2013-09-18

金貸し、窮地の暴略 その6 〜TPPでの金貸しの思惑〜

【前回までの記事】
その1 〜ロックvsロスチャvs欧州貴族の覇権闘争史の再整理〜
その2 〜00年以降の金貸しの戦略と結果〜
その3 〜窮地に陥る必然構造
その4 〜金貸し支配を揺るがす勢力の台頭〜
その5 〜追い詰められた金貸しの今の目論見は?〜
 
 
中央銀行制度=国家収奪システムの限界を迎えた金貸しの思考の行き着く先は、おそらく「グローバル企業体が国家を凌駕する」新たな世界秩序の構築だろう。
近年、彼らが躍起になって各国へ参加を強要しているTPP(環太平洋経済連携協定)は、その序章である。
 
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写真はコチラからお借りしました。
 
 
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◆TPP問題の本質はISD条項
 
TPP(環太平洋経済連携協定)が与える具体的な経済効果として、関税を撤廃することにより商品取引市場の活性化が謳われている。当然、膨大な利益を上げる企業が出てくると思われるが、必ずしも関税撤廃が市場拡大に直結するとは限らない。売れれば拡大、売れなければ縮小という単純な売買構造は現状のままであり、金貸しからすればそんなものは所詮建前であり当たれば吉としか考えていない。
 
むしろ、議論すべきはISD条項の方である。
このISD条項には、「いかなる場合もその条項に抵触することは出来ない」という趣旨の内容が記されている。
TPP問題の本丸は、『国家の法律よりも上位の規定を創った』ところにある。
 
引用:
それは、加盟国の国内法が、協定に対応して自動的に変更されるといった条項が盛り込まれている点だった。そして、それを防ごうとすると、新たな条件をのまなければならないとされている点だ。
TPP体制は、ISD条項のみならず、これまでの国内法を意図的に乗り越えようとする空恐ろしい仕掛けが込められているのではないか。

「TPP、本当に怖いのはISD条項」
 
引用:
ISD条項というのは、「国家と投資家の間の紛争解決」という意味で、要するに企業などの投資家を保護するためのルールです。
たとえば、日本企業がTPP締結国で建てた工場などに対し、その国が急に法律を変えて没収されたりすれば日本企業は困る。なので日本企業はその国に対しISDを使って相手国に賠償金を求めることができます。
もし日本がTPPに参加すればISD条項を締結することになります。
たとえば、日本で遺伝子組み換え作物の表示義務を義務化している日本で、農業マフィアであるモンサントが不利益を被ったとして、世界銀行の投資紛争国際解決センターに日本を提訴する。そうするとどうなるのか? アメリカの手先である世界銀行はモンサント有利な判決を下すことになり、日本の遺伝子組み換え作物の表示義務化が覆されるということです。農業マフィアであるモンサントはTPPによって世界を支配することができるようになるのです。

「TPP問題の本丸は「ISD条項」 モンサントに牛耳られる日本」
 
ISD条項の存在が国家や国民に与える影響は計り知れない。企業利益だけが優先されるかたちで、人々の健康と生活を無視した商品(食品・医薬品・工業製品・金融商品等)などが蔓延し、今まで法により護られてきた安全と秩序が奪われることになる。
 
つまり、ISD条項とは、企業が商売上不都合な国家規制を取払い、国家を超えた自由な取引市場の構築を可能とするものなのである。金貸し傘下の企業群による国家支配の実現こそが彼らの真の目的とするところだろう。
(※TPPに参入するということは、このISD条項を飲むということと同義である。)
 
 
◆後戻りは出来ない、TPP蟻地獄。
 
ここで、もうひとつ重要なことを固定しておきたい。
それは、ラチェット規定の存在である。
ラチェットとは、一方にしか動かない爪歯車という意味であるが、その名の通り、いったん自由化が進展すればそれよりも「後退を許さない」という規定なのである。
TPPに加盟した国が過大にしすぎた市場に歯止めをかけようとも、それが許されないのだ。
専門家や政治家といった有識者でさえ「一度入ってみてダメなら撤退すればよい」と楽観的なことを言っているが、TPPにおいて「とりあえず」など論外なのである。
 
