2007-09-22

NY原油一時84ドル台最高値更新・いよいよ我国の出番

>20日のNY原油先物相場は、メキシコ湾岸での悪天候による供給不安などを受けて急伸、指標である米国産標準油種の10月渡しが一時、1バレル=84.10ドルと初めて84ドル台に乗せ、取引中の史上最高値を7営業日連続で更新した。終値は前日比1.39ドル高の83.32ドルで、終値ベースの最高値も更新した。( 9月21日10時22分配信 毎日新聞)
前回8月初旬の原油価格高騰の折りにも感じたことではあるが、今回も一連の価格動向を見ていると同じような想いがしてくる。何故か、凡そ実需とは無関係なところで原油価格だけが、一部特定の人たちの思惑通りに踊らされているように思えてならない。
図13.原油価格の推移(2003〜2007年)
TWI002.jpg    
今回の動向を受けて、JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)のHPに今後の見通し含め示唆に富んだレポート(石油・天然ガス調査グループ:野神隆之氏)があるので一部を紹介したい。

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4.今後の見通し

市場ファンダメンタルズ上は、米国ドライブシーズン終了に伴うガソリン需要期の終了、平年を上回る原油在庫、平年並みの留出油在庫、IEAによる2007年第三四半期及び第四四半期の世界石油需要の下方修正(それぞれ日量41万バレル、25万バレル)と7月のOECD在庫の増大、OPECの日量50万バレルの増産、限定的なハリケーン等の石油関連施設への影響に加えて、米国の住宅市場が依然として不振であることや非農業部門の雇用者が2007年8月には減少したこと、といったように、そのまま解釈すれば、原油価格を上昇させる方向には作用しないような要因が存在する。

しかしながら市場は、例えば原油在庫は平年を上回っているが減少しており、IEAは世界石油需要を下方修正したが、依然として堅調な予測となっており、OPECの増産は量が少ないしタイミングも遅い、といったように解釈し、その結果原油価格は上昇している。

なお、米国原油先物市場の状況を見てみると7月31日〜8月1日の原油価格高騰時には、非当業者(投機目的で原油売買を行う業者)の原油先物買い越しが記録的な水準に達したのに対し、今回の原油価格高騰時においては、非当業者の買い越しはそのときほどの状況ではない(図17参照)。

従って非当業者に加え当業者(実際の原油の売買を行う業者であるが、一部投資銀行の中には精油所等を保有していることから、当業者として登録されているものがある他、一部石油会社の中には投機的な動きをするところもあるとされる)が投機的な取引を行っていることが疑われる。

中略

また、今後の米国経済の状況に関する指標の発表や、米国政府の利下げの動きでの見通しが市場にあり、実際に利下げされると資金の流動性が高まることから、商品市場に資金が流入し価格が上昇するものとの予想のもと、それを見越して原油をはじめとして、金や、小麦及び大豆といった農産物等の価格が上昇している、と見る向きもある(図18参照)。〜以下省略

図17.NYMEX原油市場における投機筋の動き(2006〜2007年)
TWI003.jpg

図18.商品と株式相場の推移(2007年8月1日=100)
TWI004.jpg

以上のレポートからも明らかなように、原油価格を含めた市場の動向は全てが投機筋の思惑に左右されていることが解る。特に9月の原油価格高騰では非当業者に加え、当業者自身が投機的な動きを強めたのである。
また、先日グリーンスパン前FRB議長が、イラク戦開戦の真の目的が石油であったことを暴露した。アメリカの石油会社は世界の石油利権を押さえ、その上で投機市場から利益を生み出している。
今後とも、原油価格は投機的な動きに踊らされることが予想されるが、大事なことは我が国自身が踊ら
されて国益を損なうことのないようにすることである。
我が国では1990年以降石油の消費量は日量530万バレル前後で推移(1990年:530万バレル、1995年:578万バレル、2000年:558万バレル、2005年:536万バレル)しており、我が国が長年取り組んできた省エネ技術の成果であり、消費量を減らしている。

この点は自信をもって世界に誇れる点であり、言い換えれば世界の国々を指導してゆく責任も併せ持っていると言うことでもある。
引用先

List    投稿者 aruih | 2007-09-22 | Posted in 06.現物市場の舞台裏4 Comments » 

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コメント4件

 kuririnn | 2007.11.14 0:05

日本におけるエネルギーに関する税は、そもそもその成り立ちが、環境配慮ではないんで、その使途は当然エネルギー消費を促進する方向にあるんだと思います。
環境税の導入がどうなっていくか注目したいところですね!

 このブログ応援団! | 2007.11.14 6:27

shijimiさん、早速の書き込みありがとうございます。
>ドイツでは、国内の石炭産業に配慮して石炭を非課税にした。
ドイツは環境政策が緑の党などのおかげで、進んできていますが、石炭業界(もしくは労使)が強く、そこに切り込んでいけていないと聞いています。(今はどうかはしりませんが・・)
一方日本では、道路族やトヨタ率いる(?)経団連が強烈な炭素税反対や道路財源一般化反対で日本の環境政策を邪魔していますよね。。また、道路整備だけでなく空港整備にも使われているのですね。その財源が、トヨタ空港(名古屋空港)につかわれているとするとさらに納得です(笑)
http://news.tbs.co.jp/20071107/newseye/tbs_newseye3701665.html
さらなる分析を期待しています♪応援しています♪

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