2018-12-09

迫りくる大暴落と戦争刺激経済-10~ヨーロッパ発の金融規制で証券会社がつぶれる~

ミフィッドⅡ

ヨーロッパ発の金融規制:ミフィッドⅡは、金融機能を銀行に集中させ、運用会社やリサーチ会社、証券会社をいらなくする方向に走っている。

他にも、いろいろな法制化の動きがリリース(発表)され、銀行とヘッジファンドの陣地の取り合いが始まるとのこと。

 

先の投稿にある「バーゼルⅢ」とも関連していると思われる。

「バーゼルⅢ」とは一言で言うと「株を買わずに米国債を買え」という規制。これも証券会社から銀行への流れ。金貸しの最後の仕掛けと見られる。これに対抗しているのが、アメリカのトランプ大統領。

 

また、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)という「厚生年金と国民年金の年金積立金を管理・運用する機関」で、いわば「日本、日の丸親方ファンド」。200兆円の国民の金の管理・運用の中心になっているのが、なんと一橋大学とのこと。

一橋大学の国際企業戦略研究科に、GPIFの運用担当者全員を送って再教育して返しているとのこと。

頭がいいが投資センスがない彼らは、まんまとアメリカに貢がされている。

 

これまでの内容で、だいぶ世界の金融の動きも掴めてきた。

『迫りくる大暴落と戦争“刺激”経済』(副島隆彦 著)からの紹介です。

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■ヨーロッパ発の金融規制で証券会社がつぶれる

 

大谷 それを金融当局が規制したいというのが、ヨーロッパ初のミフィッドⅡです。ミフィッドの二つ目という意味ですが、包括的に網をかけるという、そういう取引規制です。

 

副島 ドイツ発ですか。ヨーロッパなのですか。

 

大谷 ヨーロッパがかけてきた規制です。これはわれわれ運用機関からすると、ソフトダラーを廃止する動きです。ソフトダラーとは証券会社のリサーチへの対価です。これまではお客さんのお金を運用して証券会社で株を売買して手数料を証券会社に払う、その手数料の中にリサーチ料も入っているという建てつけでやってきた。

 

副島 そのリサーチ料というのは飲み食い代ですね。

 

大谷 そうです。接待費も込みで、客の金で接待して、されてというずぶずぶの世界でやっていました。それを全部切り離せ、という規制です。リサーチ(企業調査)やアナリシス(分析)についてはその対価をちゃんと払えという風になってきます。そんなものをわれわれが払うわけがありませんので、われわれの世界ではリサーチをやるアナリストはもういらないという話です。しかし、大手はアナリストを自分たちの内部で抱えているので、大手に集約する流れになっていくと思います。

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副島 東京でもJPモルガン・チェースやらのチーフアナリストが威張っていましたね。イェスパー・コールとか、まだいるんじゃないか。

 

大谷 まだいますけれど、誰も見向きもしません。テクニカル・アナリストの人たちは多少生き残っていますが。

 

副島 テクニカル・アナリシスというと、株価予想を値動きのグラフの波型だけでやるチャート分析だ。

 

大谷 はい。こういう「ファンダメンタルズなんてクソ食らえ」の連中の方が最後は強いんです。相場観で生きている人たちは、最後は相場の匂いで売りか買いかを決める。だから彼らは生き残っている。

ミフィッドⅡは、まだそれぞれの国の法制化はされていない。これからEUの各加盟国が法制化していかなければならない。それを使ってダークプール(機関投資家たちが東証などを通さずに注文をつけあわせて取引する取引所外取引の一種)も規制する。VIXや仕組み債などにも規制をかけます。これから規制が一番厳しくなるのは、CTO(オーバー・ザ・カウンター。相対取引)の債券や株式などの仕組み債の取引で、この報告義務を極端に強めます。株の仕組み債ならば、オーバー・ザ・カウンター取引でも1分以内に取引所に報告しなければならなくなる。これまでは取引した当日の夜に取引所に提出していました。それを1分以内に出せと極端なことを言い始めました。要は、やるなということです。そういう締め付けをしてきています。

 

副島 登記はなしにする。投資(インベストメント)はいいけれども、投機(スペキュレイション)はいけないということですね。アメリカはヨーロッパから始まる規制に文句を言えないわけだ。

 

大谷 文句は言わないですね。ヨーロッパはそういうルールの枠組みみたいなのを作るのが、うまいですからね。環境規制でも一番儲かっているのはヨーロッパ人ですから。

 