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◆はたして中国はTPPに参加するのか。 
 
引用:
生き残り戦略を模索する金貸したちにとって、当面のもう一つの難題が、前回記事にもある第3勢力の台頭にどう抗していくか、中でもロシアと中国、さらに絞れば、彼らとは全く異質な歴史・思想・価値観を持ち、13億の人口を擁する中国をどう攻略・支配するか、ではないか。
前回記事:「金貸し、窮地の暴略 その5〜追い詰められた金貸しの今の目論見は?〜」
 
TPP問題を取上げる上で注目しておくべきは、今後中国がTPPへ加盟するか否かである。
現在、アメリカが中国に対しTPPへの参加を要求しているが、人口規模世界一であるこの国を巻き込むことが課題としてあるようだ。
(※ここで注意したいのは、あくまでもアメリカは金貸しに操られた存在であり黒幕は金貸しであるということ、そして彼らは表世界には出てこない。ブッシュ元大統領やオバマ現大統領でさえ金貸しのひとつの駒に過ぎず、マスコミを使って政府の人間を巧みに演出or世論操作(染脳)することにより彼らに優位な収奪システムを構築してゆこうとしている。)
 
結論からいえば、中国はTPPに『参加』するだろう。
中国自身、自国の経済力をバックに、新たな国際秩序を構築するという野望を抱いる。
現に彼らはFTA(日中韓3カ国の自由貿易協定)の交渉を先行させようとしていたし、ここにきて上位の貿易相手国である日本がTPPに取り込まれようとしている状況は、相当の焦りを生むはずである。
 
引用:
アメリカが中国にTPPへの参加を働きかけた背景には、世界第2の経済大国を加えることで、巨大な自由貿易圏を築き上げ、自国の輸出拡大につなげる思惑があるものとみられます。これまでTPPについて、自国産業への打撃を懸念して「研究する」という対応にとどめてきた中国側が前向きな姿勢に転じた背景には、日本も交渉参加を決めるなか、中国抜きでアジア太平洋地域の貿易の自由化のルールが決められていくことへの危機感があるとみられます。
「中国がTPP参加を検討/アメリカ政府が中国に参加を働きかけていた」
 
仮に参入しない場合、中国以外の諸国は貿易の際に関税がかからないTPP加盟国同士での取引を主とするはずであり、また、安い人件費が売りの中国に乗り出て生産していた企業も他国への乗換えを視野に入れるだろう。
従って、輸出国である中国がTPP非参入によって痛手を被るのは必須なのである。
 
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◆国際法を守らない中国
 
 
ただし、中国が他国と比べてもひときわ独立性と野心が強い国である点を考慮すると、「日本を手放したくないから」という極めて保守的な判断のみで加盟を決断するとはそう簡単に思えないのである。
過去に中国は幾度も国際法を無視し続けてきた。
 
中国敗訴 米鉄鋼製品への報復関税はWTOルール違反
中国敗訴、米国産鶏肉製品への関税は協定違反−WTOが判断
WTO加盟後の中国の諸問題
 
貿易の分野だけでも、様々なルール違反を犯しているのが中国という国である。
そういった性格を考慮すると、今回のISD条項も中国からしてみれば大して足枷に感じていないのかもしれない。
 
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これまで、TPPの特徴と中国のTPP参加の仮説立てを行ってみたが、翻って、アメリカは何故中国をTPPに巻き込もうとしているのだろうか?(何か特があるのか?)
中国共産党は独立した国家のまま世界一位の座を狙っている野心家であり、また、上述したように彼らは国際ルールを守らない横暴な性格であることから、アメリカや他諸国強いては金貸しから当然煙たがれる存在のはずである。
以上を踏まえると、どうしても貿易圏拡大以外の思惑があるに違いないと思えるのである。
 
次回は、中国をTPPに巻き込もうとしている金貸しの真の狙いに焦点を当てながら、今後どのような状況となるのか予測してみたいと思います。

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