2008-07-06

日本金融史2 〜蛾=生糸から産業が生まれ、銀行が生まれた〜

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錦絵「上州富岡製糸場」(明治5年)
今回は、日本金融史2として、日本金融史を考えるに、幕末から明治にかけての製糸業の果たした役割をみて行きたいと思います。
◆開港から始まる、生糸輸出と財の蓄積
安政六年(1859年)に、外圧に耐えかね、長崎・横浜・函館が鎖国を破り、商業貿易港として開港されます。中でも、横浜開港の影響が大きく、ここで行なわれた生糸の輸出による産業の発展と財の蓄積が、その後の政治や銀行設立や財閥の形成と大きくかかわりを持っているようです。
横浜開港の4年目(1863年)には、実に生糸輸出の99%が横浜に集中し、明治の中ごろまでには、生糸生産の中心地である関東甲信地方に、その輸出の7割を握る、五大売込商という輸出商人がうまれ、その後、これらの売込商は各地の有力者と婚姻関係で結びつき、財閥とも関係を深めて行くのです。
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◆銀行の設立
一方で生糸売込商=輸出商たちは、世界的な生糸相場の激動によって絶えず大損害をこうむる危険と隣合わせにあったため、自ら銀行株を大量に保有する銀行を設立し、その銀行資金を生糸貿易に循環する巧みな仕組みをつくり出し、資本の安定化を図っています。
明治7年の横浜第二国立銀行の誕生と成功がきっかけとなり、その後、地場産業を盛んにするための融資を行う郷土銀行が全国に雨後の筍のごとく生まれ、結果的に国立銀行条例の改正もあって、明治11年には153 もの国立銀行が生まれるのです。
その後は、地元産業の育成の失敗や不況などにより、財閥系銀行に飲み込まれたりしながら、現在の銀行の基礎となるのです。
◆日本の銀行を初め、通信も鉄道も新聞も、繊維業の生み出した資金で始まった
このように、日本の銀行は、蛾=製糸業から生まれたわけですが、そのほかにも、通信や鉄道は生糸輸出の中心である横浜を基点として生まれており、日本の日刊新聞もまた、全国屈指の財力を有する生糸売込商の手で横浜で生まれているのです(横浜毎日新聞)。
また、三井・三菱・住友・安田・古河などの財閥が幕末から明治初期にかけて、形成されていますが、これも全産業の70%を占めた、繊維業が生み出した資金によるもののようです。今後この辺りを押さえて行きたいと思います

List    投稿者 tamimaru | 2008-07-06 | Posted in 02.日本の金貸したち8 Comments » 

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コメント8件

 やが | 2008.10.22 22:16

『悪魔のサイクル』を意図的に実行して富を掠め取ってきた、とすると、今回の金融破綻も意図的に起きたのか、どこかでボタンを掛け違えたのか・・・。

 ぴんから体操 | 2008.10.23 23:56

■やがさん
おそらく、随分前から予測は出来ていたと思いますよ。あとはそれがいつ起きるのか?という問題だけだったのではないかとなーと。
転んでも、ただでは起き上がらない彼らのことですから、何か新たな画策をしているはずです・・・・。

 カク | 2008.10.24 0:22

アメリカによって、後進国は太らされては食い尽くされるということを繰り返してきたんですね〜。(世界の市場化・多極化)
ただ金融資本家にとっては、そのアメリカ自体も、富を吸い上げるための道具だったのかもしれないと思いました。
今後世界は多極化に向かっていきそうな感じですが、金貸し支配が続くのは困ります。。むしろ国家間の連合による金貸し規制や為替の安定といった方向での多極化に向かっていって欲しいですね。今回のブレトンウッズ協定の改正には期待しています。

 庶民の視点!億の細道 | 2008.10.24 19:48

どうなる日本の景気?

日経平均の下落が止まらない。
とうとうバブル後、最安値の水準まで日経平均が落ち込んでしまった。でもこれは当然のことだと思う。
アメリカのサブプ…

 サラリーマンブラザース | 2008.10.25 19:50

>ただ彼らの手口を知っていて、IMFを追い出して、経済改革に成功した国もある。
これはどこの国ですか?
参考になるのでは?

 ぴんから体操 | 2008.10.26 18:05

■カクさん
今後世界はまちがいなく多極化の方向に進んでいくはずですが、国家側がここでどう踏ん張れるか・・・。
それによって今後の30年が決まってしまう気がします。

 ぴんから体操 | 2008.10.26 18:27

■サラリーマンブラザースさん
まだ、ちょっと詳しく調べられていないのですが、脱IMF・世銀支配、南の諸国の自立へ向けた試みはすでにおきているようです。
http://www.financial-j.net/blog/2007/12/000424.html
エクアドルやボリビアは、とりわけ新自由主義に苦しめられてきたようです。
政府が抱える債務の返還をテコに、IMFなどの国際金融機関がさまざまな難問を吹っかけ、借金のかたに石油などの天然資源を奪い、電気や水道などの公共事業をつまみ食いして行ったそうです。IMFが支援といっても利子をまけてやるだけのことですから、一文もかかりません。
国の経済は破壊され、多くの人々が失業し、街頭に投げ出されました。人々は「もうたくさんだ!」、「みんな出て行け!」と叫んで、アメリカに追従する政治家を追い出したそうです。
天然資源の乏しい日本とは状況は違いますが、参考になりそうですね。

 wholesale bags | 2014.02.10 0:45

金貸しは、国家を相手に金を貸す | 世界は多極化する? 〜グローバリズムと悪夢のサイクル〜

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