副島 バーゼルⅢは融資への規制だからこれとは関係ないのかな。

 

大谷 バーゼルⅢはどう絡んでくるのか、まだ見えていません。

 

副島 おそらくバーゼルⅢは来年2019年から施行される。

 

大谷 バーゼルⅢとの関連で日本に絡む部分でいうと、一番狙われるのはみずほ銀行です。資金規模としては三菱UFJの方が大きい。なのに、なぜみずほが狙われるのか分かりません。これもやはり政治の話しなのでしょう。

ソフトバンクなどのファイナンスのインサイダー情報をやっているのはみずほだけですね。最も、やっていることは公然たるインサイダーなので、インサイダーとはいえませんが。アメリカからのプレッシャーがみずほに来ていて、そのみずほをヨーロッパが叩きに来ている感じです。何かあるのしょうが、裏は全然分かりません。

 

副島 ソフトバンクの孫正義とけんかできる相手がいるのかな。孫の親分は、ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマンですからね。ロックフェラー財閥直系だ

 

大谷 そうですね。このミフィッドⅡというのは、金融機能を銀行に集中させるようなイメージです。運用会社やリサーチ会社、証券会社をいらなくする方向に走っている。ここはもう少し調べてみないと分かりません。

たとえばヨーロッパからの投資ですが、イタリアのジェネラーリという再保険の会社の資金を、ルクセンブルク(ヨーロッパの中のタックス・ヘイブン小国である)に持ってきて、ルクセンブルクのゲート・キーパーのアバロンが投資しています。アバロンもミフィッドⅡの網をかぶるので、色々なレギュレーション(規制)が掛かってくる。いろいろな書類を出せ、あれをやれ、これをするなと言う規制を少しずつ出しています。

いろいろな法制化の動きがリリース(発表)されている。ここで銀行とヘッジファンドの陣地の取り合いが始まると思います。

 

■ファイナンス理論どおりに整然と間違える

大谷 VIX指数絡みの不正操作のせいで市場にフラッシュ・クラッシュが起きたと考えると、その不正操作を仕掛けたのは、多分副島先生のお話に出てくるジョージ・ソロスなど投機筋の連中だろうと思います。そこでトランプとの戦いが起きている。トランプは景気をよくするために株価を上げたいわけですからね。

 

副島 そうです。カール・アイカーンがトランプのバックにいてやっている。

 

大谷 それに対してショートをかけます。そこの闘いだと思います。不正をしてでもNYダウを落としに行くという連中と、そんなことは許さないという連中(トランプたち)の闘いだと思います。

 

副島 やっぱり悪のソロスが背後にいる。NYダウでも1日300ドルとか400ドルとか政府が買い支えているでしょう?相場が終わる最後の瞬間に、だーっと上げている。日本の日経平均も最後の何分かで買っているようです。日本は日銀がETFで買っている。

 

大谷 日銀の連中は頭はいいんでしょうけれど、投資家としてはアホです。株価が下がっているときは放ったらかさなければいけないのに。下落しているときに最後だけ買っているから。

 

副島 またやられてしまう。

 

大谷 下げトレンドの時は放ったらかして、下げ切ったところで個人投資家が買ってきて反発したときにトレンドをつくらなければいけないのに。自分で買い支えるものですから自分のギョク(玉)が減っていくわけです。めためたにやられていきますよ、これから。

 

副島 ということはまだ下がるのか。

 

大谷 下がると思います。一番玉を持っているやつらが、一番下手な買いかたをしていますので。

 

副島 そうなると、やっぱり2万円を割るな。GPIFはちょっと長期で持っていますね。2ヶ月ぐらい前に6兆円儲かっていると有頂天でした。就任して1年4ヶ月上げ続けたトランプ相場での儲けの分があるからね。

 

大谷 GPIFのインハウス運用の担当者達がゲエゲエ吐いているという噂は聞かなくなりましたので、一息ついているようです。

GPIFの運用の中心になっているのは一橋大学です。一橋大学が早稲田の利権を奪って、一橋大学の国際企業戦略研究科に、GPIFの運用担当者全員を送って再教育して返しています。そうなると、やはりアメリカの言うことを聞くようになる。一橋大学ならばそうなります。

ただ、井の中の蛙であることは変わらない。あの人たちは頭がいいことになっているので、リバランスを自動的にやっていく。1割下がったらポートフォリオを1割縮小して、これ以上下がったときはキャッシュで支えるというように、キャッシュとエクイティの比率を変えていくんです。

