2008-09-10

戦後日本の高度経済成長を検証する NO.7〜国際石油資本の傘下で成し遂げた復活劇

戦後の日本は、アメリカによって、戦後復興援助を与えられつつ、財閥解体や産業施設の占領、撤廃などにより、産業基盤を弱体化させられた。
その後、1949年のアメリカ軍による占領政策の転換によって、それまでの様々な規制が撤廃され、弱体化した産業の復興が推し進められた。
そして1950年からはじまる高度経済成長期を迎える。
この高度経済成長期を支えた、工業地帯復活の流れを、石油産業を中心にまとめてみた。
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石油業法や石油専売法のような戦時統制立法は、戦後いち早く撤廃されたが、連合軍による占領政策によって太平洋岸の製油所の復旧は認められず、国内市場への石油供給は、米国のガリオア資金(占領地救済援助資金)エロア資金(占領地経済復興資金)による製品輸入と、在日米軍の放出品によるほかはなかった。
その後、占領政策の180度の転換により、1949年7月に太平洋岸の製油所操業再開と原油の輸入が許可された。
しかし、精製技術の近代化と精製施設の復旧のためには、巨額の資金が必要であり、同時に海外からの原油の長期安定輸入も不可欠であったため、日本の石油会社にとっては、世界的な原油資源の所有者である外国石油会社との提携が唯一の選択肢であった。

 1949年、外国人の財産取得に関する政令が出され、独占禁止法が改正され、その翌年には、外資法が制定される等、外国石油会社が、日本の石油会社と事業提携できる素地が作られた。そして日本の石油会社は相次いで外国石油会社と技術提携、委託精製、委託販売等の提携契約を結び、さらに精製部門を中心とした資本提携へと発展していった。

1949年には、米国のスタンダード・バキューム石油が東亜燃料工業(株)と資本提携契約を結び、翌年、カルテックスは興亜石油(株)と資本提携した。
 さらに1951年に、日本石油は太平洋岸製油所部門を分離し、カルテックスと折半出資による日本石油精製(株)を設立した。
 また、タイドウォーター(のちのゲッティ・オイル)と三菱石油(株)は、戦前の資本提携関係を復活させ、ロイヤル・ダッチ/シェルも昭和石油(株)と資本提携契約を結んだ。このほか、資本提携でない種々の提携関係が生まれた。

引用元:新日本石油 石油便覧 http://www.eneos.co.jp/binran/part03/chapter02/section04.html
こうして資源も技術も持たない日本の石油会社は、米英を中心とする外国石油会社から資源提供、技術提供を受けて原油の精製を行なう事が出来るようになった。
しかし中には、資本提携を結んだといっても、株式の半数を所有され、国内での販売権も与えられず、外国石油会社の精製部門という位置づけの提携内容もあった。
その後本格的な、石炭から石油へのエネルギー革命により、4大工業地帯を中心に石油コンビンナートが次々に作られた。
石油コンビナートとは、石油精製工場と石油化学工場及び石油貯蔵施設等の石油関連施設の集合体を指す。
1956年、川崎市、四日市市、岩国市、新居浜市の4ヶ所に建設が決定され、それぞれ日本石油化学、三菱油化、三井石油化学工業、住友化学工業が中核業者となった。1958年に三井化学・岩国(日本最初のコンビナート)、住友化学・新居浜が稼動。4箇所の中核業者をみてもわかるとおり、エチレンプラントという巨大な設備投資に耐えられるのは旧財閥・コンツェルン系企業であった。
この石油コンビナート設立が、高度経済成長を支え、財閥復活の足がかりともなった。
こうして日本の産業は飛躍的な復活を遂げた。
資金の借り入れ、原油の供給、技術力の提供と全面的に国際石油資本と提携し、その傘下にくみこまれていく中での復活劇が、「東洋の軌跡」と呼ばれる日本の高度経済成長期であったといえるかもしれない。

List    投稿者 minezo | 2008-09-10 | Posted in 02.日本の金貸したち7 Comments » 

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コメント7件

 30代会社員 | 2009.01.13 21:38

なんでや劇場、私も参加しました。
男たちが「今は女どころではない」という感覚でいる(それくらい、今の状況をなんとかしなければと課題に向かっている)という点に大きな共感を覚えました。
男たちは一見「性は棚上げ」にしているようにも見えます。しかし「なんとかしなければ」の先には、女たちを含む皆の役に立ちたい、という意識があるように思います。

 わっと | 2009.01.17 20:26

30代会社員さん、コメントありがとうございます。
>男たちは一見「性は棚上げ」にしているようにも見えます。しかし「なんとかしなければ」の先には、女たちを含む皆の役に立ちたい、という意識があるように思います。
私も同感です。
いまどき、自分のために「なんとかしなければ」などと考える人はいないと思いますね。
みんなのために…というところから役割が再生され、活力が再生されてゆく過程で、性意識も本源の性へと転換しながら再生されてゆくのではないかと思います。

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