2014-11-12

金貸しは日本をどうする?~エネルギー支配(1)シェールバブルを残して、金貸しは化石燃料撤退!?


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これまで、このシリーズでは日本を財政、特区、移民、医療、農業、など国内情勢の観点から状況整理をしてきた。どの局面を切っても、金貸しは虎視耽々と日本の資産を狙っているようすがうかがえる。

一方、金貸し支配において欠かせないはエネルギー分野である。日本は食糧同様、自給率が低く、エネルギー分野ではわずか4.4%(原子力を除く)の自給率しか確保できていない。金貸しの日本支配を読み解く上で、まず世界的な金貸しのエネルギー戦略理解する必要がある。

最近、ロックフェラー家が化石燃料投資から撤退宣言するというニュース報道され、一部で物議を醸している。ロックフェラーは石油で財をなした金貸しであるにもかかわらず、その飯の種とも言える化石燃料を手放すとは何を意味しているのか?また、数年前から北米中心としたシェールブームとはどのように関係しているのだろうか?

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■技術革新によって採掘が可能になったシェールガス・シェールオイル


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シェールガスが地下数千メートルに大量に存在することは、かなり以前から解っていました。しかし、地下数百メートルに存在する在来型の天然ガスは採掘できても、地下数千メートルに大量に存在するシェールガスを採掘することは絶対に不可能と思われていました。何故なら、シェールガスはナノレベルで岩盤の隙間に気体や液体で存在しているからです。 しかし、その常識を覆したのは米国の中小企業の技術革新でした。
それまでは考えられなかった水平掘りや水圧破砕で、地下数千メートルに大量に存在するシェールガスの掘削を可能にしたのです。
この米国の中小企業の技術革新によって、あと数十年で枯渇すると考えられていた化石燃料の寿命が少なくとも400年は延びたと現在は考えられています。

「シェールガス」は世界経済を変えるのか?より引用

上記のないようはシェールオイルについても同様である。シェールガスもシェールオイルも同じシェール層に分布しているので基本的には同時に採掘が可能である。一般的には、シェールガスの埋蔵量が多く確認されているのと掘削費用がシェールガスの方がコスト安の為、シェールガスの掘削が先行してる状況だ。

現在は、シェールガスも含む天然ガスの全世界埋蔵量(2012年)は22,882 TCFのうち、シェールガスの推定可採埋蔵量は全世界で7,299TCFとなっていて、天然ガスの全埋蔵量のうち3割がシェールガスが占めている。

原油の全世界埋蔵量(2012年)3.3兆バレルのうち、シェールオイル3450億バレルとなっていて、原油の全埋蔵量のうち約1割がシェールオイルがしめているという。

シェールガス・シェールオイルは2010年頃から北米中心に開発が進み、夢の新エネルギーとして、北米から世界へ大々的に宣伝活動が行われた。

2012年オバマ大統領もその演説でシェールガスを大々的にアピールしている。

オバマが2012年の年頭教書演説で、シェールガスと既存のガス田からのガスの合計で、米国に消費量の100年分の天然ガスの埋蔵量があると述べ、アメリカは、エネルギー輸入国から、輸出国にチェンジした。それだけではなく、世界一の石油ガス埋蔵量も世界一になったのだ、と高らかと宣言した。

シェールガスと云う壮大な国家詐欺 主犯はバラク・オバマ より引用

最新のアメリカのエネルギー省が毎年発行する報告書(AEO2014)でも、今後の見通しはシェールガス・シェールオイルの増産により、アメリカのガス・オイルの生産量が世界一になるとされている。

 

■シェール井は数年で枯渇するため、常に自転車操業が強いられる

これまでシェールについてはバラ色の未来しか語られてこなかったが、実際数年経って、しだいに経験量が増えてくると、シェールには難点が多いことがわかってきた。

そ の一つは、ガスの産出量の減少が、従来型のガス田よりも、はるかに早いことだ。米国には約30カ所の主要なシェールガス産出地域(プレイ)があるが、多く のガス井は、ガスの産出が始まって3年たつと、産出量が79%から95%減ってしまう。つまり3年でほとんど枯渇してしまう。シェールガス井は寿命が非常 に短いので、ガスの産出量を維持するため、一つの産出地域の中で次々と新しいガス井を掘り続け、ガスが出ているガス井群の中の3-5割が毎年交代している 状況だ。
このシェールガス田の自転車操業に必要な費用が、米国全体で年に420億ドルの新規投資金を必要とする。一方、全米で産出されるシェールガスの売上高は 325億ドルなので、現在すでに米国のシェールガスは年間100億ドルの赤字運営になっている。ガス採掘会社は、できるだけ有望な場所にガス井を掘るだろ うから、有望な場所は最初に掘られ、後になるほどガスがあまり出ない場所で掘っていかざるを得ない。つまり、後になるほど自転車操業のコストが上がる。現 在すでに赤字操業なので、今後もっと赤字になる可能性が高い。

