「天皇」という力の正体とは?(1)
昨年末の総選挙で再び安倍自民が大勝し、4年の政権延長を実現した。
日本の政権は、戦後ほぼ一貫して、国際金融資本=世界の支配層たる金貸しの思惑によって差配されてきた。中国に接近した田中角栄をはじめ、金貸したちの意向に楯突く政治家たちは、政治的もしくは物理的にも短命を余儀なくされた。
小泉政権以降、ほぼ毎年のように首相の交代が続いた日本にあって、3期目を実現した安倍政権は、現在日本に最も力を及ぼし得る世界支配層から容認されたということだ。
この、安倍政権と日本を働く闇の力学を考える上で、注目される一つの要素がある。それは、「安倍のバックには神社本庁がある」という事実だ。
安倍内閣の19閣僚中なんと16人が神社本庁を母体とする政治団体「神道政治連盟国会議員懇談会」のメンバーであり、そして、安倍晋三首相はその神政連国議懇の会長をつとめているのだ。
神社本庁の機関紙「神社新報」を見ていると、もっととんでもない主張がしばしば登場する。それは「祭政一致」だ。
祭政一致とは、神道の祭り主である天皇が親政も行ない、国政上、政府はそれを輔弼する(進言する)役割にとどめるという、大日本帝国憲法で明文化されていたものだが、神社本庁はそれを復活すべきだというのである。
(中略)
祭り主としての天皇が政治における決定権を握る絶対君主制の復活……。この時代に信じがたい主張だが、「神社新報」はこれにともない、新憲法では軍の「統帥権」を天皇に帰属させるべきだという主張もたびたび行っている。
「統帥権」とは軍隊の最高指揮権のこと。
(るいネットより)
戦後「天皇は象徴」とする日本国憲法に基づき、天皇は現人神の地位を失った。私たちは、人の良い好々爺とその家族たちでも見るように、新年一般参賀で手を振る天皇と皇族たちの姿を正月のテレビで(もしくは皇居に出向いて)眺めている。一方で天皇は、紛れも無く世界支配層の頂点の一人であるロックフェラー家の総帥が謁見を求め、頭を下げる存在でもある。
本当に、現在の天皇は単なる象徴的存在に過ぎないのだろうか。王族と金貸しで構成される世界支配層の中で、今も何らかの強大な力を有しているとしたら、それは何なのか。その追求の皮切りに、吉田祐二著『天皇財閥 皇室による経済支配の構造』から、主に戦前の天皇の経済主体としての実像を見てゆく。
■近代日本の財閥としての天皇家
著者はまず、戦前の天皇および宮内省が、日本最大の財閥であったと定義する。
近代日本の代表的な企業には、もちろん「財閥」と呼ばれた三井一族の支配による三井財閥や、岩崎家一族の支配による三菱財閥、住友家による住友財閥など、大企業グループが存在した。しかし、日本最大の財閥である三菱財閥、三井財閥をさらに数倍上回る規模の財閥が存在した。それが「天皇を中心とする、天皇家が支配する財閥」、略して「天皇財閥」である。
天皇財閥とは、天皇家を財閥家族とし、宮内省を本社機構に持ち、その傘下には、日本銀行や横浜正金銀行、南満州鉄道株式会社(通称「満鉄」)、日本郵政といった、日本を代表する「国策企業」群を有する大企業グループである。<天皇家=宮内省>を中核とする天皇財閥は、これらの大企業たちを、株式を通じて支配した。
(『天皇財閥』第1章より。以下同じ)
皇室財産の管理を受け持つ宮内省(現在の宮内庁)は、最大で6千人もの人員を抱え、皇室財産の運用・投資、天皇家の所有する株式の配当金管理や株主総会での投票などを担い、持株会社としての機能を自覚していたという。
■ロックフェラー家をも凌ぐ規模の皇室財産
では、その財産とはどれほどの規模だったのか。
終戦時の天皇家の資産総額は十五億円程度と見られ、別の調査では三十七億円という数字もある。他の財閥が三億~五億円くらいの資産だったので、天皇家はその五~七倍程度の資産を有していたことになる。
・・・・天皇家の資産はGNPの割合から見ると、十三%から二十%の大きさを持っていたことになる。
現在のGDP(国内総生産)は約五〇〇兆円だから、天皇家の資産は六十五兆円から一〇〇兆円ということになる。
米国史上最大の富豪とされた初代ジョン・ロックフェラーが1937年に没した際に遺した遺産は14億ドルで、当時の米国GDP920億ドルの1.5%程度だったという。(ウィキペディアより)
しかも、敗戦後に1ドル360円で固定される直前の1940年の為替相場は1ドル=2円であった。当時の天皇家の財産規模は、同じ時代のロックフェラー家に匹敵あるいは凌駕するものであり、かつ母国内における占有割合は圧倒的だ。
少なくともこの時代、日本の天皇家の持つ資産と権力に対して、金貸したちが一目置いていたことは疑いの余地がない。
では、これほどの規模の皇室財産の中身はどのようなもので、天皇と宮内省はどのようにして財産を形成・運用してきたのだろうか。
(つづく)
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