2013-10-22

【幕末維新の代理人】代理人認定#9 岩崎弥太郎 第3回 国賊への道を歩み始めた三菱

幕末明治の混乱期に、巨大な資本を手にした三菱。その後、戦争がある度に大儲けし、日本有数の財閥へと成長を遂げる。現在においても、防衛庁予算の1/3を引き受ける日本最大の軍事産業グループであり、政府(特に自民党)との密接な関係により、数々の優遇措置を受け続けている。政府と三菱の、癒着の歴史を、引き続き追いかける。
 
%E5%BC%A5%E5%A4%AA%E9%83%8E%E9%8A%85%E5%83%8F1.gif
岩崎弥太郎銅像

にほんブログ村 経済ブログへ


 
前回までの記事
【幕末維新の代理人】代理人認定#7 岩崎弥太郎 金貸しの間接統治者 三菱を創った男
【幕末維新の代理人】代理人認定#8 岩崎弥太郎 三菱の礎 いろは丸沈没事件の謎
 
いろは丸事件では、流行歌で世論操作を行い、紀州藩から多額の賠償金を勝ち取った。その後、坂本龍馬は暗殺され、賠償金を始めとする土佐商会の資金は、岩崎弥太郎が采配を握ることになる。今日はその後の話。
 
◆官との癒着 払い下げとなった軍艦で大儲け

明治新政府は藩営事業を禁止しようとしていた。足を中央に抑えられては、これから飛躍しようとしている土佐人の立場は脆弱なものになる。藩の事業が禁止される前に私商社を立ち上げ海運事業を引き継がせてしまおう。そうすれば、少なくとも高知・神戸航路は引き続き確保出来る。林有造ら土佐藩首脳はそう考えた。翌年10月、土佐藩士たちにより、九十九商会が設立された。藩の立場から事業を監督するのが弥太郎だった。藩船3隻も九十九商会に払い下げられた。

◆インサイダーの走り 藩札買い占め

最初に弥太郎が巨利を得るのは、維新政府が樹立され全国統一貨幣制度に乗り出した時のことで、各藩が発行していた藩札を新政府が買い上げることを事前にキャッチした弥太郎は、十万両の資金を都合して藩札を大量に買占め、それを新政府に買い取らせて莫大な利益を得る。この情報を流したのは新政府の高官となっていた後藤象二郎であるが、いわば弥太郎は最初から、政商として暗躍した。今でいうインサイダー取引である。

 
%E5%9C%9F%E4%BD%90%E8%97%A9%E5%A3%AB.jpg
 
要するに上級藩士と協力して、藩(公)から民(私)へと資産を移動させ、国(幕府)や地方(藩)の資産を、自分達で使えるように手を打ったということ。その巨額資産が三菱の礎となった。弥太郎ばかりが取り上げられるが、彼のような地下浪人を使い、民営化(実質は国力の私有化)を進めた、林有造や後藤象二郎のような上級藩士もたくさんいた。
 
◆市場は国家の寄生虫

市場は国家の寄生虫として拡大してきた。市場が国家の寄生虫であるということは、市場は国力の枠内(or国家の統合の枠組みの中)でしか成長できないはずである。しかし、事実はそうではない。時として、国家は無謀なる争いを繰り返し、国力を衰弱させるが、それに乗じて市場は成長していく。(十字軍しかり、現在のアメリカしかり・・)
 
それは、商人たちが金貸しとして、国家に戦争をするようにそそのかし、国家相手に金を貸し、骨の髄まで国家から財を奪い取っていったからに他ならない。彼らは、戦争や革命をそそのかしては、武器を売り、金を貸し成長してきた。本物の金貸しは庶民相手に金を貸すなどというちっぽけな商売をする連中のことではない。『金貸しは国家を相手に金を貸す』この仕掛けこそが、金貸しの存在構造であり、市場拡大の秘密である。

大儲けするには、国家の富をいかに奪い取るか考えることが近道。弥太郎は「私勝公劣(私の利益が公の利益に勝る)」という思想の持ち主であり、さらには、グラバーなど西洋金貸しにより調教された武器商人(群雄双方に武器を調達し漁夫の利を得る商売)でもある。国益を二の次にする弥太郎のような輩に国の資本力を持たせてしまった。三菱の資金は、その後、台湾出兵や西南戦争の資金源となり、2度の大戦の原動力にもなっている。
 
三菱に限らず、国民、国家の財産を奪い取る組織は、現在でも数多く存在する。三菱のように、彼らは政府中枢に人脈を持ち合法的に奪い取る。結果、国民負担だけが膨らみ、国は荒んでいく。国家略奪の大罪を成す国賊の利権構造を、歴史を紐解きながら明るみにしていく。

List    投稿者 tani | 2013-10-22 | Posted in 02.日本の金貸したちNo Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2013/10/2062.html/trackback


Comment



Comment