてなりません。
とすれば日本の経済成長もその影響下にあったのではないかと考えたくなります。

例えば、戦後の高度経済成長について、世界の経済状況が均衡状態を維持していたなら、果たして「東洋の奇跡」と呼ばれるほどのことがあり得ただろうか?日本独自の技術開発や資源開発が行なわれたわけでもないのに・・・。
というわけで、1950年代から始まる戦後日本の経済成長を、これから改めて皆さんと検証していきたいと思います。

さて某国営放送などTVで見る“日本が輝いていた時代”の実態は果たしてどうだったのか?そろそろ頭のかがやきが気になってきた人もそうでない人もポチっと応援よろしく

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  投稿者 goqu | 2008-06-23 | Posted in 02.日本の金貸したち9 Comments » 

秋葉原の事件を契機に、「人材派遣業=ピンハネ搾取業」という認識が、一気に広まりつつある

東京の秋葉原で痛ましい事件が発生してしまいました。
お亡くなりになられた方々には、その無念さを考えると言葉も見つかりません。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
先日、30代〜40代の若手経営者が集まり情報交換をし、日々の経営姿勢を反省・改善する場がありました。わからないところや到らない部分は、先輩経営者たちに相談したり、指導を受けたりもします。かなりまじめな姿勢、かつ真剣な場でした。
その場で話題になったもののひとつが、先日の秋葉原での無差別通り魔殺人事件です。
画像の確認
老若男女50人くらいの第一線のまじめかつ前向きな経営者たちが集まったのですが、全員が異口同音に「同じような事件がまた起こる可能性が高い」というのです。
この感覚は、なにも彼らだけの所感ではなく、社会全体の感覚ではないでしょうか。
そして、今回の事件で特徴的なのは、「加害者もまた被害者である」「こんな事件が、決して一度ではなく何度も起こる社会になってしまった」という感覚です。
「彼をあそこまで追い詰めた人材派遣業をはじめとする社会制度も悪いのではないか」「小泉・竹中の政治経済背策による悪法・悪性度を黙認している社会全体にも責任があるのではないか」という社会全体に向けられた眼差しです。
もっと言えば、背後には、アメリカの日本に対する影響力が、日本の社会をこのような状況に追い込んでいるのではないかという視点です。
もちろん、だからといって容疑者が犯した罪が許されるということはありません。
しかし、これらの声は、多数の人たちから挙がっていたのです。
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  投稿者 katuko | 2008-06-19 | Posted in 10.経済NEWS・その他6 Comments » 

炭素本位制時代は来るのか? 1 (洞爺湖サミットで日本はどうなる?)

【温暖化対策に低利円借款・政府方針、5年で5000億円上限】

 政府はアフリカやアジアなどの途上国が進める地球温暖化対策を支援するため、金利が通常の半分程度の新しい円借款制度を創設する方針だ。今後5年で5000億円を上限に、温暖化対策に積極的に取り組む途上国に供与する。7月の主要国首脳会議(洞爺湖サミット)でも支援策を公表し、日本が世界各国の温暖化防止対策に積極的に取り組んでいる姿勢をアピールする。
 創設するのは「気候変動対策円借款」。一般の円借款の金利は供与国によって異なるものの、償還期間が40年間の場合、年1—1.2%程度。気候変動対策円借款はこれを同0.4—0.5%程度に引き下げる。金利を下げることで、途上国の負担を減らし、温暖化ガスの排出削減に積極的に取り組むよう促す。(5/15 日本経済新聞)

 自国開催の主要国首脳会議(洞爺湖サミット)に向けてなんとか主導権をとろうとしているようです。
 6月4日の投稿でも紹介された通り「京都議定書」では日本は完全に嵌められたわけですが、その後も日本が提案する「CDM(クリーン開発メカニズム)」はことごとく却下されたり、排出権取引ではEUの後塵を拝したりと全くいいとこ無しの日本が主導権を握れるとはとても思えないのですが…。
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全国地球温暖化防止推進センター」より
 これを見ると日本とEU諸国のCO2排出レベルはほぼ同じように見えるがGDP比で見るとEU諸国の56%の排出量でしかない。本当の日本は現在でも圧倒的な低CO2排出国なのである。

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  投稿者 kato | 2008-06-15 | Posted in 08.金融資本家の戦略8 Comments » 

炭素本位制時代は来るのか? 0

CO2排出権取引に関する動きが着々と進んでいる。
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世界的視点で見ると、洞爺湖サミットに向けて先進国の主導権争いが激化し、これに呼応して、国内では制度化が進められている。
炭素本位制などと次代の市場ネタとしても有望株だ。
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  投稿者 gokuu | 2008-06-14 | Posted in 08.金融資本家の戦略15 Comments » 

水面下で進む国富ファンドの日本への不動産投資

その規模の大きさで、投資市場への影響を危惧されている国富ファンド。
従来は、運用先の中心は米国債で、ドルが基軸通貨として安定している間は、安全な運用先として機能し、さらに米国の経常赤字の穴埋めとして機能して来た。
しかし、この間のサブプライム問題以降、ドル安懸念が噴出。国富ファンドは投資先を多様化すると共に積極的運用に乗り出している。
その投資先として、日本も取り上げられる訳だが、結構身近な不動産 にもその投資先は及んでいるのには驚いた。
その一例として既に2000年以降から投資を活発化しているシンガポールの国富ファンドの投資先を紹介したい。

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  投稿者 tamimaru | 2008-06-13 | Posted in 04.狙われる国の資産6 Comments » 

道州制でEUに追従しようとしているのか?

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地方分権化のグローバリズムによるものなのか、地方分権化については表立って反対する政党もなく、ねじれ国会にあっても粛々と進んでいこうとしている感じです。
しかし、具体的な中身になると、都道府県ー市町村という枠組みは現状のままに地方分権化を推進するという立場から都道府県を廃止するという道州制まで、様々な立場、諸説がある状況です。
また、道州制といってもいろいろな考え方があるようですが、内閣官房の会議の俎上に上がっている「地域主権型道州制」を題材にその背景にある論理を検証してみたいと思います。
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  投稿者 wyama | 2008-06-11 | Posted in 03.国の借金どうなる?4 Comments » 

地方分権改革推進委員会が『第一次勧告』

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政府の地方分権改革推進委員会は5月28日、第1次勧告を決めました。今回は、この内容について報告したいと思います。
■分権委勧告骨子は次のとおり
・一部の直轄国道の整備、管理権限を都道府県に移譲
・一つの都道府県内で完結、ほぼ完結している1級河川の管理権限を都道府県に移譲
・大規模農地転用の許可権限を都道府県に移譲
・社会福祉施設と公営住宅の整備基準は自治体が独自に決められるよう変更
・都道府県の事務権限359項目を市町村に移譲
・道路特定財源の見直しでは、税源移譲を含めた自治体の税財政充実を検討
・消費者行政の一元化では、消費生活センターなど自治体の取り組みを支援
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  投稿者 orisay2 | 2008-06-09 | Posted in 03.国の借金どうなる?9 Comments » 

おから工事はなぜ蔓延したのか?

四川大地震では学校建築が多く倒壊し、多数の子供たちが犠牲になった。
なぜこのようなことが起きたのか、今後防止するためにはどうすればよいのか、少し考えてみた。
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  投稿者 ohmori | 2008-06-08 | Posted in 07.新・世界秩序とは?7 Comments »