迫りくる大暴落と戦争刺激経済-13~今回の大暴落は中国が仕掛けた!~
今回は、直近の気になるNY株価大暴落について扱います。
今年の2月5日の1175.21ドル安で始まったアメリカニューヨーク株式市場の大暴落は、10月に第2波、12月24日のクリスマスイブに653ドル安の第3波で、今年1月に2万6000ドル余りあった株価が2万2000ドルを割るところまで下落している。
この暴落の原因は何か?いろいろな情報をかき集めると、背後には中国の政府系ファンドによる、アメリカ国債やIT関連銘柄、ハイテク株などの大量の売りであるという。(リンク)
直接的には、通称FAANGと言われる米国代表のフェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフリックス、グーグルのいわゆる巨大IT企業の株が大量に売られたこととなっており、実際この10月までの8ヶ月間30億ドル(約30兆円)の損失が計上されている。
このIT企業株価下落の理由は、アップルショックと言われる「中国がマイクロチップ使ってアマゾンやアップルにハッキング」したというニュースをブルームバーグがレポートしたことから始まる。(リンク)
世界の携帯電話の75%、パソコンの90%は中国で製造されているとの見積もあるとおり、コンピューターの部品の多くは中国で製造されている。その製造過程で米粒大のチップを装着したというもの。それがCIAや軍事関連の最高機密情報にも深く関係しているとのことで、情報関係者の間に衝撃が走った。IT企業は否定しているが、一部の関係者は認めている。(リンク)巷ではこのマイクロチップは「スパイチップ」と呼ばれている。
また、5~6年前から中国は次世代モバイル通信:5Gに力を入れ、今やこの分野では中国が最先端(4Gまではアメリカだった)。世界各国は中国を警戒し始めた。
中国は2016年にドイツの半導体企業の買収に動いたり(9月に合意したものの10月にはオバマ大統領によって阻止された)(リンク)、ロボット企業の買収したり(リンク)、ものすごい勢いで5G分野の支配に動いている。
それに対し、アメリカを中心にそれを阻止する動きも顕在化してきた。驚くべきは、FIVE EYES(ファイブ・アイズ)といわれるアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのスパイ同盟(※)が中国締め出しを表明したこと。
そして、今年の8月13日に中国技術企業5社への締め付け強化を盛り込んだ2019年度米国防法権限法(NDAA2019)を可決したこと。
同法には、中国政府が管理あるいは強く関与しているファーウェイ、ZTEのほか、監視カメラ大手の杭州海健威視数字(ハイクビジョン)、浙江大華(ダーファ)、海能達通信(ハイテラ)5社の名前が名指しされている。2020年8月以降、米国あるいは外国企業問わず在米の全企業は、5社の製品を社内で使っていれば米政府機関といかなる取引もできなくなる。
さらに10月12日には、ファイブ・アイズの5カ国に加え、日本とドイツ、そしてフランスの諜報当局は協働して中国共産党の対外浸透工作について調査することで意見を一致させていると報じた。(リンク)
完全なる中国包囲網である。驚くべきは、これまで頑なに排他的であったファイブ・アイズが、8カ国に拡大したことだろう。それほど中国の脅威は高まっている。
※ファイブ・アイズは長い間秘密協定であったが、2015年のウィキリークスでその存在が暴露され公に。アメリカ以外の共通項は君主がイギリスエリザベス二世であること。(アメリカは、言わずもがなワシントンD.C.がイギリスの出先機関である。)
先日のファーウェイ事件はまさにその象徴。元中国人民開放軍の父を持つ孟晩舟CFO逮捕が大きく報じられた。この12月6日には、日本では米軍機が墜落し、ソフトバンクの通信障害が発生した。同様の通信障害は英国でも起こっており、その原因を探ると共通点がうっすら見えてきそうだ…。
そして、アルゼンチン・ブエノスアイレスで、トランプ大統領と習近平国家主席が、米中首脳会談を行ったのが、12月1日。何か深い因果関係がありそう。
先回の記事では、中国の穀物先物市場、石油先物市場、金市場などへの参入や拡大などについて紹介しました。
そして今回は株式市場も中国の仕掛けということが分かりました。となると、ロボット・トレーディングによる株式市場も中国が支配しているということになります。
そうなると、もはや市場経済は機械:AIが行う実態のないスピード勝負の世界ということになります。この世界に何の価値があるのか?全く分からない世界になってしまっています。
今後は、この訳の分からない世界からの脱却が進んでいき、生きている実感に繋がる価値を求める方向に向かっていくのではないか?と思います。
当面は、中国包囲網と思われるこの“新冷戦”の動きに着目していきたいと思います。今回は登場しませんでしたが、ロシアはこの動きに対してどうするのか?も気になります。
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