2008-02-14

日本の基幹発電会社に対する買収攻勢、Jパワーを巡る動き

日本の主要水力発電所を所有する電源開発(㈱に対する、外資ファンドによる株式買い増し問題が勃発している。 
 
電源開発株式会社<通称、Jパワー>は、国策会社として設立され、全国に水力発電所59ヶ所、火力発電所6ヶ所を保有する特殊法人であった。発電電力は、東京電力、中部電力、関西電力などの電力会社に卸売りされる。また、電力会社間の過不足を調整する高圧送電線を保有している。 
 
電力供給を行う10電力会社を裏から支える日本の基幹発電会社である。 
 
この電源開発㈱が、電力産業の規制緩和・民営化促進の中で、03年に特殊法人を解消し、2004年10月に東証一部に上場し、完全民営会社となった。 
 
民営化に当たっては、電力会社が持っていた1/3の持分を含めて、公開売却を行い、完全民営化を行った。その為、政府出資はゼロ、主要ユーザーである電力会社も出資ゼロという会社になっている。 
 
電源開発は、完全民営化後、小規模発電分野への進出、海外事業への進出で、独自の動きを始めた。 
 
完全民営化により、世界的な電力・資源会社の再編成のターゲットになってしまった。
上場会社であり、株の買い増しを原理的には禁止できないので、最悪の場合は、外資が過半数を保有することもありうるのである。 
 
浮上したのは、電源開発の筆頭株主であり、株式の9.9%を保有する英国系ファンドが、20%までの買い増しを経済産業省に届け出たのである。
<電力会社の株式を10%を超えて保有する場合には、外為法で、事前届出を義務づけている。> 
 
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●外国ファンドのJパワー株買い増し審査 異例の延長通知
サンケイ・イザ2月13日
経済産業省は13日、電力卸のJパワー(電源開発)株式を20%に買い増すことを届け出ている英国系投資ファンド「ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスター・ファンド(TCI)」に対し、外国為替および外国貿易法(外為法)に基づく審査を最長で5月14日まで延長する方針を伝えた。外為法の審査は原則として届け出から30日以内に行うことになっており、13日が期限だった。エネルギー安全保障に対する懸念や、株式市場への影響に配慮し、判断を保留した格好だ。
審査期間の延長は極めて異例。経産省がTCIの届け出に対して変更や中止を求める場合、5月14日までに判断し、「関税・外国為替等審議会」の意見を聴いた上でTCIに勧告する。
TCIはJパワーの株式の9.9%を保有する筆頭株主。昨年6月の株主総会ではJパワーに対し増配を要求したが否決された。その後、役員選任も要求しており、今回の株式買い増しは今年の株主総会をにらんだ動きとみられる。出資比率引き上げは「経営権の支配にはならない」と主張するTCIに対し、経産省は電力の安定供給確保など「公の秩序の維持」に影響を与えないかどうかについて、さらに事情を聴く必要があると判断した。
甘利明経産相は昨年12月の会見でJパワーについて「日本の重要なインフラにかかわる企業。経営権を外資が握ることは想定していない」と発言しており、投資内容の変更や中止など外為法に基づく初の勧告に踏み込む可能性が高い。
しかし、米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題に端を発した金融不安により株式市場は低迷を続けている。経産省がTCIの買い増しを認めないとする勧告を出せば、日本市場の閉鎖性を嫌気した外国人投資家の日本株離れを加速させるとの指摘もある。

 
大株主の構成を見ると、トップ10の半数が既に外資系になっている。
 
●大株主<上位10名>平成19年9月30日段階

 株主名     所有株式数
 (千株)
所有比率
 (%)
ザ チルドレンズ インベストメント マスター ファンド  16,498  9.90
日本生命保険相互会社   9,120  5.48
株式会社みずほコーポレート銀行   8,269  4.96
ドイチェ バンク AG ロンドン 610   7,762  4.66
ザ チェース マンハッタン バンク NA ロンドン   4,248  2.55
株式会社三菱東京UFJ銀行   4,140  2.49
クレディ スイス セキュリティーズ(USA)LLC
スペシャル フォー エクセル ベネ
  3,907  2.35
大同生命保険株式会社   3,658  2.20
全国共済農業協同組合連合会   3,039  1.82
バンク オブ ニユーヨーク GCM
クライアント アカウンツ EISG
  3,024  1.82

 
 
上記の外資系5社の持株比率は、既に、21.28%に達している。 
 
もし、TCIが20%まで所有すると、上記5社で30%を超え、株主総会で、「重要事項」の否決権を持つ事ができ、電源開発への影響力の第一ステップを完了させる事となる。 
 
会社法の改正による三角合併の許可、特殊法人の民営化と上場により、益々、日本の国益・企業が外資の金儲けの草刈場となって行く。
 
 
空港管理会社への外資出資の禁止問題と合わせて、目が離せないのである。 
 

List    投稿者 leonrosa | 2008-02-14 | Posted in 04.狙われる国の資産3 Comments » 

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コメント3件

 金貸しは、国家を相手に金を貸す | 2008.06.28 0:12

シリーズ「どうする?市場の独占支配」4

  【第4回:資源メジャーの再編と独占④】     鉄鋼石の3大メジャーといえば、BHPビリトン社、リオ・ティント社、リオ・ドセ社(呼称ヴァーレ)。ちなみ…

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はじめまして。突然のコメント。失礼しました。

 keywords3 hermes bags | 2014.02.01 5:24

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