 

そうすると、世界一の規模であるGPIFファンド(日本、日の丸親方ファンド。200兆円の国民の金)が自分のポーションの1割を減らすと、それだけで10兆円とは言いませんが、1兆円とかと言う金額になってくる。それがさらに相場の下げを誘発して、それを見越してCTA(超高速のロボット自動取引マシーン)がまたトレンドをフォローしていくので、理路整然と間違うわけです。

 

要は自分達が習ったファイナンス理論を使って、ポートフォリオ・インシュアランスをかけると、自動的に下げが加速してしまう。CTAやアメリカ人からしたら、「こいつらポートフォリオ・インシュアランスを理論通りにやってくれる」とほくそ笑んでいる。したがって、CTAはここで売って儲けることができる。とわかるので、彼らは理路整然と間違うわけです。

 

頭がいいから、ばかなんですよね。値ごろ感とか、売りのタイミングとか、そういう相場の持っている雰囲気が分からない。一言で言えばセンスがない。まだテクニカル・アナリストのほうが当たる相場になっています。

 

副島 ずらっとファンド・マネージャーがいたら、そこで自分ひとりだけ売るということはできないのですか。お仲間サラリーマンだからね。

 

大谷 無理です。それはできないですね。今でも毎日、相場のあと飲み屋に行って、「今月は俺達は決算だから、オレはこれがしこっているから買ってくれ。その代わり、お前のしこっている玉をオレが買ってやるから」と行って、お互いのウィンドウ・ドレッシングをするんです。二人だとばれるので3人で、AがBを買って、BがCを買って、CがAを買う。

 

副島 それならだれがどうしたのか分からないわけだ。

 

大谷 絶対に分かりません。当局の役人にも分からないです。「飲み屋のたわごとです」と言えばいいですから。自分の隣に座っている嫌なやつを潰すときは、そいつの株にショートを振ったりしますし、そういう泥臭い、生臭い世界で金を動かしています。

 

そういう意味では、証券会社のりサーチャーとずぶずぶの関係をつくっておくことは大事なんです。酒盛りの中で相場が決まっていくからです。

 

副島 最終的にはそれが一番強いということか。日本民族の文化の拘束性だ。CTAにも負けない、VIXにも負けない。

 

大谷 最後はそういう人的つながりが強い。それで生き残っています。そういう中で、うちのファンドは、暴落を予想してキャッシュを増やしてきました。それでなんとか生き延びています。ここからさらに一段の下げか来る戸は思いますが。とはいえ下がったので、今は粛々と少し買っています。かって戻ったらまた売るという戦略です。

 

副島 私は常に暴落主義者だから、自分のドクトリン、原理に忠実に従うしかない。

 

大谷 トランプ景気で長期的にはアメリカは強いとしても、暴落を仕掛ける勢力も入るというふうに、売りと買いと両方で言えるわけですね。

 

副島 そうです。トランプはお山の大将だから、周りからパンパンと弾が飛んでくる。権力を握っていると逃げられない。

 

大谷 アメリカはもうお金がないから、多分副島先生がおっしゃっているように、毎回日本から50兆円ぐらいを引っ張っていく。そういうことを、またやろうとするんでしょうけれども、難しいと思いますね。日本もきつい。日経平均は2万円ぐらいまでいって、そこからどうなるか。2万円を切るのは考えにくいとは思いますが。

 

副島 一瞬で割るでしょう。株を押し上げていく力があるかどうか。2万4000円まではもう無理だろう。

 

大谷 なにしろ、GPIFの運用が余りにも下手で、彼らがアホなことをするので買いたくても買えない。かえって2万円を割れて1万8000円ぐらいになったら自律反発するんですけれどね。

 

副島 ニューヨークのヘッジファンドたちは売りを仕掛けるだけなのか。フィデリティのマゼラン・ファンドなど、普通のファンドもあるだろうに。日本株のポジションを持っていないのかな。

 

大谷 日本株については彼らショート(売り)ばかりです。日本への評価は民主党政権時代(2009~2010年)のアンダーウェイトから2012年12月に第二次安倍政権が成立してからニュートラルになって、さらに上げて外人は2倍ぐらい儲かった。ですから2割ぐらい下がっても屁みたいなものなので、日本株はショートをかましていく。世界でも指折りのヘッジファンドが、日本のショートをやる、と公然とアナウンスしていましたね。 

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