2011-01-24

ゴールドの真相に迫る21〜各国の金保有量と動向(金保有量推移グラフ付)〜

これまでの投稿では、金の基礎知識、歴史、闇の領域について書籍分析を行ってきた。
 
次回の投稿では、シリーズの目的であった、世界の金はどのくらいあり、誰が何のために使おうとしているのかについて明らかにしていきたい。
まとめの前に、最後の分析として、WGC(World Gold Council)より公表されている、各国(中央銀行・国際機関含む)の金保有量の推移(戦後から現在まで)を確認し、各国の動向を押さえておきたい。
 

WGC.jpg

WGC(World Gold Council)のHPの表紙

 
 
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■世界各国の金保有量の推移(1948年〜2008年)
WGC(World Gold Council)の資料をもとに、世界各国の公的金保有量の推移グラフを作成した。
上段のグラフが、World(世界の総公的保有量)、EU、IMFなど公的機関、アメリカを含んだものである。
下段のグラフが、各国の金保有量(アメリカ除く)の推移である。
なお、対象国はG20など主要24カ国。
 
元資料(excelデータ)ページはこちらから
資料はこちらからダウンロードできます
 
■各国の金保有量推移(世界総量・EUなど公的機関・アメリカ含む)
  (1948年〜2008年)


 
■各国の金保有量推移(アメリカ除く主要国)
  (1948年〜2008年)


 
1.戦後、金はアメリカへの一極集中から欧州へと移る(戦後〜70年)
第二次世界大戦直後、世界各国の金保有量は約30,000tであった。戦争で国力も財政も疲弊しきった欧州に対し、財政が潤沢だった米国に全世界の金保有の70%以上(約22,000t)が集中した。かくして、米国一極支配=ブレトン・ウッズ体制(金・ドル本位制)が実現した。
 
しかし戦後〜70年にかけ、米国による膨大な輸入と対外投資を続けた結果、約20年間で60%(14,000t)の金が流出した。一方で他国は経済復興を遂げつつあり、金保有高を増やしていった。
とりわけ欧州圏の増加は著しく、60年後半にはほぼゼロから13,000tまで増加した。
グラフからも、EU圏の金増加と米国の金減少に相関関係が見られ、米国の金の多くが欧州に流れ込んでいった。ことが分かる。
 
 
2.基軸通貨体制の崩壊と欧州における通貨制度確立(70年〜99年)
1971年、ニクソン大統領によりドルの金兌換が停止され、米国の金流出は止まり、以降、現在まで8,000tを推移している。
また、これまで全世界の金保有量は増加し続けていたが、、70年に下降に転じ、65年のピークから7,000t減少し、約30,000tにまで減少し、今もなお減少基調である。
 
78年、欧州圏では単一通貨(ユーロ)設立のために、EMS(欧州通貨制度)が発足し、ドイツ、フランス、イタリアなどの金の一部(約600t/国)がEMS(その後、EMI)に預けられる。99年、ユーロ導入と同時に、EMS(EMI)の金は各国へ返還される。
 
 
3.金保有量下降の時代(00年〜現在)
99年以降、ユーロが生まれた欧州圏では、以降、金が流出し始める。ヨーロッパから10年間で、4,000tもの金が流出しており、全世界の金減少量は5,000tであるから、流出した金の8割は欧州の金である。特に、スイス(準金本位制)では10年で1,500tもの金を流出している。
 
そして00年以降新たな動きが見られるのは、アジア圏であり、とりわけ中国とロシアとインドのBRICsである。
中国は00年前後に200t、2010年に突然400t増加させている。ロシアも、2005年以降50t/年、着実に金保有量を増加させている。インドは、2010年に200tもの金を大量に購入している。
 
この動きを見ると、欧州勢力の力が弱体化し、アジアに金が移ったように見えるが、欧州圏が金を手放したことを意味しないだろう。
なぜなら、シリーズ4にも示したとおり、90年代後半からロスチャイルド(欧州勢)は、ロックフェラーから鉱山会社を奪還しており、金獲得の動きが見られる。
あるいは、シリーズ16〜20においても、欧州勢(イギリス、バチカン、スイス)に金が集中していると考えられる。

・シリーズ4:2000年以降、ロスチャがロックの会社をのっとる、あるいは、ロスチャ系の企業に手を出そうとするロックに対して反撃を試みるなど、一気にロスチャイルド優勢となっている。
・シリーズ17:世界の金塊マネーを実効支配している国家と連邦諸国が仰いでいるのは「ゆり」の花の女王陛下のイギリスなのだ。
・シリーズ19:スイス、イギリス、バチカンに大量の金がある
・シリーズ20:ゴールドの市場を裏で完全に操っている“仕掛け人”は、ロスチャイルドと金融エリート集団だということだ。

グラフからも、99年以降、欧州圏の各国が見事に一致した動きで金の保有量を減らしており、その背景で何らかの力が働いていると見られる。
 
つまり、2000年以降から10年間で流出したと見える金4,000tは、欧州勢が次の段階に移ったことを意味しているのではないだろうか。
 
 
4.まとめ
金の大きな動きをまとめると、戦後アメリカが保有していた金の60%(14,000t)が70年までに欧州に流れた。70年〜00年は、ニクソンショック、ユーロ設立準備など、一時動きは鎮静化する。そして、00年以降、欧州の金4,000tが流出する動きが見られ、そして一方でアジア各国が金を集め始めている。
 
フォーカスするべきは、00年以降新たな動きに移ったであろう欧州勢(ロスチャイルド勢)と、力をつけてきたアジア圏(中国、ロシア、インド)だ。
 
 
いよいよ次回、シリーズの最終エントリーとして、これまで書いてきたゴールドの基礎知識や歴史も踏まえ、闇に迫った各書籍の内容を吟味することで、ゴールドの真相と今後の展開について、本ブログなりの仮説を立ててみたい。

List    投稿者 hasihir | 2011-01-24 | Posted in 06.現物市場の舞台裏, 07.新・世界秩序とは?11 Comments » 

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コメント11件

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