2013-06-14

新たなバブルが始まった?(6)外国人投資家の正体とは?

日経平均株価は2012年11月の8500円以降、2013年5月に1万5000円を突破するまで右肩上がり。しかし、ここにきて乱高下が激しくなっています。

ネットやニュースでは”ヘッジ・ファンド”、”外国人投資家”が関係している、と話題になっています。実際のところどうなんでしょう?
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今回の株価の動きは大きく見ると以下のようになります。
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日銀が金融緩和で市場にお金をジャブジャブ注ぎ込む
↓↓
★【金余り】⇒株に向かい【株高】
↑↑
FRBが金融緩和で市場にお金をジャブジャブ注ぎ込む
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引き金は日米中央銀行が異常な金融緩和による【金余り】ですが、注目すべきは、昨年11月から日本人投資家が株を買い越した月がないこと。つまり日本株を買い越しているのは外国人投資家ということです。外国人買い越し額は4月に2兆6800億円と過去最高を更新し、7ヶ月の累積で10兆円を超えています。

そこで今回は、荒い相場を引き起こしている外国人投資家に焦点をあててみたいと思います。

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■拡大する『金余り』
日本のバブル状況には、ワールドダラーが大きく影響しています。ワールドダラーとは、米国の中央銀行である米連邦準備理事会(FRB)が米国内に供給するベースマネーと、米国以外の国が外貨準備として保有するドルを足し合わせたもの。世界に流通するドルの量と解釈しても差し支えありません。
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FRBの量的緩和措置はQE1,QE2,QE3と断続的に続いており、2012年の一年間で100兆円ものドルを増発して400兆円にもなり、2013年には600兆円にも膨らんでいます。この600兆円のワールドダラーを運用しているのがヘッジ・ファンドと投資銀行なのです。(ワールドダラーは金融機関に溜まるため、運用して金利を稼ぐ必要がある。)その動きにより世界の株価、債券価格、金利、資源や金価格の相場に大きな影響を与えています。
多額のワールドダラーを運用しているヘッジ・ファンドや投資銀行が
・『投機対象』としたものはバブル的に上がり
・利益が確定し別の対象に逃げたとき短期で暴落する

のです。
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■外国人投資家の正体
外国人投資家(≒ヘッジファンド)の目的は儲けること、この1点のみ。株価や金、債券の相場が上がろうが下がろうが関係ありません。ちなみに著名投資家のジョージ・ソロスは今回の円安で1000億円を儲けたとネットで宣伝しています。これは一般投資家を呼び込む意図が透けて見えますが・・・。運用額は年々増え続け200兆円を超えています(ゴールドマンサックス等の投資銀行は除いて、です)。
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彼らは金融工学、コンピューター(1/1000秒単位で取引)を駆使して超高速取引を行っています。僅少な収益を高速かつ高い頻度の取引で積み上げるのが特徴とされています。

■アルゴリズム取引執行方法、売買積極度、市場参加率、価格の上限下限、執行時間などを、取引システムに入力・設定すると、最適な発注数量、価格、タイミングなどをシステムが自動で判断して、売買を行う。米国では機関投資家の売買の4割を占める。
■HFT(High Frequency Trading)売買の高速化を究極的に追求した取引で、スピードの速さを収益の源泉とする取引。この取引は人間の主体的な判断によらず、プログラムに基づいてコンピューターが自動的に行う。
米国で4月23日、ハッカーがAP通信のツイッター上に「ホワイトハウスで爆発があり、オバマ大統領が負傷」との偽りの情報を流したことにより、主要な株価指数が数秒で1%下落した。数秒での下落にはHTF取引が影響したと見られる。

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また、意図的に価格の歪みを短期的に発生させて収益を得る投資行動には以下の手法があります。

【クオートスタッフィング】莫大な注文とキャンセルを短時間に継続的に行い、実勢と異なる市場データを流布して取引を誘引する
【レイヤリング】多くの買い(売り)の指し値注文を出し、買い(売り)需要があると誤解させて高く売り抜ける(安く買う)
【モーメンタムイグニション】他の市場参加者を誘引して売買を仕向けて株価を動かし、先回りして構築したポジションや株価が回帰するタイミングを捉えたポジションで収益を得る

このように長期的な予測や分析によることなく確実に短期で利ざやを稼ぐ手法を構築しています。人間の主体的な判断によらず、プログラムにもとづいてコンピューターが自動的に行うため、市場が乱高下する要因となっています。外国人投資家の正体とは、高度にプログラミングされた超高速コンピューターなのです。
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■まとめ
ワールドダラーを運用している外国人投資家(≒ヘッジ・ファンド、投資銀行)が高度にプログラミングされた超高速コンピューターを駆使し、日本の株式市場を『投機対象』としたことで今回の右肩上がりのバブルや、最近の乱高下が引き起こされているのです。当然、日本の実体経済が回復したわけではありません。

彼らは投資(ギャンブル)を職業としているプロフェッショナルであり、個人投資家との実力差は歴然としています。家のパソコンで、株あがった、下がったと一喜一憂している個人投資家は彼らにとって鴨(かも)でしかないのです。

一方でこの間、日本人は株を売り続けていますので日本企業の株が外国人に急速にかつ大量に買われていることになります。昨年末の外国人の日本株保有額は約83兆円でしたが、今年に入り約9兆円買い越しているため92兆円以上の保有となっています。

このような投資ゲーム・ギャンブル市場は国家が規制しなければ、豊富な資金量をもつ外資に乗っ取られ、日本の産業が衰退していきます。産業を育てるより技術力のある優良企業を買収したほうが手っ取り早い。勤勉な日本人が働き、収益は株主である外国人がもっていく、そんな狙いが見えてくる。TPPの狙いも案外そのあたりかもしれません。しかし、投資ゲーム・ギャンブル市場を加速させたい安倍内閣の「アベノミクス」・・・なぜ?

次回は、この安倍内閣「アベノミクス」を背後で操っている勢力に迫っていきます。お楽しみに!
参考、引用:
週間エコノミスト『外国人投資家の正体』平塚崇(りそな銀行アセットメネジメント部)
投資の達人JAPAN「ヘッジファンドの起源と変遷」http://www.toushinotetsujin.com/
阿修羅「株 売却ブーム」http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/221.html

List    投稿者 mago | 2013-06-14 | Posted in 04.狙われる国の資産No Comments » 

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