シェールガスのバブル崩壊より引用

シェールガスはシェール層(頁岩)という岩盤の中に気泡として存在しており、水圧で岩盤を割っても回収可能なガス量は数年で激減するため、生産量を維持するためには次々と数千メートルのガス井を掘り続ける必要があることがわかってきた。

さらに、採掘コストは通常の在来型の採掘方法より高く、資源価格が下落すると採算が合わなくなってしまうのだ。
通常、資源メジャーは地下数百メートルのガス田や油田を開発すると採掘簡単な地表近くに存在する石油や天然ガスを含んだ層から生産が行われてる。資源メジャーたちは容易に採掘が可能な資源を吸い尽くすと、直ぐに売却し新しい場所へ移って行く。採算の悪い油田やガス田は、地元の中小企業や独立系の石油・天然ガス会社が買い取り、それらの会社が細々と残りカスを採掘するという業界構造となっている。

つまり、いくら技術革新で採掘が可能になったとはいえ、資源メジャーから買うお下がりのガス井や油井を地下数千メートルまで掘削し、そこから水平にさらに掘り進め、水圧により岩盤を割ってシェールガスやシェールオイルを採掘するという作業は、自噴する従来の油田やガス田に比べれば、明らかに採掘コストは高くついてしまうのだ。

シェール井は数年とすると、在来型のガス田の寿命は40年、油田は20~30年であるので、その寿命は1/10程度と極端に寿命が短いため、常に新しいガス井・オイル井を掘り続けなければならず、しかも常に赤字しか生み出さないという国家ぐるみの詐欺であることがわかってきたのだ。

そして、

【2014年】
シェール開発の資金が流入し、バブル化住友商事、「資源」で高値づかみの大失敗~米国のシェールオイルなどで2400億円の減損

【2013年】
大阪ガス、損失290億円計上 シェールガス掘削が期待はずれ
2013年10月、ロイヤル・ダッチ・シェルは240億ドルを投じた米国のシェールガス事業が失敗に終わった

最近、シェールに投資して失敗した企業のニュースを目にすることが多くなってきたのは、これら事実が明るみになり自分たちのした投資が失敗だと認めざるを得なくなってきたということだろう。

 

■シェールバブルは旧石油メジャーの油田を高値で売却するための大芝居
なぜ、オバマ大統領は「シェール」という夢物語を創らざるをを得なかったのか?そして、石油王ロックフェラーはなぜこの時期に化石燃料撤退を宣言したのだろうか?

’70年代以降、メジャー支配脱却を狙っていた産油国は、次々と石油開発への経営参加、国有化を推進した。1972年には、アルジェリアの油田がフランス資本から国有化された。リビアもBPが所有していた油田を国有化した。1976年、サウジアラビアでの原油採掘を独占してきた、アラムコの大株主であった、エクソン、モービル、テキサコ、シェブロンの4社はサウジアラビア政府に株式を譲渡。ここに、セブン・シスターズによる石油支配は終わりを告げた。

下図のように1949年セブンシスターズの生産量シェアは4割を占めていたが、今や旧セブンシスターズのシェアはすでに3%といわれ、米石油メジャーの支配力はかつての比べ物にならないほど弱体化している。旧メジャーが所有する枯渇した古ガス田や古油田をこのまま持っていても先は見えない。そこで、シェールを国家的に宣伝しまくって、世界中から投資を集め、採掘権や施設の高値での売却が目的だったと考えるのが妥当だろう。


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さらに、調べると技術革新と言われる「水圧破砕」技術は、ブッシュ時代の副大統領であるチェイニーが経営するハリバートンが多くの技術開発をして、シェールバブルの裏の立役者となっていることも非常に胡散臭さい。ロックフェラーが仕掛けた国家ぐるみの詐欺であることは間違いない。


