2010-12-05

ゴールドの真相に迫る15 巨大国家:中国の動き

前回は豊島逸夫著「金を通して世界を読む」から、各国の金(ゴールド)事情を調べ、今後の世界の動向を探ってきた。2009年、ドルへの信用不安を背景に各国中央銀行が一斉に売り姿勢から買い姿勢に転じたのであるが、とりわけ中国は精力的に金を買い増し、着々と保有高を増加させていた。
今回は亀井幸一郎著『純金争奪時代』の「第3章 金が示す世界経済転換の兆候」から、ますます勢力を強め、世界の注目の的である巨大国家、”中国”の状況を紹介してみたい。

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■存在感を増す中国
今や世界経済は中国頼みの様相すら呈しているが、金の世界でもその存在感を増している。2007年には産出大国と言われた南アフリカを抜いて世界一の金産出国となった。一方で宝飾需要など実需でも中国はインドと世界一を競っている。
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また、貿易などで得た外貨準備は2009年末で約2兆3991億ドルと前年度比で約23%も増加している。2位は日本の約1兆500万ドルだが、前年度比243万ドルの減少であり、まさに中国の1人勝ち状態と言える。そして外貨準備の7割がアメリカ国債を中心としたドル資産である為に、今やアメリカも頭が上がらないのである。
■まだまだ金を買い増す中国

近年の中国は金の保有残高を増やすことに熱心で、2001年、2002年に100トンずつ金を積み増して合計600トンと公表していた。しかし先に挙げたように、水面下ではさらに国内生産分や国内で換金された金の買い取りを続け、2009年4月に突如454トンの金の保有残高増を発表し、中国人民銀行が保有する残高は合わせて1054トンになった

それでも中国の外貨準備に占める金比率は2%以下でしかない。欧州先進国(ドイツ、イタリア、フランス)が外貨準備の60%以上を金で保有している事から考えると異常に少ない数字である。アメリカの先行き不安、ドル信用不安が続く限り、今後さらに中国は金を買い増す行動に出る可能性が高い。但し、ドル資産を売ると市場でのドル安を招く事になり、結局中国が保有するドル資産の価値を下げてしまうジレンマを抱えている。 😥
また中央銀行以外でも政府系ファンド(CIC=中国投資公司)を使って金ETF(SPDRゴールド・シェアー)を約175億円分取得するなど、金市場への参入の動きを見せている。さらに中国工商銀行が先頭に立って国内の個人投資家へ(富裕層のみならず中間層へも)金関連商品を提供し、国内金市場の拡大を目論む動きも見られる。この動きは国内にだぶつく個人マネーを不動産投資から金購入に向わせることで、インフレ率を抑える狙いもあるようだ。
では中国が官民ともに、このように金を買い集める真の狙いは何なのか? 🙄
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        中国投資公司                  中国工商銀行
■人民元の基軸通貨化を目指す
先述したように中国の外貨準備に対する金の保有比率(1.5〜1.6%)は西欧諸国に比べて見劣りするが、中国がこれほどまでに金にこだわる理由は別にあるようだ。それはズバリ「人民元」の国際デビューへ向けての下準備である。現在、人民元はドルやユーロ、円のように世界の為替市場で売買されている訳ではない。2010年2月時点で1ドル=6.8元と固定されており、対中貿易赤字に苦しむ欧米諸国は、元相場の固定は実態にそぐわず人民元は過小評価されていると批判し、中国に人民元切り上げの圧力をかけ続けている。そこで中国政府は人民元がやがて国際デビューする時に備えて、基軸通貨の地位をドルやユーロと対抗するのに相応しい量の金を保有しておきたいという判断が働いていると見るべきだろう。人民元の国際的な通貨信用の裏付けとして、金(ゴールド)がせっせと溜め込まれているという訳である。
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前2回「金を通して世界を見る」から見てきたように、世界各国は金を買い集め始めている。そして中国のように通貨体制を変えていこうとする動きもある事が今回わかった。しかし、今後の世界の動きを見極めていくには、表面の世界だけを見るだけでは不十分である。
実は金には裏側の世界もあって、その知られざる実状がいくつかの書籍で紹介されている。そしてこの裏の世界を仕切る国際金融資本(闇の勢力)が金(ゴールド)を巡ってこれまで何をしてきたのか?さらにこれから何をしようとしているのか?をいくつかの書籍から読み解き、次から数回に亘って明らかにしていく事を試みる。

List    投稿者 iemura | 2010-12-05 | Posted in 06.現物市場の舞台裏, 08.金融資本家の戦略3 Comments » 

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コメント3件

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