2022-12-30

見えない戦争 ~異次元緩和政策から異常に膨れ上がった投機経済を読み解く~

今回扱うのは・・・「そもそも異次元緩和とは?!」

前回は世界的に「金利・株価・資源」のどれもが高水準という、経済学の常識ではありえない状況について押さえた。しかし、日本に絞ってみれば「株価・資源」は依然高水準なものの、「金利」だけは各国と比較しても異常に低い水準にとどまっている。
この低金利の所以は10年以上日本政府が続けている「異次元緩和」によるもの」。少し遡って押さえていく。

  • 異次元緩和とは何?なぜ始めた?
    異次元緩和の中身は大きく2つ。「紙幣を大量に刷り市場にばら撒くこと」と「ゼロ(マイナス)金利」。
にほんブログ村 経済ブログへ

・紙幣を市場にばら撒くのはなぜ?
物を売るにも買うにもお金(紙幣)は不可欠なもの。市場が拡大するにつれ、より多くのお金(紙幣)が必要になる。そこで、その仕組みを反転、市場に大量のお金(紙幣)を流通させ消費を促し、経済を回すのが狙い。

・ゼロ(マイナス)金利
ゼロ金利とは、銀行間のお金の貸し借りにおいて金利がゼロもしくはマイナスになること(国民⇔銀行ではない)。ゼロ金利になると「貸していると損、借りていると得」という状態になる。それにより、お金が借りやすくなり市場の活性化を図る狙い。

いずれにせよ、金回りを良くし滞った市場経済を無理にでも?成長させるための政策と言える。

  • 異次元緩和の不整合

だが、もはや民衆は欲しいものなどなくお金を使わない。すると、改善したはずの金回りも滞り、大量にばら撒いたお金も市場経済には行き場を失うことになる。その結果、投機にお金が流れ、今や投機市場は実体経済の10にまで膨れ上がった。

投機にしかお金が流れない以上、国民にお金を行き渡らせるには、株価を上昇させるほかなくなり、政府は株価ばかり気にする構造になる。だがこの恩恵を授かるのも一部の富裕層にとどまる。その富裕層とは自民党の支持基盤である。

 その最たる例が、トヨタの大株主(一般の社員ではない)。

前回から扱っている「資源≒物価」の上昇。本来ならば、製造業軒並み経営が厳しくなり営業利益▼になって当然(トヨタも前年比より24%減(2022年9月期))。そのため純利益が前年比30%減となっているが、「現金純増減額」については、前年比より603%増と大幅増となっている。しかも、異次元緩和が加速した直近の本年度上半期6月・下半期9月の「前年比」の上り幅が顕著である。いったい何が起きているのか…

異次元緩和による、日本大手企業の下支えが行われているのか。政府の言う経済成長とは何なのか。実体経済の仕組みだけでは説明のつかない(経済学上ありえない)事象が起こる現代。実体経済だけでなく、投機経済との繋がり全体から捉えていくことで全貌が見えてくる。次回以降も実体経済と投機経済の繋がりについて追求を進めていく。

List    投稿者 t-tomoki | 2022-12-30 | Posted in 02.日本の金貸したちNo Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2022/12/10502.html/trackback


Comment



Comment