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シェールガスは、昔から米国で採掘が試みられていたが、採掘コストが高く不採算とされていきた。今の爆発的な拡大を引き起こしたのは、05年に米議会がシェールガス採掘に必要な「水圧破砕」をめぐる規制や許認可を米環境庁の管轄から外し、石油ガス会社が自由にシェールガスを採掘できるようにしたことだ。シェールガスを掘る際は、縦に下に向けてドリルして行き、頁岩層にあたったら、地層に沿って横に掘削して石油ガスのありかを探る。このとき頁岩層を掘るのに、ガスを出やすくする特殊な化学物質を混ぜた水を高圧で地層にぶつけて掘っていく水圧破砕を行う。どんな化学物質を混ぜているかは企業秘密だが、周辺の地下水に化学物質が混じるため、安全性に疑問がある。環境庁の管轄から外すことで、安全性を無視してシェールガス開発がやれるようになった。

水圧破砕などシェールガス採掘をめぐる技術を多く持っている米企業の一つにハリバートンがある。同社は以前、ブッシュ政権のチェイニー副大統領が経営していた。チェイニーは元下院議員で、議会への根回しが得意だ。米議会が05年に水圧破砕を「自由化」した時、チェイニーは副大統領だった。05年の法改定は「ハリバートンの抜け穴(Halliburton Loophole)」と呼ばれている。ハリバートンの利益のために、地下水汚染をめぐる水圧破砕の規制が取り払われ、シェールガスの開発が急拡大した結果、08年ごろからガス生産が増加した。

シェールガスのバブル崩壊より引用

 

■ロシア・ベネズエラなど反米国家への経済制裁
古いガス井・オイル井を高値で売り飛ばすだけではない。シェールガスやシェールオイルの生産量が増えるにつれて、天然ガスや原油の取引価格が低下をもたらしている。ここ4ヶ月で1バレル104ドルから77ドルに3割弱も下落した。通常、石油価格が下落し始めると、世界最大の産油国であるサウジが生産量調整を行い、価格を維持する機能を担ってきた。しかし、この夏の下落に対しては、生産量調整を行わなかったため、下落が止まらず3割弱の下落にまでいたっている。

一般的には、アメリカの採掘コストの高いシェールオイルをつぶすために、サウジを中心とする中東諸国がアメリカに「価格競争」の道を選んだといわれる。つまり、原油の価格が低下すれば、採掘コストの高いアメリカのシェールは撤退せざるを得なくなる。中東諸国は耐力戦を仕掛けているのだ、と。。。

しかし、親米国家のサウジアラビアがアメリカの邪魔をするのは解せない。とすると、原油価格が下落すると世界第2の産油国であるロシアや、4位の中国、ベネズエラへの経済的に圧力を掛けることが真の目的だったのではないか?ロシアやベネズエラなど資源国家ほど、資源価格が急落することは経済的な混乱を招きやすい。従って、今回の原油・天然ガスの下落は、シェールの増産にかこつけて、米金貸しロックフェラーと親米国家であるサウジアラビアが結託し、原油や天然ガスの価格を下落させ、ロシアや中国、ベネズエラへの牽制だったと考えられる。

そこにきて、駄目押しのロックフェラー家の化石燃料投資からの撤退宣言をこの時期に行うことで、世界的な原油価格の下落を加速させたと考えるとすべての辻褄があってくる。

つまり、ロックフェラーは端からシェールに再起を掛けているわけではなく、シェールバブルで古いガス田・油田をを高値で売り飛ばし、中小業者たちをたきつけて生産量を増産させ資源価格を下落、さらに親米国家のサウジに価格調整しないように吹き込んでおき、追い討ちを掛けるようにロックフェラー家の化石燃料撤退宣言、という3段階にわたる反米国への経済制裁を仕組んだと考えられる。

彼らは化石燃料への投資撤退宣言と同時に、クリーンエネルギーへの投資を宣言しているように、将来的に化石燃料は衰退するとすると、必ず次の一手=次世代エネルギーを考えているはずである。そのエネルギーとは何か?次回の投稿で明らかにしていきたい。

List    投稿者 tasog | 2014-11-12 | Posted in 02.日本の金貸したち, 08.金融資本家の戦略No Comments » 

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