2008-09-12

エネルギー経済4 ウランの価格決定はどうなってる?

ウラン価格の決まり方と現状石油の値段はピークより少し下がったとはいえ、相変わらず100ドル/ba台に留まっています。
石油に代わる現実的な代替エネルギー燃料として速攻的に有力なのは、LNGとウラン(原子力)でしょう。
原油価格は「エネルギー経済3」で見たように、現在はNYマーカンタイル市場のWTI価格に連動して決定されています。
ここでは、原油高騰を受けて世界各国で大量に建設が予定されている原子力発電所のエネルギー源であるウランの価格はどこで決定されているのかをみました。
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出典は「2007年のウラン市場を概観して」日本原子力開発機構 小林孝男
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○The Ux Consulting(UxC)によると、西側世界のウラン購入契約量は8〜9割は長期契約(2年以上)で占められており、残り1〜2割がスポット契約となっている。
○長期契約の購入者は全てが電力事業者であるのに対し、スポット契約者は電力事業者以外に生産者、トレーダー、投資家である。
○2004年以降は長期・スポットとも約8割が相対取引である「off market」で取引され、残り2割りが公開市場である「on market」で取引される
○公開指標の中には、スポット価格以外にlong term price「LT価格」がある。LT価格とは、長期契約(主電気事業者が行う契約)の価格に占める固定分の価格指標を意味する。
長期契約の購入価格は固定価格とウラン引渡し時の市場価格の組み合わせで構成されている
両社の比率は売り手と買い手の駆け引きで決まる。○図は西側世界のウラン購入量の推移
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2003年以前は10$程度であった固定価格が2005年以降95ドルまで上昇した。
将来の燃料手当てを行っていなかった電力事業者が調達戦略の見直しを余儀無くされた結果と思われる
●ウラン先物取引
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以上引用終わり
※ウラン先物市場は市場取引が始まって1年程度ということで、まだまだ取引量が長期契約に比べて3%未満(約200tU)と規模が小さい。
従っていまのところ、取引価格に大きな影響を与えるまでには到っていない。
現状ではスポット価格に追随して変動している。
しかし、今後石油価格が高止まりし、かつ世界の原子力発電所の建設が本格的になれば、ウランの需要が右肩上がりになることが予測され、それをにらんで投機筋が乗込んでくることもありうる。
ウランは石油ほど人々の生活に利用される範囲が広くはないが、原子力発電計画が世界で目白押しであり、生活の基礎となる電力(発電)に占める比率は今後どんどん高まると思われる。
ウランの価格動向にも目が離せません。

List    投稿者 ryujin | 2008-09-12 | Posted in 06.現物市場の舞台裏No Comments » 

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